異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり

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第四章 経済共和制の国

第47話 えっ、何でわざわざ苦労するの?

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 やって来ました、水のダンジョン。
 表に、誰かが立っている。

「止まれ。今ここは処理待ちで、一般ハンターは立ち入り禁止だ」
「ヴェロニクに頼まれた」
 そう言って、カードを見せる。

「ああ゛っ? ヴェロ…… ニク。ギルド長じゃないか。とっとと入れ。早く終わらせろよ」
「分かったよ」
 そう言った後、門番が思いついたように言い出す。

「ここは水だ。休憩はできないし、中の水も飲むな。分かったな」
「分かった。あんたいい人だな」
「おう。気を付けろ」

 実はこの門番、あの調査書を書いた獣人。フィリプ君。
 銀級ハンター。軽い気持ちで仕事を受けて、泣いて帰ってきた。
 普段の水系ならここまで、びっしりワームもおらず、もう少しのどかなのに、二段目並みにキツいダンジョンとなっていた。
「銀級じゃ無理」
 そう言って、報告を出した。

 表層しか調査ができず、罰として門番をさせられていた。

 ダンジョンへ入って行く三人を、心配そうに見送る。


 入り口は、日本のトンネルのようだ。石できっちり外周に補強が入っている。
 だが中へ、少し入ると薄暗く鍾乳洞の雰囲気。
 そしてトンネルを、およそ三十メートルも移動すると、目に見えないが、途中で何か膜を越える。

「いきなり気温と、湿度。それに匂いが変わったな」
「そうですね」
 一応、周りの壁を警戒する。
 こういう所は、スライムが降ってくる事がある。

 鍾乳洞を抜けると、一面の水。
 地面も、いきなり泥っぽくなる。
 報告書の件もあるし、手前で止まる。

 地面を剣の鞘で叩いてみる。
 だがそのくらいでは、なにも起こらない。
「ちょっと試すから、下がって」
 二人を下がらせ、豊富にある湿度に冷気を混ぜ氷にして摩擦させる。
 そう、雷を降らす。

 周辺へちょっとだけと思ったが、池の表面に一気に霧が発生。
 その中から、雷が降り注ぐ。
 ダンジョン内が、真っ白な光に包まれる。

 地面に落ちた雷は、アースされ拡散するが、次から次へと降り注ぐ。
 やがて霧ではなく、水蒸気が上がり始める。
 周囲の気温も随分上がってきた。

 魔力供給をやめる。
 地面から、むわっとした蒸気が湧いてくる。

「うーん? ワームは出てこないな」
 地面を見るが、変化はない。

「終わりましたか?」
 シルヴィが聞いてくる。おもしろがってはいけないが、二人とも尻尾を巻き込み、よちよち歩き。

「ごめん、怖がらせたね」
「凄かったですね」
 テレザもこわごわ覗いてくる。

「だけど、ワームが出てこないんだよね」
「焼けちゃったのでは?」
「確認できないから、仕方ない」
 鍾乳洞の出口から、土魔法で石化させながら隆起させ。壁を造る要領で通路を造っていく。
 土はいくらでもある。

 周囲から土を集め、どんどんと通路を延ばしながら、歩いて行く。
「これは良いですね」
 単なる、池の中の遊歩道散歩になってしまった。

「これは良いのでしょうか? 普通ワームを退治したり、冒険をして進むのでは?」
 シルヴィが聞いてくる。

「うん? 今回は、最奥のクリスタルを取ってくれば良いのだろう。それが目的。手段は何でも良いはず。ならば効率優先。それこそが真理」
 思わず力を入れて、力説してしまった。

 これは、某先生が言っていた言葉。
 『専用の機械じゃなくても、結果が出せれば良い。高い機械が買えなくても、AとBこの機械の結果から答えが導ければ一緒だろ。お金があれば、機械を買えれば時間の短縮できる。だが、無ければ、ベストじゃなくてもベターでも良いんだよ。負け惜しみだけどね』
「だから、できるなら効率優先。できなければ、次案で行く。だが今は、できるから、土魔法でワームのこられない石の通路を造る」

 二人とも、へーと言う顔をしているが、納得していない様子だ。
「安全で早いし、何より楽だ。それが良いだろ。苦労は、どうしようもない時用に取っておこう」
 そう言うと、納得した様だ。

 少し探したが、下へ降りる階段を見つける。
 近付くと、ゲートキーパーなのか、体長十メートルくらい。太さ五十センチくらいのワームが出てきた。
 出会い頭に、雷を落とす。

 モグラたたきのようだ。

 階段へ、通路をつなげる。

 二階へ。
 代わり映えの無いような水辺。
 土魔法で盛り上げていると、周囲の水から魚が通路へぶち当たる。
 小さなノコギリザメとか、サヨリみたいな吻(ふん)を持った魚たちがピチピチと水面に飛び上がり、壁にぶつかってくる。
 高さを三メートルくらいまで上げると、完全に届かないようだ。

 移動しながら見ていると、震動や影では説明ができないタイミングで飛んでくる。
「この魚たち、何を見ているのでしょう?」
「さあね、体温じゃ厳しいだろうし、震動が微妙でも伝わるのかな?」
「固有魔力かもしれませんね」
「ああ。そんなものも感知できるのか? おもしろいなあ」

 そうして、最後に飛んできたカジキを捕まえて、捌いてみる。
 だが腹びれから、剣を入れて首を落とした瞬間。黒い煙となって消えてしまった。
「なんだこれ?」
「魔石と、鱗ですかね」
「残るのなら、何か使えるのかもしれない」
 一応ストックをする。

「さて次だ」
 階段を降りる。
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