異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり

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第四章 経済共和制の国

第48話 水の精霊

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 三階は、ワームに魚と来たから鯨関係と思ったら、獣人が出てきた。
 リザードマンかな?

 わらわらと、水中から現れておおよそ、五十以上。早速槍を構えて、戦闘態勢。

「あれは、モンスターかな? 獣人かな?」
「モンスターじゃないでしょうか?」
「じゃあ、獣人なら紛らわしいことしているのが悪い。と、言うことで。水なら雷ぃ」
 ぶわっと霧が発生して、一気に気温が下がる。
 それだけで、オロオロし始める。リザードマン達。

「てい」
 その瞬間、氷の結晶が震動を始めて、帯電をする。
 それが、限界を超え。電位的に安定しようと、走り始める。

 直撃しても、しなくても、近くに落ちれば十分。
「ひゃあぁ。綺麗です」
「うん神秘的。綺麗」
 二人も雷に慣れたようだ。

 一応、また道を造り、歩き始める。
 結構魔力を使ったはずなのに、まだ全然平気。
 歩みを進めるたびに、わらわらと、水中から湧いてくる。

「うーむ。面倒」
 土魔法、出でよサンドジャベリン。
 頭の中でイメージする。石化した土の槍を水面に向けて、三十センチメートル幅でうちだしていく。
 今歩いている歩道から始まり、沖に向けてどんどん創る。

「これで良いかな?」
 そうして、すっかり猟奇的な光景になった水面に囲まれて歩き続ける。
 ああ。モンスターは倒れると消えるから問題ない。
 問題は、周りが、針の山となっていること。

 水面から飛び出た針。
 シュールと言わず、他に表現のしようが無い。

 さて、次の階段。
 距離自体は、一フロア。二キロメートルもないから、道がよければサクサク進む。

 うむ。四階はぎょぎょの魚人。
 リザードマンに比べて、口が横に広く。目がぎょろり。前腕や上腕。背中にも鰭がある。
 魔法の水球や、ジャベリンを使ってくる。

「お返ししよう。出でよニードル」
 こちらの岸から、全方位に向かい、ニードルが生えていく。
 悲鳴を上げる暇も無く消えて黒い霧となっていく。
 そのたびに、魔石かな何かが、水の中へ落ちていく。
 もったいないという意識を遮断する。見ちゃ駄目だ。気にするな。

 そして変わらず、道を造る。
 アンニュイ。
「お茶にしよう。針の山を見ながら、お茶をするのもおつなものだよ。きっと」
「そうですね。体力的には平気なのですが、何でしょう? 変な疲れが出ますね」
「そうね、なんだか疲れたわ」

 テーブルと、椅子のセットを出す。
 お茶と、前に作ったクッキー。
「サクサク。甘くて美味しいです」
「蜂蜜入りだからな。疲れには良いだろう」
 上品に食べるシルヴィと、口へ詰め込むテレザ。

 それをつまみに紅茶を飲む。
 そう言えばこの世界、お茶っ葉を摘んで、運ぶ途中に勝手に発酵をするって本当かな? 今度調べよう。

「さあ行くか」
 針山の池の中では、モンスターが復活をしている雰囲気はない。
 ボスも出ず、五階へ降りる。

「あー。これは参った」
 景色はがらりと変わり、両側が曲線の滝に囲まれた舞台。
 舞台を囲むように滝壺が有り、奥側にある滝壺からは、にょろりんとした何かが、鎌首をもたげている。

「何者かな?」
「蛇にしては大きいですし、鰭のようなものも付いています」
 見ていると、パッカりと口が開き、突然水流を吐き出してきた。
 二人を抱えて、横に逃げるが、追いかけてくるよね。

 諦めて、シールドを張る。
 シールドに少し尖った角をつけて流しつつ、前に進む。

 二十メートルくらいに近付いて、得意の雷。
 だが奴は、周囲に水の膜を張り、雷を流しやがった。

 なら。火魔法で槍を創り撃ち出す。だが、そのくらいでは水の膜を通過できない。
「だっ。面倒な奴」
 向こうの武器は、物理以外は無く、幸いにも水流のみのようだ。

「雷と、火が駄目なら、凍るが良い。超能力絶対零度ぉ」
 歳がばれるな。

 周りに冷気が漂い、水の粘性がわずかに上がる。
 周りは海水のようだが、徐々に飛沫などから凍り始める。
 モンスターは、それに気がついたのだろう。
 あわてて、大量の水を吹き出すが、地面に触れて先から凍り始める。

 それに、口から吐いているのかと思ったら、俺と同じく魔力のごり押し水魔法のようだ。

 ならば簡単。
 魔力に干渉してあげよう。
 魔力が水に変わる前に、干渉して変化を冷気に変える。
 溶かそうとして、吹き出せば周辺が凍る。
 どうだ、悪どいだろう。

 やがてそれにも気がつき、本人大焦り。
 動ける範囲が、狭くなったところで動くから、鱗で守られた体も硬度の上がった氷で徐々に傷がつき始める。

 ジタバタしているが、完全に上半身は氷の上。
 最初の威厳はどこへやら。
 やがて、変温モンスターだったのか、動きが止まってくる。
 パタンと倒れて、動きが止まる。

 そして、力尽きたのか。ボフッと黒い霧となり消えていく。

 氷の上に、三十センチメートルはありそうな魔石や、同じく鱗。
 変わった宝石っぽい、直径一センチメートルほどの青い玉が、五つほど。
 一振りのナイフ。材質がガラスのように透明なブルーだが、冷たくもなく堅い。

 そして、現れる裸のお姉さん。
 半透明だけど。

 そして、俺達が近付くと、迷いなく俺に近づきふっと抱きついて来る。躊躇無くキスをされる。
 シルヴィとテレザの目が怖いが、それどころではない。
 魔力が存分に取られて、そっと離れる。こいつは、きっと水の精霊だろう。

「水、青、碧、いや、瑠璃(るり)にしよう」
 流れで、名前をつける。桜の時の記憶があるからな。

「ありがとうございます。やっと力が戻りました。何かお困りの時にはお呼びください」
「ごめん。早速だが、此処のクリスタルはどこ?」
 水の精霊が下を指さす。
「この滝壺の中にございます。お手伝いいたしましょう」

 そう言うと、氷の床が抜け、下へと降りていく。
 何故かその間、俺に瑠璃はしがみつく。
 そして、やっぱり力が、抜かれている。
 十メートルほど落下をして、滝壺の底へ到着。
 水はドーム状になって落ちてこない。これは、瑠璃の力なのだろう。

 見ると、水の底に光り輝くクリスタル。
 そっと両手で掴む。
 その瞬間、光がクリスタルから失われる。

「おめでとうございます。それでは戻りましょう」
 そうして、今度は足下から水に押し上げられる。だがこれ、失敗すると沈しそう。
 そのまま、氷の上まで押し上げてくれて、滝壺から舞台に上がる階段まで作ってくれた。
「ありがとう」
 そう言って、離れたはずだが、さすが水。それから後、どこにでも現れるようになった。意外とさみしがり屋のようだ。
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