地球上で、密かに最強決定戦の幕が上がる。

久遠 れんり

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第三章 終末へと向かう世界

第41話 危ない世界

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「うわっ。いきなりかよ」
 周りに、影を展開して、ついでに足下を食らう。
 無機物は相変わらずまずい。

 その穴に入り、どんどん食われていく影を、追加しながら、上方の光が収まるのをまつ。
 周囲を探るために伸ばしていた影も、全部食われてしまった。
 一気に、力を使ったせいか、頭痛がひどい。

「しかし、あんなにひ弱だったのに、いきなり力を増したな」
 攻撃は、強力だが十秒も無かったと思う。
 そっと、影を伸ばし、周りを感じる。

 光は無い。
 飛び出して、奴を探す。
 様子見なんてしていたら、今のあいつにはやられてしまう。
 一気に影を周辺に広げる。

「はっ? なんで」
 奴は、必死で逃げていた。

 俺は訳が分からなかった。

 影を先行させ、足を捕まえ。面倒だからそのまま食う。
 無論、ゴロゴロと転がる。奴を感じる。
 ダミーじゃないよなと、周囲を警戒し確認。

「何もいない。あれだけの力があって、一発で逃げる? 訳が分からん」
 いまも、足は地面に付ける事が出来ず、四つん這いで逃げている。
 当然、手と膝を捕まえる。

 俺の足音に気がついたのだろう。くるりとこちらを向くが、手と膝が固定されているから、向くことが出来ない。

「ちょっと待て。もう俺には、おまえをどうこうする力は無い。何もしないから逃がしてくれ」
 奴は何とかして、こっちを見ようと、右や左に顔を振るが、人間そんな骨格になっていない。
 四つん這いで首がこっちを見たら、ホラーだよ。

「あれだけの力があって、どうしてだ?」
「あっあれは、終焉の光。刹那の時間、自身の下に繋がる奴ら。その命を燃やすものだ。もう使えない」

「はっ? 守るべき仲間を、武器に使ったのか?」
「俺さえいれば、また集められる。集めてもおまえ達には手を出さん。約束する」
 目の前で、後ろが向けず。きょろきょろしているこいつが、人ではなく、ひどく陳腐なモンスターの出来損ないに思えた。

「もういいや」
「や、あっ……」
 奴は本当に、抵抗も出来ず。一気に飲まれた。

 そこから警戒をしながら、進んでいくが、本当に静かだった。

 駅前。賑やかだったあの場所に、千数百は居るだろう。
 土下座ぽく蹲った。人だったもの。
 命令して、バッテリーとして使われた人たち。
 そのままの形で、そこにならぶ物を一気に食らう。

 周辺を探査するが、繁華街に人はいない。

「よし呼ぶか」
 仲間に向かって、オープンで呼びかける。
「繁華街確保。探検しようぜ」
「「「いくよ。久々、おデート」」」

 これは、花蓮達だな。

 つい最近まで、賑わっていた町。
 ぐるっと、今度は目で確認する。
 割られたドア。
 ひっくり返った車。

「パニック映画か、世紀末か。ゾンビはいないな。今はまだ…… かもしれないが」

 駅前広場の真ん中で、ぽつんと立ち。意識を広げていく。

 華やかな商店街のすぐ側。
 そこに広がる、飲み屋街。
 そこには、人が結構居る。
 いや居るし、出入りもある。
 この状態で、普通の営業をしているのか?

 ふと思う。おかしくなったのはこの辺りだけで、一歩外に出れば、変わらぬ営みがあるのではないか?
 一歩踏み出し、ためらう。

 くみ達も来ているはずだし、それからでもいい。
 ベンチまで、移動し腰掛ける。
 無論この状態でも気は抜かない。
 意識は広げ、警戒はする。

 次の瞬間。意識の端。頭の片隅で自分の首が落ちた。

 体の周りに、シールドを張り巡らせる。
 すると、すぐ後ろ。
 何もない空間から、ナイフが生える。
 いや、長さからすると、山刀か。

 横に薙いでくるその山刀を起点に、影を流し込む。
 影によって、浮かび上がる女の姿。
 中では、何かの力が働いている。

「あー光学迷彩的な物か。体温や吐息までコントロールできるのか。凄いな。仲間にも一人居るが、君のレベルには至っていないよ」

「やっと。いけ好かない。光野郎が居なくなったのに。おねえちゃん」
 そう言って泣き始める。
「お姉ちゃんじゃ、ないんだが」
「当たり前よ。あんたが、何かをしたんだろ」
「何が何?」

「あの光野郎が居なくなって、お姉ちゃんに声をかけたのよ。そこの広場に蹲っていたの」
「ああ、あの中にいたのか」
 そう言いながら、もう食ってしまった。返せって言われたらどうしよう?
 そんなことを考える。

「そのうち、全員光り出して…… 光が収まると、みんな死んじゃってたの。私じゃどうしようもなくて。このベンチで、みんなを見てたの。すると、あんたが来たのよ。そしたら今度は、みんなが消えて。あんた、上を向いてぶつぶつ言っていると思ったら、こっちへ来るし。私がどかなかったら、あたしの上に座るところだったじゃない」

「そりゃ悪いが、それでいきなり、首を落とそうとするか?」
「それは、なんとなく。美味しそうだったから」

「知っているか? 殺しに来たら、殺されても文句が言えないって」
 その瞬間。彼女は、力を発動して全力で逃げようとするが、顔以外には影がまとわりついている。逃走は無理だ。
「いやっ」
 彼女はそう言いながら、恐怖のあまりか、俺の影に包まれた状態で、お漏らしをした。

「あー。味のイメージが頭に広がる。しょっぱい。人におしっこ飲ますなよ」
「えっ。分かるの?」
「ああ。分かる」
「ひょっとして、あなた。私の体、味わっているの?」
「今は、外側で包んでいる状態だから、分からない」
「変態。離して」
「面倒」
 浸食した。
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