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第五章 星々は移ろい、種族は邂逅する。

第103話 最強の魔王

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 ディアヌ=マリユスは当然のように、意識を持ったまま魔王化をする。
 過去にドラガシメル人を襲った個体とほぼ近く、確認されている最強個体と等しい力。

 その力、一殴りで、高層ビルを破壊し、空を飛び、転移などの空間魔法まで使える。
 だがまあ、その辺りは竜司でもそこそこ出来る。
 後は魔物を使役できる。

 コレはまどかがいるから、何とかなるだろう。

 そして、彼は破壊衝動と共に、ヨーロッパのチーム拠点である。ある町で静かに暴れ始める。

 そばで、変化を見ていたベティ=ヘザリンは彼が吸血鬼だと知らなかったが為に、闇に捕らえられたのだと考える。彼に向かい、聖なる光を撃ち込む。だがそれは、彼の体を焼くだけで元に戻る様子はなく、チームの皆に連絡を取る。

「ディアヌがモンスター化をしたわ。町に出る前に私たちで何とかしないとだめ。皆集まって」
 それを聞いて、皆は喜んだ。

 ベティがフリーになる。

 ディアヌが這い出したとき、中世と容姿の好みが違うと気が付き、体を変化してイケメンへと変わっていた。
 そのおかげで、後から入ったくせに、俺達のマドンナ、ベティを即落とし、たらし込んだ。チームでは内心ディアヌを嫌っていた。
 だが彼は強く、トップチームになるためには、彼が必要だった。

 奴がモンスター化? なら、合法的に殺れる。
 
 そう思ったは良いが、チームで一番強く当然刃が立たない。

 チームメイトを吹っ飛ばすと、かれは、いそいそと服を着る。そして町中へ出て行く。
「えっ、きちんと服を着て、意識はあるの? なら魔王化だけでも何とかすれば」
 そうは思ったが、光で焼けた。

 ベティは思った。
「私は、魔王の妻。現実世界は私たちには厳しいけれど、頑張って生きています。今イチね。魔王の妻、彼と共に世界を取ります」
 壊れた部屋の中、ベティは現実逃避にタイトルを考える。

 そんな中、通報を受けた警察官達に彼は囲まれ、容赦なく撃たれていたが、当然平気。
 一薙 ひとな ぎで、警官達が吹っ飛んでいく。
 車両で囲んでもいたが、そんな物は役に立たない。

 そして、彼が黒い光を発すると、どこからともなく、モンスター達が集まって来始める。

 警官と救急そして市民。
 たった一人のために、パニックが広がっていく。

 当然ハンター協会でもパニックとなる。
 強くなったハンターが、モンスター化をする。
 これは、協会としても大きなリスク。
 いい加減、協会への苦情もあり、その上にこんな事が世界に広まると、協会の運営上非常にまずいことになる。
 早急に手を打つため、依頼を掛ける。
 協会への苦情は、作戦時に建物を壊された。車を潰された。彼女を奪われた等々。

「あーそこそこ」
「竜ちゃん肩がこっているわよ。まだ若いのに」
「いや、久しぶりに軍人の中に居るとなあ」
 伶菜といちゃついていた竜司だが、連絡が来たようだ。

「また魔王か。カンテ准将に連絡して、モニターさせよう」
「行くの?」
「ああ、さっさとすまさないと、会談の都合もある」

 またもルーマニア。
 トランシルヴァニア。
 
 ディアヌは変化し、両のこめかみ後部から角が生えていた。

 その重くなった頭部を支えるためか、太い首とそれを支える体。
 身長は二メートル五十を超えたようだ。
 ただ、美形。

 横にひかえるオーガ達。
 危険ではあるが、なぜか大人気であり、人が集まってくる。

 モンスターが、勝手に人を襲うことが無く。統制されて軍のような動きを見せる。

 そして実際動き始めると、ゴブリンなどは命を惜しむことなく突っ込んでくる。

「ええい。結局ハンター頼りか。この前部下を通じて、苦情を入れたばかりなのに」
 軍関係者では結局力不足で有り、ハンターに依頼を出すことになる。

 そのため、軍の在り方について上から嫌みが来て、そのはけ口でクレームを入れていたようだ。

 そして集まってくるハンター達。

 最近では、ファンクラブが出来ているチームまである。

 ドンッと音が鳴るような雰囲気で双方が対峙する。

「ハンターか。行けしもべども」
 ディアヌの命令により一斉に走り始めるゴブリン達。
 町中であり、ディアヌを中心に四方向から包囲されている状況。

 両者がぶつかり、一気に戦場と化していく。

 だが吹っ飛ばされたモンスターが、ショーウィンドウのガラスをぶち破り、中の商品が無茶苦茶になる。

 戦場となった場所。そこに店を構えているオーナーは、顔が引きつる。
 そして始まる魔法の撃ち合い。
「ああああっ。店が燃える」

 それは、またクレームとなってやって来る。

「来たか」
 ディアヌは大きな力が転移してきたのを感じる。

 当然竜司達。

「随分と美形の魔王ね」
「そうなのか?」
 竜司は彩が覗いていた、双眼鏡を受け取り見てみる。

「本当だ。だけど、見たことのある顔だな」
「えっ、本当?」
「どこかのチームに居たハンターだろ、魔王化したのか」
 ふと思い出した、ハンターの中に存在した黒い力を放つ奴。
「あいつか?」

 逆に、ディアヌは当然だが、竜司達を知っている。
「ジャパンのトップチーム。どれ、力を増したこの私。一当たりしてみようか?」
 そうつぶやいた瞬間、竜司達のシールドに魔王のパンチが炸裂をする。
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