泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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斗弥(とうや)と美琴(みこと) 勘違いで、出会い。 はっぴぃ

第3話 深夜のドライブと……。今日が金曜なら良かったのに

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 どこかのファミレスかと思ったのに、車は市街地を抜け山道へ入っていく。
「あの、あーすみません。お名前は?」
 恐る恐る、美琴は聞く。

「言っていなかったか。ごめんごめん。水野 斗弥。今二十八歳だ。それと営業職だね。それと、項目なんだっけ? あっそうそう、魚座だ」
「はあ。ご丁寧にありがとうございます。それで、水野さん」
 そう言うと、速やかに言葉が割り込む。

「他人行儀な。斗弥で良いよ。今フリートーク中なんだから」
 そう聞いてやっと分かった。彼は、先日の続きをやっているのだと。

「えと、これから行く先はどこでしょう? 凄く山に向かっている気がするのですが」
「ああ。さっきも言っただろ。この時間、店が限られると」
「ええまあ」
「だからこの時間で開いているお店で、まともそうなところへ向かっている。君を襲いたいとか少しは思ってはいるが、これ営業用車両だし。ナビデータを出すのにあまり変なところへはいけないよ。むろん、此処の往復分は自腹だけれど、丁度行きたかったし」
 そう言って、彼は運転を続ける。

 そうして、山の中に素敵な感じのログハウスが、見えてきた。
 グリル料理という看板が見える。

「へぇ。こんな所に、こんなお店があったんだ」
「来た事ないの?」
「ええ。ここって、車がないと来られませんよね」
「そうだし、営業時間も遅いんだよ。一応バスがあるらしいけど、来たらもう帰りはないとか聞いたことがある」

 夜中の不便なお店なのに、かなり人がいた。

 個室があって、通された。

「俺は運転があるから、ノンアルだけど、飲むなら遠慮無く飲んでね」
 ニコニコと言われたが、普通飲めないでしょ。
 ソフトドリンクを、オーダーした。

 しかし、しかしだ、鳥のグリルにスペアリブ。
 私は、負けた。ビールを注文。

 彼はそれをただ、ニコニコと見守っている。
「ああ。うめえ」
 あわてて、口を押さえる。
 つい、女友達と来たときの調子で、地が出た。

「お疲れ。大変そうだね。部品屋さんも」
 私は諦めた。猫をかぶっても仕方が無い。婚活というのなら、私をそのままで見てくれる人が良い。そう言い訳して、素の自分を見せる。

「そうなんすよ。オーダーは細かいし。首や肩にはくるし目にもくるし。部品はシビアだけどノルマもあるし、その線引きがね。不良出すと、給料が減るし。一応、週休二日ってなっているけど、忙しいときは、土日丸々、サビ残。仕事が遅いから責任を取る羽目になるんだとか言って」
「大変だね。何年位しているの?」
「高卒で入って、あー。もう九年かぁ。でもまあ、品質管理だから給料増えたし」
 そう言いながら、スペアリブの骨をかじっている。

「気に入ったなら、注文して。ご飯ものや麺類もあるし」
 彼女を見ていると、肉が好き。野菜はあんまり食べない。酒も好きそう。
 細かい事には拘って出来るし、でも性格はさっぱり系かな。
 多少おっちょこちょいだが、まあ良い。
 多分理詰めで行くと、反論できなくて手を上げ、どうでもいいやと思う感じかな?

 それに、欲というか、快楽に歯止めがきかないタイプかな。
 ジョッキがもう三杯目。
 さっきの、チューハイは、ストロングタイプだったようだし。
「明日は何時からなの?」
 そう聞いた瞬間、動きが止まる。

「今日、木曜かぁ。朝八時には入らないと。機器のチェックもあるし」
 駄々っ子みたいに、突っ伏して机を揺らし始める。

「じゃあ、また今度来よう。それでどう?」
「良いんですか。じゃあ連絡先。明日様子が分かったら連絡します」
 IDの交換はしたが、明日来るのか? まあ気に入ったのなら良いが、結構高いよ此処。

 名物ものは千円以下だが、肉ものは確か三千円くらいからだった気がする。
 スペアリブも二千円とかだよな。
 彼女は上機嫌で、最後にまだお茶漬けまで食べた。

 彼女が酔っていたので、先に会計を済ませ部屋に迎えに行く。
「ほら、帰るよ」
「はい。帰りましゅ」
 そう言って、ビシッと手を上げる。

 助手席に乗せて、家を聞く。
「鍵は?」
「バッグに……」
「バッグはどこ?」
「多分、まだ席に」
「だよね」

 鍵を掛けて、店に戻る。
 店員さんに聞くと、保管してくれていた。

 受け取って車に戻る。
 少しの時間だったが、室内は熱気とアルコールが充満していた。
 窓は、少し開けていたけどな。

 すぐに、エンジンを掛け、エアコンを付ける。
 彼女、汗で服が透け色っぽい。

 ええい。気合いを入れて、家まで送っていく。今日が初デート? 焦るときではない。

 アパートの前に着いたが、起きない。肩を揺すっても、全くもって。

 ええい。仕方がない。
 多分訴えられないだろう。
 それでまあ、仕方なしに自分の家へ連れて帰ろうと思ったら、途中で起きるさ。
 そんなものだよ。

「此処何処? どこへ行くの?」
「俺の家に向かっている。幾ら起こしても起きないから」
「あーごめん。それなら、どこかコンビニへ寄って」
 さっきまで起きなかったのに、以外としっかりした感じで答えてくる。
「ほいよ」

 実は、美琴は起きていた。
 そして、処女のくせに、大胆な計画を立てた。
 今自分の部屋は、片付いていない。
 人など、それも男の人などあげる事は出来ない。
 寝たふりをすれば、自分の家かホテルに、きっと連れて行ってもらえる。
 それに掛けた。

 そして、トイレと言いながら、彼に車へ帰ってもらい、某薄いものを人生で初めて購入。気合いを入れる為のチューハイも一緒に。彼は飲んでいないが、帰れば飲むはず。そう思いながら、ウキウキと車へ戻る。

 ここから、自分のアパートに帰ろうとするとは、思ってもいなかった。
 まあ、美琴が起きたのだから、斗弥としてはそちらが普通だが。
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