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第3章 世の平定 獣人領
第43話 王都へ向けて
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朝起きて、昨夜張っておいた結界を解除する。
部屋の内側にピタッと張ると防音、空調、侵入防止に使える優れものだ。
森で野宿をするときに、虫よけとして開発をした。
昨夜は、別に侵入をしようとする奴も、いなかったようだ。
多分フェンが居るので、教会が気を使ったのだろう。
自由にさせてくれるのなら、まあ、ありがたいことだ。
出発の準備をして、下で朝食をとり、そのまま出発をしよう。
皆と相談をして、一階に降りる。
朝のせいなのか、人もまばらで落ち着いた雰囲気。
ただまあ、妙な視線は感じる。
予想範囲内だな。
教会の見張りだろう。
「おはようございます」
「おはよう。確かドゥエニヨだったかな?」
「さようです。ご注文はいかがします? と、言いたいところですが、朝は基本セットが決まっており、飲み物のみ、変更が可能です。コーヒーと紅茶。フレッシュティ。牛乳。フレッシュジュースとなっております」
「じゃあ……」
と、各自注文をする。
「それと、朝食を頂いたらそのままチェックアウトをする。カギは返却しておこう」
「承知いたしました」
朝食は、パンとスクランブルエッグ。ジャガイモみたいな物のこふき芋かな? マッシュポテトのほとんどつぶされていない感じだ。塩味が効いている。それにベーコンというよりは、燻製肉をあぶったもののようだ。
「それじゃあ、ありがとう。世話になった」
「どちらへ、向かわれます?」
「王都だ」
「それでは、馬車の方が便利かと思います」
「そうなのか?」
「ただ、昨日出たばかりなので、あと4日しないと、次の便がありません」
「途中では乗れないのか?」
「大きなところからは、馬車が出ています」
「それじゃあ。ゆっくり行ってみるよ」
「どうします?」
「魔人族側で、普通の馬車だと、7日くらいかかった距離だよな」
「馬のレンタルは無いのかな?」
「レンタルとは何でしょう?」
「貸出だ」
「フーム。買い取って、向こうで売るのが基本でしょうな」
「フェンの言う通り、馬を見に行ってみようか」
外に出て、町に沿って回り込んでみる。
大抵町の周辺に、牧場とか農地は広がっている。
ここでも、魔王領と同じように、農民が収穫量が落ちたから、外に向かって開墾をするか悩んでいた。
お節介な俺は、同じように、牧場のぼろと藁とかを、十分発酵をさせて畑にすき込む方法を教えた。
そのついでに、牧場へ行き。よさそうな馬を一頭購入をした。
飼い葉桶や水用バケツは、亜空間収納に入っている。
馬車を取り出して、1頭用、馬車ハーネスでつないでいく。
胸引きの幅広改造型も作ってある。
「おい。いつの間にか馬車を用意しているぞ。教会に戻り準備してこい」
「はい。ああもう、準備ができて出発するようです」
「わかっている。急いで馬車を引いて来るんだ。いそげ」
ホテルからついてきた奴らが、あたふたしている。
ハーネスも現代版の魔改造バージョンだから、取り付け取り外しが簡単で速いのだよ。
そして、馬車も軽量。
車軸の回転部分にはころ軸受を使用している。
必然的に転がり抵抗が少ない。
ゆえに、彼らは追いついてこられない。
宿泊できる町は限られているから、わずかなスピード差は効果として不明だが。
フェンを除く3人で、順番に御者をしながら、ゆっくりと進む。
フェンが御者をすると、馬が歩かないか、全力疾走になる。
多分本能的に、怖いのだろう。
当初の予定通り、5日で到着をした。
門のところで、身分証明書も持っていないため、もめるかと思ったが、問題なかった。教会から、何か通達でも来ているのか、それとも馬車に乗るような人間は、通すことになっているのか不明である。
と、あつしは考えていたが、当然前者で、尾行は巻かれたものの、馬車の形や色は魔道具により伝えられていた。
王都と言っても壁は外側一つであり、中に入れば遠くに城が見える。
魔人族領と違い。こんもりとした山自体をくりぬき、城として利用しているようだ。
頂上に見えるのは、高い物でも3階建ての建物と見張りの櫓のようである。
「魔人族の城とは、だいぶ違うな」
「そうですね。城というよりは砦でしょうか?」
サラスも、城を見てつぶやく。
「でも。山の中がどう繋がっているかが不明ですから、攻める方は、手間がかかりそう」
「まあ。俺なら下の方から燻すけどな」
「当然、隔壁もあるでしょうから、耐えるんじゃないのでしょうか?」
「ああ。そうか。当然そんなことは考えているよな」
「それで、主。攻め落とすのか?」
「いや、単なる世間話。そんな、物騒なことはしないよ」
「まずは、宿を決めてそれからだ」
「ご宿泊は、お部屋により、お一人様。銀貨5枚から金貨1枚となっております」
「4人部屋はないのか」
「ツインが2部屋の方がお得ですね。その上は、銀貨8枚から金貨1枚となります」
「だそうだ。どうする」
「今日は、私が優先よね。ツイン1つと、ダブル1つで良いんじゃない」
「ああまあ。それで良いなら。そういう事で、ツイン1つとダブル1つで」
「御宿泊。金貨2枚でございます。お食事はどうされます?」
「少し、回りも見てみたいから、1階の食堂は飛び込みで良いんだろう?」
「はい。食事の提供は、9時までとなっています。それ以降は、軽食程度なら提供が行えます」
「分かった。ありがとう」
「お部屋の鍵でございます。こちらがダブル。こちらがツイン。廊下を挟んで向かい合わせとなっております」
「ありがとう」
部屋の内側にピタッと張ると防音、空調、侵入防止に使える優れものだ。
森で野宿をするときに、虫よけとして開発をした。
昨夜は、別に侵入をしようとする奴も、いなかったようだ。
多分フェンが居るので、教会が気を使ったのだろう。
自由にさせてくれるのなら、まあ、ありがたいことだ。
出発の準備をして、下で朝食をとり、そのまま出発をしよう。
皆と相談をして、一階に降りる。
朝のせいなのか、人もまばらで落ち着いた雰囲気。
ただまあ、妙な視線は感じる。
予想範囲内だな。
教会の見張りだろう。
「おはようございます」
「おはよう。確かドゥエニヨだったかな?」
「さようです。ご注文はいかがします? と、言いたいところですが、朝は基本セットが決まっており、飲み物のみ、変更が可能です。コーヒーと紅茶。フレッシュティ。牛乳。フレッシュジュースとなっております」
「じゃあ……」
と、各自注文をする。
「それと、朝食を頂いたらそのままチェックアウトをする。カギは返却しておこう」
「承知いたしました」
朝食は、パンとスクランブルエッグ。ジャガイモみたいな物のこふき芋かな? マッシュポテトのほとんどつぶされていない感じだ。塩味が効いている。それにベーコンというよりは、燻製肉をあぶったもののようだ。
「それじゃあ、ありがとう。世話になった」
「どちらへ、向かわれます?」
「王都だ」
「それでは、馬車の方が便利かと思います」
「そうなのか?」
「ただ、昨日出たばかりなので、あと4日しないと、次の便がありません」
「途中では乗れないのか?」
「大きなところからは、馬車が出ています」
「それじゃあ。ゆっくり行ってみるよ」
「どうします?」
「魔人族側で、普通の馬車だと、7日くらいかかった距離だよな」
「馬のレンタルは無いのかな?」
「レンタルとは何でしょう?」
「貸出だ」
「フーム。買い取って、向こうで売るのが基本でしょうな」
「フェンの言う通り、馬を見に行ってみようか」
外に出て、町に沿って回り込んでみる。
大抵町の周辺に、牧場とか農地は広がっている。
ここでも、魔王領と同じように、農民が収穫量が落ちたから、外に向かって開墾をするか悩んでいた。
お節介な俺は、同じように、牧場のぼろと藁とかを、十分発酵をさせて畑にすき込む方法を教えた。
そのついでに、牧場へ行き。よさそうな馬を一頭購入をした。
飼い葉桶や水用バケツは、亜空間収納に入っている。
馬車を取り出して、1頭用、馬車ハーネスでつないでいく。
胸引きの幅広改造型も作ってある。
「おい。いつの間にか馬車を用意しているぞ。教会に戻り準備してこい」
「はい。ああもう、準備ができて出発するようです」
「わかっている。急いで馬車を引いて来るんだ。いそげ」
ホテルからついてきた奴らが、あたふたしている。
ハーネスも現代版の魔改造バージョンだから、取り付け取り外しが簡単で速いのだよ。
そして、馬車も軽量。
車軸の回転部分にはころ軸受を使用している。
必然的に転がり抵抗が少ない。
ゆえに、彼らは追いついてこられない。
宿泊できる町は限られているから、わずかなスピード差は効果として不明だが。
フェンを除く3人で、順番に御者をしながら、ゆっくりと進む。
フェンが御者をすると、馬が歩かないか、全力疾走になる。
多分本能的に、怖いのだろう。
当初の予定通り、5日で到着をした。
門のところで、身分証明書も持っていないため、もめるかと思ったが、問題なかった。教会から、何か通達でも来ているのか、それとも馬車に乗るような人間は、通すことになっているのか不明である。
と、あつしは考えていたが、当然前者で、尾行は巻かれたものの、馬車の形や色は魔道具により伝えられていた。
王都と言っても壁は外側一つであり、中に入れば遠くに城が見える。
魔人族領と違い。こんもりとした山自体をくりぬき、城として利用しているようだ。
頂上に見えるのは、高い物でも3階建ての建物と見張りの櫓のようである。
「魔人族の城とは、だいぶ違うな」
「そうですね。城というよりは砦でしょうか?」
サラスも、城を見てつぶやく。
「でも。山の中がどう繋がっているかが不明ですから、攻める方は、手間がかかりそう」
「まあ。俺なら下の方から燻すけどな」
「当然、隔壁もあるでしょうから、耐えるんじゃないのでしょうか?」
「ああ。そうか。当然そんなことは考えているよな」
「それで、主。攻め落とすのか?」
「いや、単なる世間話。そんな、物騒なことはしないよ」
「まずは、宿を決めてそれからだ」
「ご宿泊は、お部屋により、お一人様。銀貨5枚から金貨1枚となっております」
「4人部屋はないのか」
「ツインが2部屋の方がお得ですね。その上は、銀貨8枚から金貨1枚となります」
「だそうだ。どうする」
「今日は、私が優先よね。ツイン1つと、ダブル1つで良いんじゃない」
「ああまあ。それで良いなら。そういう事で、ツイン1つとダブル1つで」
「御宿泊。金貨2枚でございます。お食事はどうされます?」
「少し、回りも見てみたいから、1階の食堂は飛び込みで良いんだろう?」
「はい。食事の提供は、9時までとなっています。それ以降は、軽食程度なら提供が行えます」
「分かった。ありがとう」
「お部屋の鍵でございます。こちらがダブル。こちらがツイン。廊下を挟んで向かい合わせとなっております」
「ありがとう」
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