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第2章 周辺国との和解へ向けて
第23話 オリエンテム王国は、やっと少し諦めた。
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アルトゥロの件は片がついたようだが、片がつかないのはオリエンテム王国。
「少しあたっただけで、逃げ帰るとはどういうことだ」
そう叫んだ後、事情を聞く。
その内容は全く信じられない内容で、一晩で要塞が落ちた。
謎の巨人。
「フルプレートだと思いますが、至近距離でも矢が通じず。槍も駄目でございました」
「ううぬ。では、投石機やは破城槌はどうじゃ」
「相手は人でございます。向きをそろえている間に逃げられます」
「では、壁で囲い。上から石でも投げればよかろう。おお、そうじゃ。落とし穴を掘りそこへ落とせばよい」
その後、幾度かの攻撃で、やっと大弓の攻撃範囲から外れたところに、落とし穴を設置する。
「問題は、誰が行く?」
「王命とはいえ、彼のものの動き。大きなくせに俊敏で死角がない」
「そうだ。馬では、あの動きについて行けない」
「かといって、あの大きな斧。あれを振られては、受け止めたが最後。腕や足が折れるぞ」
そう言って、会議は静まってしまう。
「あの。よろしいでしょうか?」
若い貴族が、手を上げる。
「何だ?」
「具申申し上げます。何とかして、投石機の力をあげて、あの大弓の範囲外から攻撃を出来れば、あの者達が出てくるのではないでしょうか? さすれば、兵を引くだけで落とし穴へ誘い込めます」
「よし。それで案は良いとして、どうやって飛距離を伸ばす」
みんながまた、黙り込む。
「それでしたら、少しお時間を頂けますでしょうか?」
「分かった。貴殿はそれに掛かれ。その間に我らは他の案を考える」
作戦を許可された若い貴族、マウリ=ムルトマーは実験を始める。
子供の頃から、親からは変わった子供だと認識をされていた。
あまり色々な事に興味が無いように見え、特に礼儀作法や剣術にはあまり興味が無い。
放っておけば、いつまでも庭の隅で遊んでいる。
そんな子供だった。
「父様。どうしてアリは地面に穴を掘っているの? 雨が降れば溺れちゃうよ」
「そんな事は、気にしなくていい。それより、お前は剣の一回でも振れ」
そんな感じで、変な事に興味を持った。
さて、経験から考える。
「投げる発想から、今の投石機は出来ている。だけど投げるより打った方が飛ぶ」
目標方向へ飛ばすには、補助をするものが必要で。とそんな事を考えて色々試すが、石をたたいた瞬間。木は折れる。
石をたたく先端部はよくても、回転部の接合部が折れ、そこを貫通させて強度を上げると、今度は軸受けが折れる。
そんな所まで強化をしていくと、とんでもなく材料が大きくなっていく。
投石機は、現場で作る。
あまり複雑では組み立てに困る。
この世界の投石機は、大きなスプーンに石をのせてはじき出すタイプが主力。悩んだ彼がふと思いついたのが、手で使う投石器。
紐の真ん中を広く編んだり皮を張り、その広い部分に石をのせて紐の両端を持って手を振り、途中で片側の紐を放す。すると取り扱いは難しいが、かなり遠くへ石が投げられる。
そう。試行錯誤で、トレビュシェットタイプの投石器を思いついた。
カウンターウェイトの重量で、かなり遠くにまで石を飛ばす事が出来る。
構造は、シーソーの片側に投石器を付けたイメージ。
アームの先には片側の紐を固定して、もう一方は頂点の手前で外れるようになっている。
気がつけば、飛行距離ではパリブス王国の大弓と、同じような飛距離が出ていた。
「よし。これでいけるだろう」
驚くべきスピードで仕上げて、陣地に持ち込む。
「ほう。これがそうか」
他の貴族に見せ、早速作戦に移る。
落とし穴の有用性。つまり効率を上げるため、夕方に作戦を実施する。
「放て」
一斉に投石器が軋む。
うなりを上げて飛んで行く石。
見事要塞の壁面にあたる。
鈍い音と振動。
その時、パリブス王国側では、かなり大きな動揺が発生する。
今まで一方的な攻撃のみで、それに慣れていた。
要塞に響き渡る振動。
「何だ、どこからだ?」
「向こうの要塞跡、さらに向こうからだ」
「何だよ、新型か? 気導鉄騎兵団は、出動をして潰してきてくれ。向こうの攻撃にはあたるなよ」
「分かった。行ってくる」
そう言って、飛び出していく。
赤い光だが、結構明るい。
おふざけで作ったものだが、役に立ったようだ。
敵側では、恐怖が発生する。
聞き慣れない音と、近付いてくる赤い光。
投石機を担当していた兵達が、我先にと逃げ出していく。
むろん許可無く。
「あっ。こら、残してくるな」
新型の機械を、残してくる始末。
気導鉄騎兵団は、裕樹達の教えを受けている。
ざっくりと、構造を理解する。
一機がバックアップをしている間に、投石機を破壊する。
逃げた方へ少し進むが、いきなり足下が崩れた。瞬間にバーニャが砂塵を巻き上げる。
落とし穴を飛び越え、周囲に隠れていた連中は、むせ込みながら姿を現してしまった。
目が痛いのを我慢して、周囲をハルバードで薙ぐ。
「これはいかん。改良して貰おう」
巻き上げた砂塵は、かなり凶悪な武器となったようだ。
「後は落とし穴か。気を付けよう」
こうして、いくつかの情報を持って最小限の戦果で引き返した。
当然、すぐに要塞は強化された。
オリエンテム王国、王都へ帰ってきた兵達。
「落とし穴も駄目でした。奴は空を飛びます」
「なに?」
そう言ったっきり、王は頭を抱えた。
「少しあたっただけで、逃げ帰るとはどういうことだ」
そう叫んだ後、事情を聞く。
その内容は全く信じられない内容で、一晩で要塞が落ちた。
謎の巨人。
「フルプレートだと思いますが、至近距離でも矢が通じず。槍も駄目でございました」
「ううぬ。では、投石機やは破城槌はどうじゃ」
「相手は人でございます。向きをそろえている間に逃げられます」
「では、壁で囲い。上から石でも投げればよかろう。おお、そうじゃ。落とし穴を掘りそこへ落とせばよい」
その後、幾度かの攻撃で、やっと大弓の攻撃範囲から外れたところに、落とし穴を設置する。
「問題は、誰が行く?」
「王命とはいえ、彼のものの動き。大きなくせに俊敏で死角がない」
「そうだ。馬では、あの動きについて行けない」
「かといって、あの大きな斧。あれを振られては、受け止めたが最後。腕や足が折れるぞ」
そう言って、会議は静まってしまう。
「あの。よろしいでしょうか?」
若い貴族が、手を上げる。
「何だ?」
「具申申し上げます。何とかして、投石機の力をあげて、あの大弓の範囲外から攻撃を出来れば、あの者達が出てくるのではないでしょうか? さすれば、兵を引くだけで落とし穴へ誘い込めます」
「よし。それで案は良いとして、どうやって飛距離を伸ばす」
みんながまた、黙り込む。
「それでしたら、少しお時間を頂けますでしょうか?」
「分かった。貴殿はそれに掛かれ。その間に我らは他の案を考える」
作戦を許可された若い貴族、マウリ=ムルトマーは実験を始める。
子供の頃から、親からは変わった子供だと認識をされていた。
あまり色々な事に興味が無いように見え、特に礼儀作法や剣術にはあまり興味が無い。
放っておけば、いつまでも庭の隅で遊んでいる。
そんな子供だった。
「父様。どうしてアリは地面に穴を掘っているの? 雨が降れば溺れちゃうよ」
「そんな事は、気にしなくていい。それより、お前は剣の一回でも振れ」
そんな感じで、変な事に興味を持った。
さて、経験から考える。
「投げる発想から、今の投石機は出来ている。だけど投げるより打った方が飛ぶ」
目標方向へ飛ばすには、補助をするものが必要で。とそんな事を考えて色々試すが、石をたたいた瞬間。木は折れる。
石をたたく先端部はよくても、回転部の接合部が折れ、そこを貫通させて強度を上げると、今度は軸受けが折れる。
そんな所まで強化をしていくと、とんでもなく材料が大きくなっていく。
投石機は、現場で作る。
あまり複雑では組み立てに困る。
この世界の投石機は、大きなスプーンに石をのせてはじき出すタイプが主力。悩んだ彼がふと思いついたのが、手で使う投石器。
紐の真ん中を広く編んだり皮を張り、その広い部分に石をのせて紐の両端を持って手を振り、途中で片側の紐を放す。すると取り扱いは難しいが、かなり遠くへ石が投げられる。
そう。試行錯誤で、トレビュシェットタイプの投石器を思いついた。
カウンターウェイトの重量で、かなり遠くにまで石を飛ばす事が出来る。
構造は、シーソーの片側に投石器を付けたイメージ。
アームの先には片側の紐を固定して、もう一方は頂点の手前で外れるようになっている。
気がつけば、飛行距離ではパリブス王国の大弓と、同じような飛距離が出ていた。
「よし。これでいけるだろう」
驚くべきスピードで仕上げて、陣地に持ち込む。
「ほう。これがそうか」
他の貴族に見せ、早速作戦に移る。
落とし穴の有用性。つまり効率を上げるため、夕方に作戦を実施する。
「放て」
一斉に投石器が軋む。
うなりを上げて飛んで行く石。
見事要塞の壁面にあたる。
鈍い音と振動。
その時、パリブス王国側では、かなり大きな動揺が発生する。
今まで一方的な攻撃のみで、それに慣れていた。
要塞に響き渡る振動。
「何だ、どこからだ?」
「向こうの要塞跡、さらに向こうからだ」
「何だよ、新型か? 気導鉄騎兵団は、出動をして潰してきてくれ。向こうの攻撃にはあたるなよ」
「分かった。行ってくる」
そう言って、飛び出していく。
赤い光だが、結構明るい。
おふざけで作ったものだが、役に立ったようだ。
敵側では、恐怖が発生する。
聞き慣れない音と、近付いてくる赤い光。
投石機を担当していた兵達が、我先にと逃げ出していく。
むろん許可無く。
「あっ。こら、残してくるな」
新型の機械を、残してくる始末。
気導鉄騎兵団は、裕樹達の教えを受けている。
ざっくりと、構造を理解する。
一機がバックアップをしている間に、投石機を破壊する。
逃げた方へ少し進むが、いきなり足下が崩れた。瞬間にバーニャが砂塵を巻き上げる。
落とし穴を飛び越え、周囲に隠れていた連中は、むせ込みながら姿を現してしまった。
目が痛いのを我慢して、周囲をハルバードで薙ぐ。
「これはいかん。改良して貰おう」
巻き上げた砂塵は、かなり凶悪な武器となったようだ。
「後は落とし穴か。気を付けよう」
こうして、いくつかの情報を持って最小限の戦果で引き返した。
当然、すぐに要塞は強化された。
オリエンテム王国、王都へ帰ってきた兵達。
「落とし穴も駄目でした。奴は空を飛びます」
「なに?」
そう言ったっきり、王は頭を抱えた。
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