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第2章 魔法の使える世界

第43話 危険人物認定1号     か?

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 その後、高梨さんの上司まで呼んで、会議室に引っ張り込まれた。

 もうね、頭の先から全身冷や汗状態。
 管理者の説明までとなると、非常に面倒なことになりそう。

 引っ張り込まれたのに、俺を放っておいて2人で話し込んでいる。
 上司さんはどこかへ電話をし始めた。

「はいそうですね。環境。農水。総務だけではだめでしょう? 少し年明けの計画を見直さないと…… はい…… そうです。早急に上に上げていただけますか? ……ええ。お願いします。リポート? 能力の? ……伝えてみます。ただ個人でもなく、民間の会社なのでどこまで開示できるかは……。 いや普通に不利益を…… わかりました。概要ですね。頼んでみます…… 2日? ああまあそうですね。ではお願いします」

 電話が終わった上司さんは、
「高梨君と神崎さん。お願いがあります。その空間魔法の概要で、どんなことができるのか、予測まで含めてリポートとして、出してもらうことは可能でしょうか?」
「ああ?はい。良いですけれど、ただ、イメージと、できるかどうかは別問題ですよ」
「それで結構です。高梨君箇条書きでいいから、まとめて2日以内に提出してくれ」
「じゃあ神崎さん、よろしく」
 一応、高梨さんに確認をする。
「提出は、メールでいいですか?」
「いいですよ」
「原稿代は?」
 にまっと笑って、確認をしてみる。
「どうでしょう? 出ないのじゃあないかな?」
「ひでえ。まあ帰って書きますよ。それと静岡、要救助者は救出。その前の人たちは遺骨のみです」

「ああ分かった。ありがとう」

 もう一緒だ。
 そう思い、ゲートを開いて帰った。

「いっ、今のがそうかね?」
「そう、みたいですね……」
「たしかに、危険だね……」


 帰ってきて、悩んでいる。
 管理者や侵略者についてまで、全部ばらすのも楽しいかとも思うが、大体個人で抱える情報でも無いんだよなあ……。

 大体、前回の蜘蛛もやっぱり管理者で、しかも持っていたのが、生命創造ってなんだよ。
それであんなに、蜘蛛がはびこっていたんだが……。

 どう客観的に考えても、やばいのは俺だ。

 創造者、次元管理、生命創造。書き出すだけで字面(じづら)が…… 何か起こりそうなやばい雰囲気がガンガン? に、うん? ゴンゴン? にするよね。俺でも、他人がこんなのを持っていたら、危険人物に認定するよ。

 あー…… カミングアウトしたい……。


送信者:神崎一司
件名:空間魔法について

 空間魔法は、文字通り空間に干渉することが可能である。
 その内容と可能性は以下の通り。空間の切断・接続・創造が可能であり、またその組み合わせも可能である。切断は連続されている空間を切り取ることにより、物質を問わず切ることが可能となる。接続は、逆に意図した空間(場所)同士を繋ぐことができる。創造は自分の望んだ条件を付与した空間を、現在我々が生活をしている現空間以外の場所に作ることができる。

 以上の機能を組み合わせることも可能で、フィクションにたびたび登場する、アイテムボックスの創造や空間を遮断した障壁。また地点Aから地点Bへの空間接続による高速移動が可能である。

 またこれらは使用者による想像により、他の目的が追加または改良がおこなわれる可能性がある。

 以上。


 概要だし、こんなもんかな。ある程度常識的な所でおさめて、あとは向こう側の有識者会議がどう反応をするかだな。

 送信。ぽちっとな。

 ついでだから、弊社製品No.3空間接続ゲート。商品名『早いんです』? なんかいやだ『つなが~る』はすでにありそう。よし『空間つなげる君』を開発しよ。
 流通革命じゃ。


 そんな乗りで開発が始まる。見せるだけだから、大きくなくていいな。枠を作って起動用の魔石を入れて…… どうやって対だと認識させよう……。


〈たすけて、フレイヤ先生~〉
〈なんにゃ?〉
〈実はこんなものを作ろうと、それで一対にしたいのだけどさ、どうやって認識させようかと思って〉
〈この魔石に目標としてこっちの魔石の波形を覚えさせる。それに対してゲートの起動。もう一つは逆だな。それで一対となるが、交換するたびに登録が必要になる。だからこの一対の魔石は認証とゲート起動専用として使い、外側に別の魔石を入れる様にして魔素を供給させればいい。実行の規則は主が登録できるにゃ〉
〈そうだな、何とかなりそうだ〉
 そうかそれをすれば、バリアも魔石交換式が作れそうだけどまあいいか。

 そっと手を出すフレイヤ。
 うーん、中型魔石を3個。
 「にゃ」飛び飛びしながら帰っていくにゃんこ。二本足で踊っている。

 人前でしないように、注意しないとだめだな。



「宮前部長。神崎さんからメール来ましたが、ごく一般的内容ですね」
「ちょっと見せてくれ…… ふむ。私はこういうのに詳しくないのだが、一般的常識レベルなのか?」
「そうですね。いわゆる小説とかに出てくるレベルです」
「取得方法とかも聞いた方がいいのかな?」
「聞いてしまって、漏れたときが怖いですね。一気に空間魔法を使える人間が増える可能性があるとなると……」

「ふーむ、でも彼、神崎君は取得しているのだろう?」
「でも彼の真似を、誰もができるとは考えにくいです。いまだにダンジョンを完全に閉じられるのは彼だけです」
「そうなのか? その方法は…… 聞いていないよな?」
「いや、一度聞いたときに、お願いすればいいと言っていました」

「は?」
「ダンジョンに閉じてくれと、お願いすれば良いらしいです」
「試したか?」
「ええ、それこそ一度。死んだダンジョンに向かって試しましたが。私では聞き届けられることは無かったです…… 恥ずかしいだけでしたね」

「それと、いまだに魔道具と呼ばれる道具も彼にしか作れません。バリアの一件とその後のモーターにより、企業は今魔道具開発がトレンドになっていますが、何処も作れないようです」
「ふーむ、彼人間だよね?」
「とは思うんですが、最近ちょっと自信がありません。彼自身突然真っ白になったので、そのころ何か起こったのかもしれません」
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