21 / 36
世界の救済
第21話 救いを求めるもの達。ファイルナンバー、屑が一杯。
しおりを挟む
「すみません。ココが相談室でしょうか?」
「はいどうぞ」
彼は、啓白 恭一。
大学側からのメモに、屑ですと注釈が付いていた。
大学としては、裁判沙汰とか、逮捕されるのは外聞が悪い。
出来るなら、闇の中に葬ってください。
なかなか過激なメモだが、それを付けたのは、大学の相談員。師分 要四八歳。課長補佐。違いの分かる男と呼ばれているらしい。
「えーと。なになに。声をかけられるままに女の子と付き合い、色々いたした。それがバレ。裁判や結婚詐欺で訴えられそう?」
ファイルを読み上げ、ちらっと彼を見ると、そんなことは気にせず部屋の中が気になるようだ。
「結婚するとか、婚約しようとか何か約束はしましたか?」
「いいえ。あー、ただ。料理の美味しい子に、毎日でも食べたいとかは言った気がします」
「はい。ギルティ。直樹さんコイツ死刑にしましょう」
瑠璃がびしっと指をさす。
「指をささない。他には?」
「えー。どうだったかな。そんときに適当に決めるから…… うん覚えて無いっす」
「君、ちょっと待っていてくれ」
奥に集まり相談をする。
「単なるバカだろ。闇も関係が無さそうだし。退学にして、とこかに埋めて貰おう」
「そうね、それが良いわ」
珍しく小雪が薄情だ。
「すみません。そう言うことでお願いします。本人を連れて裏門へ行きますので」
そうは言ったが、一応被害者にも話を聞き裏取りはする。
その結果、彼の姿を見た者は居ないことになった。
むろん普通にヤミ金対応とか色々したが、原因によっては、強制的に働いて貰ったり、豪華客船で、アトラクションに参加をしてもらったり、ほとんど世間的には存在しない鉱山で、作業に従事をしてもらったり。
「このファイルってさー、見ているとなんだか私たち。悪の組織っぽいよね」
「問題のある奴が、そんな奴ばかりだからだろ。この前なんて小学生の彼女が欲しくて自宅に招待をしたって。完全に誘拐じゃないか。彼女がなんだかぐったりとして、どうすればいいでしょうって? 大学の相談室もどうしてこっちに回してくる。素直に警察案件で、さっさと衰弱をした女の子を救出しないといけないだろう」
そう言って一気に酒をあおる。
そう、意外とストレスが多い。
ルシファーの言い分が分かる気がする。
堕天をするぞ。
そんな事を考えていると、例のお言葉から警告がくる。
説明以来だな。
『堕天と言うのが、力の反転という意だと解釈。警告を与える。反転をすれば宇宙のバランスが取れなくなる。よって、危険を防ぐためこの宇宙を消滅させる。上位宇宙の安全を優先。権限により、この宇宙の物質と精神体すべてを消滅させることになる。闇が上位に来た場合。また危険がある場合、強制消滅をするから気を付けよ。自己で、昇華できないゆがみは、精神を上位に向けよ。良いか、下方ではない上位だ。お相手次第だが繋がった場合一気にお前の魂は上位へと上がることが出来る。心を開き上を見ろ……』
そう言って消えていった。
ふむ。全く意味が分からん。
そして、悪い事を考えたから、意地悪なのか、すごく頭が痛い。
ああ、そうか、やけ酒をしていて寝込んだのか。
すると、バンという音が聞こえ、視界が変わる。
土が焼け焦げ、空は赤く。空気は吸い込むだけで肺が痛い。
見渡す限り死体が転がり、その向こうの方で、炎を纏った巨大な何者かが真っ赤になった鎖に縛られている。
『そちらではない。上だ。下を見るな』
頭の中に声が響く。
「そんな事を言っても、空は赤くて曇天……」
そう思ったが、光が一条《いちじょう》降ってきて、地面に当たる。
そして、その光が当たると、大地が命を吹き返し風が巻き起こる。
その風は、腐った空気を浄化して一気に、世界は明るくなる。
あの巨人も炎から解放されて、鎖が消える。
血に染まり真っ赤だった体もいきなり綺麗になり、現れたその顔は俺だった。
ご丁寧に、堕天した場合の、俺が起こすことを見せてくれたようだ。
そして光に包まれた俺は、存在だけで世界が浄化され、その足下に人々が跪く。
それはちょっと気持ち悪いような笑顔だが、それを求めていることが分かる。
そう浄化と救済。
周りに集まる、十一人と少し大きな集団。
それが集まったときに、さらに金色の光が降ってきた。
その金色は透明感があり、何かが違う。
ふと見上げると、光の中に見える、見たことのないような文明。
自然物が、宇宙の真理に従い配列されると、世界は浄化され、無限ともいえそうなエネルギーが泉のように湧いていた。
驚くことに、上の人々はそれを口にしていた。
体から光があふれ、光により翼が創られ、手を触れずに物を動かす。
重機など無しで、大きな石が持ち上がり運ばれる。
そう、その光は使い方により十二時間から二十四時間。
あの奇蹟ともいえる、エネルギーの水。
欲しい。
なぜかこの時、俺は強くそう思った。
すると降ってくる一本の光の糸。
手を振っても触れられず、ぴとっと、額に張り付き、次の瞬間宇宙の決まり事が脳へとと流し込まれた。さっきまでの頭痛などかわいいもの。
きっと脳が、美味しく食べられるくらい、焼けたのではないかと思った。
そうかい。配列と比率。
バランスね。それが扉を開き、繋ぐことが出来るかぎ。
「はいどうぞ」
彼は、啓白 恭一。
大学側からのメモに、屑ですと注釈が付いていた。
大学としては、裁判沙汰とか、逮捕されるのは外聞が悪い。
出来るなら、闇の中に葬ってください。
なかなか過激なメモだが、それを付けたのは、大学の相談員。師分 要四八歳。課長補佐。違いの分かる男と呼ばれているらしい。
「えーと。なになに。声をかけられるままに女の子と付き合い、色々いたした。それがバレ。裁判や結婚詐欺で訴えられそう?」
ファイルを読み上げ、ちらっと彼を見ると、そんなことは気にせず部屋の中が気になるようだ。
「結婚するとか、婚約しようとか何か約束はしましたか?」
「いいえ。あー、ただ。料理の美味しい子に、毎日でも食べたいとかは言った気がします」
「はい。ギルティ。直樹さんコイツ死刑にしましょう」
瑠璃がびしっと指をさす。
「指をささない。他には?」
「えー。どうだったかな。そんときに適当に決めるから…… うん覚えて無いっす」
「君、ちょっと待っていてくれ」
奥に集まり相談をする。
「単なるバカだろ。闇も関係が無さそうだし。退学にして、とこかに埋めて貰おう」
「そうね、それが良いわ」
珍しく小雪が薄情だ。
「すみません。そう言うことでお願いします。本人を連れて裏門へ行きますので」
そうは言ったが、一応被害者にも話を聞き裏取りはする。
その結果、彼の姿を見た者は居ないことになった。
むろん普通にヤミ金対応とか色々したが、原因によっては、強制的に働いて貰ったり、豪華客船で、アトラクションに参加をしてもらったり、ほとんど世間的には存在しない鉱山で、作業に従事をしてもらったり。
「このファイルってさー、見ているとなんだか私たち。悪の組織っぽいよね」
「問題のある奴が、そんな奴ばかりだからだろ。この前なんて小学生の彼女が欲しくて自宅に招待をしたって。完全に誘拐じゃないか。彼女がなんだかぐったりとして、どうすればいいでしょうって? 大学の相談室もどうしてこっちに回してくる。素直に警察案件で、さっさと衰弱をした女の子を救出しないといけないだろう」
そう言って一気に酒をあおる。
そう、意外とストレスが多い。
ルシファーの言い分が分かる気がする。
堕天をするぞ。
そんな事を考えていると、例のお言葉から警告がくる。
説明以来だな。
『堕天と言うのが、力の反転という意だと解釈。警告を与える。反転をすれば宇宙のバランスが取れなくなる。よって、危険を防ぐためこの宇宙を消滅させる。上位宇宙の安全を優先。権限により、この宇宙の物質と精神体すべてを消滅させることになる。闇が上位に来た場合。また危険がある場合、強制消滅をするから気を付けよ。自己で、昇華できないゆがみは、精神を上位に向けよ。良いか、下方ではない上位だ。お相手次第だが繋がった場合一気にお前の魂は上位へと上がることが出来る。心を開き上を見ろ……』
そう言って消えていった。
ふむ。全く意味が分からん。
そして、悪い事を考えたから、意地悪なのか、すごく頭が痛い。
ああ、そうか、やけ酒をしていて寝込んだのか。
すると、バンという音が聞こえ、視界が変わる。
土が焼け焦げ、空は赤く。空気は吸い込むだけで肺が痛い。
見渡す限り死体が転がり、その向こうの方で、炎を纏った巨大な何者かが真っ赤になった鎖に縛られている。
『そちらではない。上だ。下を見るな』
頭の中に声が響く。
「そんな事を言っても、空は赤くて曇天……」
そう思ったが、光が一条《いちじょう》降ってきて、地面に当たる。
そして、その光が当たると、大地が命を吹き返し風が巻き起こる。
その風は、腐った空気を浄化して一気に、世界は明るくなる。
あの巨人も炎から解放されて、鎖が消える。
血に染まり真っ赤だった体もいきなり綺麗になり、現れたその顔は俺だった。
ご丁寧に、堕天した場合の、俺が起こすことを見せてくれたようだ。
そして光に包まれた俺は、存在だけで世界が浄化され、その足下に人々が跪く。
それはちょっと気持ち悪いような笑顔だが、それを求めていることが分かる。
そう浄化と救済。
周りに集まる、十一人と少し大きな集団。
それが集まったときに、さらに金色の光が降ってきた。
その金色は透明感があり、何かが違う。
ふと見上げると、光の中に見える、見たことのないような文明。
自然物が、宇宙の真理に従い配列されると、世界は浄化され、無限ともいえそうなエネルギーが泉のように湧いていた。
驚くことに、上の人々はそれを口にしていた。
体から光があふれ、光により翼が創られ、手を触れずに物を動かす。
重機など無しで、大きな石が持ち上がり運ばれる。
そう、その光は使い方により十二時間から二十四時間。
あの奇蹟ともいえる、エネルギーの水。
欲しい。
なぜかこの時、俺は強くそう思った。
すると降ってくる一本の光の糸。
手を振っても触れられず、ぴとっと、額に張り付き、次の瞬間宇宙の決まり事が脳へとと流し込まれた。さっきまでの頭痛などかわいいもの。
きっと脳が、美味しく食べられるくらい、焼けたのではないかと思った。
そうかい。配列と比率。
バランスね。それが扉を開き、繋ぐことが出来るかぎ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる