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第2章 エルレラ大陸

第26話 ドラゴンへの道

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「ふむ。精霊種なあ。ここには色々な者達が住んではおるが。聞かぬなぁ。森という事はエルフか?」
 アシュアス達は、ニューキーワード『エルフ』を得た。

「その、『エルフ』はどこに住んでるのか知っていますか?」
「うーん。『世界樹の守人』がエルフだった気がする。聞いたのがずいぶん前だから忘れてしまった」
 アシュアス達は、ニューキーワード『世界樹の守人』を得た。

 だが、その先は不明。

 今、フェンリル達と酒盛りをしている。

 出会ってすぐに、言われた言葉。
「出会ってすぐから気になっていた。何を持っている?」
 まあ、お目当ては、魚の干物とスルメ。
 もうよだれが、すごいことになっていて、炙って食べ出したら酒が欲しいと仰る。

 酒も持っているんだけどね。料理にも使うし。

 そこで話していて、『ドラゴンのじじい』なるキーワードが出てきた。

「ドラゴンさんなら、知っている可能性があるの?」
 フィアが聞くが…… うん? フィアの目付きがおかしい。
 気が付けば、リーポスはすでに寝ているし、アミルとクノープがじゃれ合っている。

 いつの間に仲良くなったんだ?

 アミルも、アシュアスが好きだった。
 というか、村の子は皆アシュアスが好きだった。
 優しくて頼りになる。
 かといって、他の男の子が嫌いというわけでもない。
 何というか、持つ雰囲気とか魅力が別格であるだけ。

 そしたらだ、女将さんマリベルから驚きの情報を得る。
「あんた色々と小さいから、クノープ君だっけ。あのくらい体格の良い子と結婚しないと、子供もちっこくなるよ」
 (女将さん個人の感想です)
 そんな助言を貰ってしまった。
 確かに、背の高さや、肉の付き方はクノープが一番。

 ほっといても、アシュアスには、フィアやリーポスがアタックをするだろう。
 うーんおじさんも、ちょっとけんかっ早いけどいい人だし、女の人を見るとデレデレだけど、クノープも悪くないかもしれない。

 そうしたら、無駄な焼き餅を焼かなくても良いし……

 などという、ちょっとした心境の変化があった。
 クノープは一人でいることも慣れていたが、話し相手になってくれてるなら拒みはしない。まだ恋愛などは考えていなかったし、兄妹同然に育ったメンバー。少しそっち方面に切り替えるには壁がある。
 上手く行けば良いが、駄目だった場合に、疎遠になるのは勘弁してほしい。
 それは皆が思っていた。

 結局皆が、フェンリルを枕にして眠り、翌日奥へと向かうが、関所があった。

「ここから先は神域。許可無き者は通れません」
 うん? 妙にかくかくすると思ったら、ふと頭にNPCなどという妙な言葉が浮かんだが、魔導具の人形のようだ。

 そっと、線を超えると、ものすごい勢いで槍が振るわれる。

「これって、壊すと怒られそうだよな」
「そうだねえ。あっ。目の中にも魔導具が入っていて、撮影をしているみたい」
「うん? フィア。魔導具に詳しいのか?」
「いんや、書いてある。撮影中。撮影というのは、姿を映し撮るものなり。逃しはせん。獣王アンティオコ=マンチー=ジョヴァンだって」
「と言う事は、聖域の管理は王様なのか。王都はどこにあるんだよ」
 すると聞こえたらしく、答えてくれた。

「王都はこの道を下り、まっすぐ行けば崖がある。その崖に橋を架けて真っ直ぐ進め。さすれば、十日ほどで王都に着く。街道を進めば、十五日。どちらが良いか考えよ」

「この声って、もしかして王様が登録をしたのかな?」
「さあ? まあ五日も短いなら、まっすぐ行って見ようか」
 街道は、移動しやすさを考え造られている。

 だがこの近道は、山あり谷ありを真っ直ぐ王都に通じる。
 それにより、百五十キロ程度短縮できる。

「おお? 来るのならこれを持って来い」
 魔導具人形が、胸を開き手紙を取り出す。

「では待っておるぞ」

「よくわからんが、行こう」
 そう言って歩き始める。


「ふむ、今度はヒト族か…… まあ良い。戦う準備をしておくか」
 人形は遠隔で動いていた。
 中の人、獣王アンティオコ=マンチー=ジョヴァンは虎系獣人。
 到る所に関所を作り、喧嘩をふっかけていた。

 退屈な王の暇つぶし。
 だが、戦うときは真剣で、ときには王座をかける。
 とは言っても、鬱陶しい人であることに変わりはない。
 臣下は、王様を誰かボコボコにして、くだらないことをしないように、してくれないかと、密かに願っている。

 だが、獣王はトーナメントをして一番強いものがなる。
 だから勝てる者はいない。

 だが、余所の大陸からやって来たアシュアス達は、この大陸の枠からは外れた者達。
 ドラゴン達が住まう場所。
 そう、ドラゴンへの道を進むため、獣王に挑む。


「これ、崖に橋を架けろって言っていたけどさ、くるっと回るだけでも良いような気がしない」
 目の前に現れたのは、シンクホールあるいはドリーネと呼ばれるもので、地下水により浸食されて崩落をしたときに出来上がる、縦に開いた大穴。
 周囲は繋がっていて、実際道もある。

 だがまあ、アシュアスだから橋を造る。

 アーチだとかなり勾配がキツいので、吊り橋だったり色々と考える。
 奇しくも、テンセグリティ構造を使ってみたり色々だが、結局トラス構造に行き着く。三角が入ると強いんだという知識を得た。
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