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人の縁とは不思議なもの
第2話 何が何だか?
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私は、お札参り。
いえ、お札を納めに参ります。
あー、卒塔婆だったわね。
お祈りの時、一度に貰ったのだけど、その日ごとに収めるのが本当だとか。
そう実は、卒塔婆はすでに立ててある。
「お父さん聞いてよ。この辺りも物騒になってさあ、女の人が川で溺れたのは事故とか言っていたけれど、高橋なんとかって言う人も川で溺れたんですって。それがなんかやばいところでお金を借りていたって言って、事件かもしれないって。嫌になっちゃう」
そうこの辺り、田中とか高橋とかが多い。
新聞を見る度、びくっとしちゃう。
「さて行くわ」
立ち上がると、向こうのお墓でも男の人がお掃除をしていた。
古い卒塔婆とか、持って帰るのかしら?
聞いてみようかしら?
いえ、知らない人に聞くよりは、お坊さんに聞けば良いか。
軽く会釈をして、その場から離れる。
「―― さて離れたな」
「ちょっと待ってよ。本当にする気?」
「なんだ。娘だからって、今頃尻込みか?」
「そうじゃないけれど……」
「もう、なけなしの金は払い込んだんだ。今更やめられない」
「京哉。京ちゃん……」
払い込んだ先は保険屋さん。
自殺は駄目だが、事故なら保険金はでる。
「いやああぁ」
私は誰かに押された。
お墓から続く道の脇に貯水池がある。
その造りはコンクリート製で、山頂に近いこっち側の高さは五メートルほどもある。
そこだけ柵が切れて、下に降りるために、タラップと呼ばれる埋め込まれたハシゴがある。
そうその下には、コンクリートのボックス。集水枡?がある。
知らなかったのだが、山から地下水が湧いていたらしく、その出口を覆う囲いのようだ。
あれにぶつかったら死ぬ。
私はとっさに体をねじり、ボックスの角っこを蹴る。
もう少し内側なら、私の丈夫なお尻でも股裂きで死んでいたわ。
そして、池の方へと落下をする。
その時に見た、私を覗き込んでいた二人。
男と女……
えっ、あれってお母さん?
落ちたのは水面。だけど衝撃はキツかった。背中から落ちたのだが、首が変に押されて一瞬意識が飛んだ……
「ふごっ」
目を覚まし、水の中から這い出していく。
山裾側はそんなに高くないはず。
彼等が待ち構えていませんように……
―― 俺は和尚さんから、卒塔婆とかはお焚き上げをしますから、持って来てくださいと言われた。
丁度四十九日だし良いだろう。
そう思っていたら、また一生懸命拝む女の子がいた。
休日だからな。この週のどこかで法要があり、後ろにある休日に回せば同じ日になる。そう。おかしな事じゃない。
そう思って、少し気になり、チラ見をしながら片付けていたら目があう。会釈をされた。
視線だけで彼女を見送る。
見送り…… ?
「なんだあいつら」
彼女を追いかける。見るからに何かをしますという雰囲気を、全身から醸し出す二人組。
当然、気になって追いかけた。
すると叫び声が聞こえた。
「いやああぁ」
そしてすぐに、「やったか?」と言う声。
俺は声をかける。
「どうしました? 大丈夫ですか?」
「ひっ」
「やべっ」
同時に二人とも驚いたようで、彼等は結構キツい階段を転がって、いや大半はお尻で滑っていく。
男の右腕とおばさんの左足は変な方を向いているが大丈夫かね。
見たくもないが、おばさんはこちらに向けて大股開き。
だけど、「大丈夫ですか」そう言って声をかけたら、やはり逃げていった。
いや、落ちたときに写真は撮った。
別に、なんと言うことはないが、そこにスマホがあったから。
そしてやっと下まで行くと、二人は逃げて行ってしまった。
すると、すぐ側で水音が聞こえる。
「何だ?」
するとだな、よく井戸から出てくる女の人が実際に居た。
池の水面から徐々に出てくるのだが、まあワンピースではなくスカート。
五月だからな。
そして白いTシャツの上に、デニムの薄いシャツ。
それは良いのだが、白いTシャツが濡れてスケスケで、どうやらブラ ホックが壊れたのかズレ上がっている。
一瞬わーいと言う感じだが、長い緑の髪と鼻をつく異臭。
そして、足を引きずる感じで池の坂を上がってくる。
「たーすぅーけーてー。けいしゃがきついのぉおおぉ」
「生きているのか」
「たーすーけーてぇ」
そう言われても、池の縁には大人くらいの高さがある金網。
金網にそって回り込むと、なんと言うことでしょう。
ずぼらな管理人は鍵を掛けていなかった。
スライド式のドアロックを外して中へ入る。
「おおい。こっちだ。大丈夫か?」
声をかけながら、池の縁を何とか走っていく。
ながい緑の髪は、藍藻類? アオミドロかな? 匂いがひどい。
彼女の顔を見ながら、ちょっと俺の汗が染み込んでいるが、持っていたタオルで顔とか髪を拭う。
結構普通の顔……
いやまあ。出逢いイコール美人というのは、現実的じゃない。
「あの。デニムのボタンを留めるかどうにかして」
「えっ」
彼女も落ち着いたのか、自分の様子が分かったようだ。
むーっとした顔で人のことを見る。
睨まれても俺のせいじゃないし……
「及第点。責任取って」
「なんじゃそりゃ」
そんな俺の言葉は、無視された。
「聞いて。私あそこから突き落とされたの」
彼女がびしっと指をさす。
だが、そう言われてピンときた。
「こいつらだ」
スマホの写真を彼女に見せる。
ちょっとあられもない姿だが、何とか顔がわかる。
「やっぱりこれ、お母さんだ」
「えっ?」
驚いていると、彼女からのご命令が多くなっていく。
バッグと靴が片方池の中にあるから探してほしいと。
最悪は、鞄だけでもと言うので探す。
意外と普通に浮いていたのですぐに見つかった。
そしてここは山。
一本だけ笹を拝借をして引き寄せた。
そして彼女は時間と共に正気に戻る。
すると足が痛いし臭いというので、うちの家へと向かう。
彼女の家は、電車で数駅移動しないといけないらしい。
ああそうか、うちは本家だから近いんだな。
今住んでいるのはマンションだが、実家からは近い。
そう、このマンション『ライスフィールドマンション』という。
俺が引き継いで、このたび大家さんとなった。
そうだよ。田んぼの中だからライスフィールドなんだよ。
彼女にシャワーを浴びせて、適当に着られる物を与えて、近所の安い店で下着とかをなぜか買わされて、また家に戻り、そこからやっと病院へ。
なんか、足の甲とくるぶしに、ヒビが入っていたらしい。
なぜか、帰りに飯をおごらされて、警察へ。
なんか色々言われたが、調べてくれるらしい。
警察からの帰り道。
「まだ襲われると怖いの。うるうる」
手を重ねて拝んでくる。
段々図々しくなってくる彼女。
「なんだそりゃ」
口ではそう言うが、俺としても気にはなる。
だが彼女だけではなく、俺も怖い物は怖い。
奴らは、理由など分からないが、殺そうとしたのだ……
「私を家に連れて行って!!」
昔どこかで聞いた、映画のタイトルのように、宣言をされた。
いえ、お札を納めに参ります。
あー、卒塔婆だったわね。
お祈りの時、一度に貰ったのだけど、その日ごとに収めるのが本当だとか。
そう実は、卒塔婆はすでに立ててある。
「お父さん聞いてよ。この辺りも物騒になってさあ、女の人が川で溺れたのは事故とか言っていたけれど、高橋なんとかって言う人も川で溺れたんですって。それがなんかやばいところでお金を借りていたって言って、事件かもしれないって。嫌になっちゃう」
そうこの辺り、田中とか高橋とかが多い。
新聞を見る度、びくっとしちゃう。
「さて行くわ」
立ち上がると、向こうのお墓でも男の人がお掃除をしていた。
古い卒塔婆とか、持って帰るのかしら?
聞いてみようかしら?
いえ、知らない人に聞くよりは、お坊さんに聞けば良いか。
軽く会釈をして、その場から離れる。
「―― さて離れたな」
「ちょっと待ってよ。本当にする気?」
「なんだ。娘だからって、今頃尻込みか?」
「そうじゃないけれど……」
「もう、なけなしの金は払い込んだんだ。今更やめられない」
「京哉。京ちゃん……」
払い込んだ先は保険屋さん。
自殺は駄目だが、事故なら保険金はでる。
「いやああぁ」
私は誰かに押された。
お墓から続く道の脇に貯水池がある。
その造りはコンクリート製で、山頂に近いこっち側の高さは五メートルほどもある。
そこだけ柵が切れて、下に降りるために、タラップと呼ばれる埋め込まれたハシゴがある。
そうその下には、コンクリートのボックス。集水枡?がある。
知らなかったのだが、山から地下水が湧いていたらしく、その出口を覆う囲いのようだ。
あれにぶつかったら死ぬ。
私はとっさに体をねじり、ボックスの角っこを蹴る。
もう少し内側なら、私の丈夫なお尻でも股裂きで死んでいたわ。
そして、池の方へと落下をする。
その時に見た、私を覗き込んでいた二人。
男と女……
えっ、あれってお母さん?
落ちたのは水面。だけど衝撃はキツかった。背中から落ちたのだが、首が変に押されて一瞬意識が飛んだ……
「ふごっ」
目を覚まし、水の中から這い出していく。
山裾側はそんなに高くないはず。
彼等が待ち構えていませんように……
―― 俺は和尚さんから、卒塔婆とかはお焚き上げをしますから、持って来てくださいと言われた。
丁度四十九日だし良いだろう。
そう思っていたら、また一生懸命拝む女の子がいた。
休日だからな。この週のどこかで法要があり、後ろにある休日に回せば同じ日になる。そう。おかしな事じゃない。
そう思って、少し気になり、チラ見をしながら片付けていたら目があう。会釈をされた。
視線だけで彼女を見送る。
見送り…… ?
「なんだあいつら」
彼女を追いかける。見るからに何かをしますという雰囲気を、全身から醸し出す二人組。
当然、気になって追いかけた。
すると叫び声が聞こえた。
「いやああぁ」
そしてすぐに、「やったか?」と言う声。
俺は声をかける。
「どうしました? 大丈夫ですか?」
「ひっ」
「やべっ」
同時に二人とも驚いたようで、彼等は結構キツい階段を転がって、いや大半はお尻で滑っていく。
男の右腕とおばさんの左足は変な方を向いているが大丈夫かね。
見たくもないが、おばさんはこちらに向けて大股開き。
だけど、「大丈夫ですか」そう言って声をかけたら、やはり逃げていった。
いや、落ちたときに写真は撮った。
別に、なんと言うことはないが、そこにスマホがあったから。
そしてやっと下まで行くと、二人は逃げて行ってしまった。
すると、すぐ側で水音が聞こえる。
「何だ?」
するとだな、よく井戸から出てくる女の人が実際に居た。
池の水面から徐々に出てくるのだが、まあワンピースではなくスカート。
五月だからな。
そして白いTシャツの上に、デニムの薄いシャツ。
それは良いのだが、白いTシャツが濡れてスケスケで、どうやらブラ ホックが壊れたのかズレ上がっている。
一瞬わーいと言う感じだが、長い緑の髪と鼻をつく異臭。
そして、足を引きずる感じで池の坂を上がってくる。
「たーすぅーけーてー。けいしゃがきついのぉおおぉ」
「生きているのか」
「たーすーけーてぇ」
そう言われても、池の縁には大人くらいの高さがある金網。
金網にそって回り込むと、なんと言うことでしょう。
ずぼらな管理人は鍵を掛けていなかった。
スライド式のドアロックを外して中へ入る。
「おおい。こっちだ。大丈夫か?」
声をかけながら、池の縁を何とか走っていく。
ながい緑の髪は、藍藻類? アオミドロかな? 匂いがひどい。
彼女の顔を見ながら、ちょっと俺の汗が染み込んでいるが、持っていたタオルで顔とか髪を拭う。
結構普通の顔……
いやまあ。出逢いイコール美人というのは、現実的じゃない。
「あの。デニムのボタンを留めるかどうにかして」
「えっ」
彼女も落ち着いたのか、自分の様子が分かったようだ。
むーっとした顔で人のことを見る。
睨まれても俺のせいじゃないし……
「及第点。責任取って」
「なんじゃそりゃ」
そんな俺の言葉は、無視された。
「聞いて。私あそこから突き落とされたの」
彼女がびしっと指をさす。
だが、そう言われてピンときた。
「こいつらだ」
スマホの写真を彼女に見せる。
ちょっとあられもない姿だが、何とか顔がわかる。
「やっぱりこれ、お母さんだ」
「えっ?」
驚いていると、彼女からのご命令が多くなっていく。
バッグと靴が片方池の中にあるから探してほしいと。
最悪は、鞄だけでもと言うので探す。
意外と普通に浮いていたのですぐに見つかった。
そしてここは山。
一本だけ笹を拝借をして引き寄せた。
そして彼女は時間と共に正気に戻る。
すると足が痛いし臭いというので、うちの家へと向かう。
彼女の家は、電車で数駅移動しないといけないらしい。
ああそうか、うちは本家だから近いんだな。
今住んでいるのはマンションだが、実家からは近い。
そう、このマンション『ライスフィールドマンション』という。
俺が引き継いで、このたび大家さんとなった。
そうだよ。田んぼの中だからライスフィールドなんだよ。
彼女にシャワーを浴びせて、適当に着られる物を与えて、近所の安い店で下着とかをなぜか買わされて、また家に戻り、そこからやっと病院へ。
なんか、足の甲とくるぶしに、ヒビが入っていたらしい。
なぜか、帰りに飯をおごらされて、警察へ。
なんか色々言われたが、調べてくれるらしい。
警察からの帰り道。
「まだ襲われると怖いの。うるうる」
手を重ねて拝んでくる。
段々図々しくなってくる彼女。
「なんだそりゃ」
口ではそう言うが、俺としても気にはなる。
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