新しい年、新しい自分、変わる切っ掛けは…… 一つの出逢い

久遠 れんり

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第14話 救い

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「助けて、追われているの」
 その女の子は、いきなり飛びついて来た。

「オラ、逃げんじゃねえ」
 三人ほど強面の兄ちゃんじゃないな、いきった感じだが……
 俺はその日、黒のサングラスに、黒のスーツ黒のシャツ。
 黒く長い薄手のコート……

 そう一昨日、ネットで映画を見た。
 その内容は、人間は仮想空間で生きているだけで、実は発電所。実際はポッドに眠っているという物、意識次第で限界突破が出来る。

 まあそんな映画を見て、つい金があるし、似たような衣装をポチってしまった。
 それが届いて、少し恥ずかしいが、着込んで出てきてしまったのだ。

 その格好のせいだろうなぁ、きっとこの三人組には思いっきり引かれてしまった。恥ずかしい。

 だが、相手の尊材ぞんざい麻男まお悠人ゆうとは、相手が本職だと思ってしまった。
 濃い顔にグラサン。そして黒のスーツ。

「すみません。そいつが金を持ち逃げしまして」
 だがその言葉に、女の子は反論をする。

「持ってないし…… 私は、もういやで逃げただけ」
 背中側でそう叫ぶ。

「持ってないらしいが、幾らだ?」
 ごそごそ話し合うと、計算が出来たらしい。

「一五三万です」
「おう二〇〇万ある。これで売ってくれ」
 そう言うと驚かれた。
 まあ、普通はそうだろうな。

「はっ?」
「女ごと買うと言ったんだ」
 ついそんな事を、映画の影響は恐ろしい。

「えー ……、あーはい」
「おい、やばくないか?」
 またもめだした。

「なんかあるのか?」
 いえ…… 無いです。

 そう言って三人は戻り、無事事務所のロッカーに突っ込んだ鞄の中に、回収した金を発見をした。
「あっ、まず……」
「とりあえず、あの女の退会書類を偽造しろ」
「ああ、そうだな」

 俺は車屋のおやっさんに、明日払う金を渡してしまった。
「あーどうしよ、大体あんな大金を持ったまま、コンビニへ行こうとするかな……」
 明日の準備で、コートのポケットに入れていた金。
 この格好で金を渡すと、あのオッサンなら喜んでくれると思ったんだよ。
 忘れて、持ったまま出てきた。

 なんか判らず、金払ったし、ナニをしているんだおれ?
 
「あー、ありがとうございました」
 そう御礼を言いながら、松木 希実まつき のぞみ二十二歳は困っていた。

 母親が病気で、親父さんが走り回ったが五百万くらい金が足りない。
 彼女は、ちょっと危ない後輩に倶楽部を紹介して貰った。
 だが、エッチは初めてじゃないしと、二回くらいは我慢して受け入れたが、耐えきれず逃げ出した。

 彼女がいたのは、フラットなマットが敷かれた部屋、裸の女達がいて、男が気に入った子とその場で事を行う。

 だがガラスの向こうでは、それをショーとして客が見ている。
 つまり、多数の客に見られながら客の相手をする。
 確かに周りも同じように盛っているのだが、普通じゃ耐えきれない。

 かの女はとりあえず、新道の後ろを付いて歩く。
 新道も困っていた。
 ああは言ったが、どうすればいいんだ?
 とりま、話しくらいは聞くか……
 お人好しが顔を出す。

「何かいるか?」
 コンビニへ入ると、彼女に聞く。
 そもそもが、晩飯を買い出しに来だけだ。

「あの、するならこれを」
 何か包装された箱を、彼女は持っていた。

「なんだこれ?」
 そう言うと、あわてて元に戻す。

「あっすみません」
 この人、生でする気だ。
 薬は飲んでいるけど、病気がこわいよぉ。
 どう見てもこの人、筋の人だよねぇ……

「食い物は?」
「あっはい」
 一体いつまでする気だろう、生きて解放されるよね、私……

 一応弁当や飲み物とかを、おずおずと籠に入れる。
 もう最後かもしれないと、デザートまで。

 とぼとぼと付いていくと、たどり着いたのは一軒家。
 見た目は普通そう。
 だけど、一般の家よりは立派。

 家の中は静で、ほかの人間、若い衆とかはいないようだった。

 リビングへ行くと、大きなモニターが壁から生えていた。
 株用のチャートと個別株名が並んでいた。
 株の取引用だが、一般人からすると異様な雰囲気。
 片方には、FXのチャートが忙しく上下している。
「ちっ、やっぱり駄目か、切るしかねえな」
 値動きのレンジが狭く、価格の変動が激しい割に儲けが出ていない。柚葉からもこんな時は手を出さず、寝ておきなと言われていた。

 こう言うときにレンジから外れた場合、たまにバカみたいに動く。
 ショートかロング、逆に動いたときには大損をする。

 ただ…… 横にいた彼女。企業名が表示されている画面、切るかという言葉。
 彼女も文系とはいえ大学四年生、会社ゴロとか総会屋と言う言葉くらいは知っている。
 そっち系だったんだ…… 
 完全に勘違い。

 完全に、足はガクガク、お漏らしでもしそうな状態となる。

 粗相をしたら、絶対埋められる。
「まあ気楽にしてくれ」
 彼女は考える。

「おっ、お風呂貸してください。それとも一緒に入ります?」
「えっなんで?」
「私を購入されたので、サービスです。サービスさせてください。お願いします」
 そう言って、それはもう必死で、頭を下げられた。

 ここから、彼女の勘違いによる、暴走が始まる。
「お体流しますね」
 とにかくサービス、機嫌を損ねないように……
 このクラスだと、入れ墨も入れてないんだ。

 あそこも普通。
 なら病気も大丈夫かな?
 そうか、肉体派じゃなく頭脳系だから……

 そう彼女は必死だった。
 新道は困惑。

 風呂場で、とりあえず一回済ませて、リビングへ帰る。

 一度関係はしたので、少し落ち着く。
 コンビニ弁当を食べながら、聞かれたので事情は話す。
 個人情報に繋がらないよう、言葉を選びながら母親の病気で困っていることを説明する。

 それを聞いて、素朴な質問を新道はする。
「高額医療って、所得によるが帰ってくるだろ」
「それが、その治療…… 日本では認可がなくって、保険対象外なんです。そうなると全部実費で。お父さんがお金を集めたのですが、どうしても足りず、大学の後輩が詳しいい子がいるというので口をきいて貰って……」
「くわしい?」
「ええ、奈木って言う子で」
 そう、あの月野 奈木つきの なき
 世間は狭いようだ。

「ふーん、名木?ねえ」
 新道も、まさか彼女だとは思わなかった。

「ちょっと待ってろ」
 そう言って部屋を出て行き、戻って来たときには手には札束。
 お人好しが発動した。

 だがそれを見て、彼女はどう思ったのか……
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