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第二章 人? との交流
第22話 暗躍は静かに行うから暗躍
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「そうか。なかなか、デシャルム子爵の選民意識は根深いな。だが、好都合。外壁周辺に居るなら連れ出しやすい」
寝返った兵達と、火を囲み。打ち合わせをする。
「セバスティヌさんも、それでいいかな?」
「ええ。ただ問題が一つ、関所が街道沿いにありますが、いかがいたします?」
「どうして、関所を通るんだ?」
「はっ? あっいえ。そうでございますね」
少し考え、聞いてみる。
「関所には狐がいるのか?」
「部隊の上層部は狐ですので、関所には二人でしょうか?」
それなら潰そうかとも思ったが、面倒が大きくなりそうだし、あまり派手にやると王家が出てくるようだ。
この際介入させようかとも思ったが、王家が出てくるようになると、ペナルティが付くそうなので回避することにしよう。
関所は丁度領の境を流れる川。いや逆だな川を境にしてある為、橋の両側に各家の関所がある。
関所ではツォルと呼ばれる税金がかかる。入るときに銀貨一枚。出るときにも銀貨一枚。
さらに、デシャルム子爵側では、荷物や荷車その他目に付くものには税金がかかる。名目としては領内での往来についての護衛料金。だが盗賊自体が、デシャルム子爵の子飼いだったりする。
やっていた本人が、目の前に居て、泣きながら語っている。
「目的は、荷物と金品でおとなしく払えば怪我などさせません。ただ、見目の良い女は狐どもが連れて行きます」
「うーん。話を聞いて、潰しても良いような気がしてきたな」
セバスティヌさんに話を振ってみる。
「できれば、それがようございます。領主は駄目ですが、領自体は非常に風光明媚な良い所でございます。それで、これが関の上下。地形の絵図でございます」
「この川の横にちょこちょこある印が、見張り小屋かな?」
「そうです。お互いに位置は話し合いで決まっておりますので、多分違いは無いかと。ただ、約定を守っておればでございますが」
少し上流側へ回り込めば、渡れるところはいくらでもありそうだ。
こういう所は、ガバガバだな。
その頃、デシャルム子爵は苛つきながら、連絡を待っていた。
「遅い。連絡はまだか?」
「今回は、遅うございますな」
「ではやっと、手を出してくれたのか?」
「それならばそれで、連絡が来るはずですが、来ていません」
「ぬう。幾度も手間を取らせおって」
「今回は、けが人か死人が出るまで、帰ってくるなと言ってありますから、大丈夫では?」
「そうだな」
彼らは、ハウンド領、いや本来は我らの領内を通過中、攻撃を受けた、その事実が欲しかった。
だが、無理矢理送りだした反抗勢力達は、『攻撃を受けましたので、帰ってきました』そう言って、喜び帰ってくる。
「被害はどのくらいだ?」
「えっ? ありません」
「じゃあ、どうして帰ってきた?」
「攻撃を受けましたので。ご命令通り帰ってきました」
「それでは、意味がないではないか」
そう、アバルス子爵家としては、他領の関を押し通ったことを、うやむやにできるほどの被害を受けたと言う事実が欲しい。
今の状態では、関を押し通った、こちらばかりが悪い。
むろん虚偽報告で、王家に対し裁定を依頼するのも考えたが、ハウンド領はそれなりに王家からの信任が厚い。
「ええい。あの銀山は元々我が領だったのに」
悔しがるアバルス子爵だが、基本的に古い地図の読み間違い。
だが、それを指摘せず、『そうです。あの銀山は我が領の物』と言いだし、いつの間にかそれが、領内上層部では本当の事だとなってしまった。
最初は川を数え違えただけ。
だが、自身の土地だと言いたいが為に、軍を派遣する。
攻撃を受ければ、王家への陳情準備はできている。
その頃、ハウンド侯爵の館で、チャチャは悩んでいた。
村で夫から追い出され、森を彷徨い。本当に死にそうだった。
道照に会ったとき、実はかなりのダメージを負っていたが、ふさふさな毛がその表情を隠していた。
むろん、普段に比べ毛艶も悪く。腰がなくへにゃっとしていた。道照は気がつかなかったが、かなりきつい状態だった。
食べ物と、水。それだけで本当に生き返り、同族なら我が身を持ってお礼をしただろう。道中、彼はとんでもない事もしでかしたが、基本的に善人であることは分かっている。彼が、獣人であったら。きっと夫として、迎え入れたはず。
離れて、まだ数日だが、心が痛い。
だけど、目の前のご飯も美味しい。
そう。チャチャは、道照のおかげで、今の自分の境遇を与えて貰っていることを十分に理解している。
道照。どうか無事に帰ってきて。
あなたが失敗をすると、きっと私は追い出されるの。手柄を立てて、この生活を守って。
……結構下種だった。
アバルス子爵の兵達を、話を聞きながら二手に分ける。
だが、狐たちも反対派だったようで、疎まれてこの遠征に参加させられたようだ。ハウンド侯爵家で仕事をくれれば役に立つと懇願される。
まあ素直に聞ける話でもないが。
ある危険性を踏まえながら、セバスティヌと、話を詰めていく。
その場で救出目標を定め、その日のうちに、アバルス子爵の領都へと侵攻をする。
自軍の兵にも理由は告げず、地図を見て、拠点拠点に馬車と食料を配置しつつ侵攻。
闇に紛れて、人たちを攫っていく。
アバルス子爵に連絡が入る。
「アバルス様。今回、どうやら全滅したようです。偵察部隊が、うち捨てられた兵糧を引いていた荷車を発見いたしました」
「そうか。やったな、手順通り進めよ」
「はい」
アバルス子爵と家宰は、これからのことを考え、悪い笑顔を浮かべる。
寝返った兵達と、火を囲み。打ち合わせをする。
「セバスティヌさんも、それでいいかな?」
「ええ。ただ問題が一つ、関所が街道沿いにありますが、いかがいたします?」
「どうして、関所を通るんだ?」
「はっ? あっいえ。そうでございますね」
少し考え、聞いてみる。
「関所には狐がいるのか?」
「部隊の上層部は狐ですので、関所には二人でしょうか?」
それなら潰そうかとも思ったが、面倒が大きくなりそうだし、あまり派手にやると王家が出てくるようだ。
この際介入させようかとも思ったが、王家が出てくるようになると、ペナルティが付くそうなので回避することにしよう。
関所は丁度領の境を流れる川。いや逆だな川を境にしてある為、橋の両側に各家の関所がある。
関所ではツォルと呼ばれる税金がかかる。入るときに銀貨一枚。出るときにも銀貨一枚。
さらに、デシャルム子爵側では、荷物や荷車その他目に付くものには税金がかかる。名目としては領内での往来についての護衛料金。だが盗賊自体が、デシャルム子爵の子飼いだったりする。
やっていた本人が、目の前に居て、泣きながら語っている。
「目的は、荷物と金品でおとなしく払えば怪我などさせません。ただ、見目の良い女は狐どもが連れて行きます」
「うーん。話を聞いて、潰しても良いような気がしてきたな」
セバスティヌさんに話を振ってみる。
「できれば、それがようございます。領主は駄目ですが、領自体は非常に風光明媚な良い所でございます。それで、これが関の上下。地形の絵図でございます」
「この川の横にちょこちょこある印が、見張り小屋かな?」
「そうです。お互いに位置は話し合いで決まっておりますので、多分違いは無いかと。ただ、約定を守っておればでございますが」
少し上流側へ回り込めば、渡れるところはいくらでもありそうだ。
こういう所は、ガバガバだな。
その頃、デシャルム子爵は苛つきながら、連絡を待っていた。
「遅い。連絡はまだか?」
「今回は、遅うございますな」
「ではやっと、手を出してくれたのか?」
「それならばそれで、連絡が来るはずですが、来ていません」
「ぬう。幾度も手間を取らせおって」
「今回は、けが人か死人が出るまで、帰ってくるなと言ってありますから、大丈夫では?」
「そうだな」
彼らは、ハウンド領、いや本来は我らの領内を通過中、攻撃を受けた、その事実が欲しかった。
だが、無理矢理送りだした反抗勢力達は、『攻撃を受けましたので、帰ってきました』そう言って、喜び帰ってくる。
「被害はどのくらいだ?」
「えっ? ありません」
「じゃあ、どうして帰ってきた?」
「攻撃を受けましたので。ご命令通り帰ってきました」
「それでは、意味がないではないか」
そう、アバルス子爵家としては、他領の関を押し通ったことを、うやむやにできるほどの被害を受けたと言う事実が欲しい。
今の状態では、関を押し通った、こちらばかりが悪い。
むろん虚偽報告で、王家に対し裁定を依頼するのも考えたが、ハウンド領はそれなりに王家からの信任が厚い。
「ええい。あの銀山は元々我が領だったのに」
悔しがるアバルス子爵だが、基本的に古い地図の読み間違い。
だが、それを指摘せず、『そうです。あの銀山は我が領の物』と言いだし、いつの間にかそれが、領内上層部では本当の事だとなってしまった。
最初は川を数え違えただけ。
だが、自身の土地だと言いたいが為に、軍を派遣する。
攻撃を受ければ、王家への陳情準備はできている。
その頃、ハウンド侯爵の館で、チャチャは悩んでいた。
村で夫から追い出され、森を彷徨い。本当に死にそうだった。
道照に会ったとき、実はかなりのダメージを負っていたが、ふさふさな毛がその表情を隠していた。
むろん、普段に比べ毛艶も悪く。腰がなくへにゃっとしていた。道照は気がつかなかったが、かなりきつい状態だった。
食べ物と、水。それだけで本当に生き返り、同族なら我が身を持ってお礼をしただろう。道中、彼はとんでもない事もしでかしたが、基本的に善人であることは分かっている。彼が、獣人であったら。きっと夫として、迎え入れたはず。
離れて、まだ数日だが、心が痛い。
だけど、目の前のご飯も美味しい。
そう。チャチャは、道照のおかげで、今の自分の境遇を与えて貰っていることを十分に理解している。
道照。どうか無事に帰ってきて。
あなたが失敗をすると、きっと私は追い出されるの。手柄を立てて、この生活を守って。
……結構下種だった。
アバルス子爵の兵達を、話を聞きながら二手に分ける。
だが、狐たちも反対派だったようで、疎まれてこの遠征に参加させられたようだ。ハウンド侯爵家で仕事をくれれば役に立つと懇願される。
まあ素直に聞ける話でもないが。
ある危険性を踏まえながら、セバスティヌと、話を詰めていく。
その場で救出目標を定め、その日のうちに、アバルス子爵の領都へと侵攻をする。
自軍の兵にも理由は告げず、地図を見て、拠点拠点に馬車と食料を配置しつつ侵攻。
闇に紛れて、人たちを攫っていく。
アバルス子爵に連絡が入る。
「アバルス様。今回、どうやら全滅したようです。偵察部隊が、うち捨てられた兵糧を引いていた荷車を発見いたしました」
「そうか。やったな、手順通り進めよ」
「はい」
アバルス子爵と家宰は、これからのことを考え、悪い笑顔を浮かべる。
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