異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり

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第四章 経済共和制の国

第46話 宿での休養

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 食事を取って、身体に異常がない事を確認する。

 問題は、だ。
 お湯を貰い、身体を拭う。
 それは良い。良いんだが……。

 ぽいぽいと、二人は簡単に服を脱ぐ。あげく。
「早くしないと、冷めますよ」
 あっという間に、一糸まとわぬ裸体が二つ。

「……いや、脱ぐんだ」
「その方が、早いじゃないですか」
 本気で二人は、その辺りを気にしないようだ。
 でもね、獣人と違って、亜人は、ほぼ人間なんだよ。

「はいはい。脱いでください」
 そう言って、脱がされる。

「変わった服ですね」
 この世界に来てから、ずっと着ている服。白いが汚れないし破れない。
 脱ぐと分かるが、いきなり肌寒くなった。
 この服。エアコン付きだったのか。

 それでまあ、前と後ろから体を拭かれるんだが、途中に入る。掌でのなで回しと、頬でスリスリは何だろう。
 マーキング?

「肌が白くて綺麗」
「そうよね。日焼けもしていないし」
 二人に注目されて、観察される。
 そうか、亜人は奴隷だったから、こういうのがきっと普通なんだよね。
 きっと。
 二人の視線が下半身で止まっているけれど、ソレもきっと。たぶん。

 固まっていると、声が掛かる。
「すみません。背中をお願いします」
 そう言って、二人とも背中を向けてくる。

「あー。うん」
 こしこしと背中を拭く。
 お湯でゆすいで、絞って拭いて。
 無心で繰り返す。

「やっぱり、さっぱりするわね」
 和気藹々。

 下着と服は、纏めて浄化をする。
 これは、普段もやっている事。
 彼女達は、きちんと下着を着ている。

 ブラは微妙だから、今度作っても良いかもしれない。

 ドアの近くに、トラップ代わりにお湯の入った桶を置く。

 椅子も、倒して適当に配置。
 おかしな行動だが、その意図は彼女達に通じたようだ。

 四人部屋と言うだけあって、部屋が二つに分かれて、大きめのベッドが据えられていた。
 言った通り、かなりゆったりした造り。

 ベッドに入ると、何故か二人も一緒に入ってくる。
「向こうの部屋にも、ベッドがあるよ」
 そう振ってみたが、回答はいつも一つ。
「「危険ですから」」
「そうですか」

 そして、どちらにしろ、周囲の気配を探りながら眠りにつく。

「今日来た亜人達は、どこかの良いところに居たようだね。計算もできていたし」
「噂のせいで、希望を抱いてやってくるが、力がなくて命を落とすか、またどこかの奴隷になってしまう。命を助けてくれたあの人達も、結局ダンジョンで命を落とした。危険なのが、モンスターだけじゃないというのがなあ」
「同じ獣人として、悲しいねえ」

 昔、道中で盗賊に襲われたときに、腕に覚えがあった亜人に助けられた二人。だが、ダンジョンでの探査中。行方不明になったと聞いたが、質の悪いハンター内で亜人狩りが流行った事がある。きっとその被害にあったのだろうと、二人は考えている。


 翌朝、問題がなかった事に安堵をする。
 きっちりと俺を拘束している、二人の腕をほどき。ベッドから出る。

 トラップにしてあった椅子などを、まともに直し、桶を廊下へと出す。

 最近日課となっている、ティーセットを取り出して、紅茶を入れる。
 一息ついていると、ドアがノックされる。
 気配は一つ。
 ドアを少し開けると、女将さんだった。

「おはよう。休めたかい」
「おはようございます。おかげさまで」
「昨日聞いていなかった。朝食はどうするね」
「では三つ。料金は?」
「朝は、銅貨五枚で良いよ」
「じゃあ、十五枚」
 しまった。気を緩めて亜空間収納から取り出した。

「あんた、魔法が使えるのかい?」
 少し驚いたようだ。だが少し。と、言うことは、ハンターには魔法が使える人間が多いのか?

「ええ」
「それで。納得したよ」
 何かを、納得をしたようだ。

「すぐに持ってくるよ」
「お願いします」

 本当にすぐに来た。
 朝食を受け取り、二人を起こしに行く。
 シルヴィを起こそうと、肩に触れようとすると、急に向きを変えてずり上がる。
 さっきと違い、そのまま手を下ろせば胸。さすがに手が止まる。

「起きているなら、起きろ。朝食が来た」
「おはようございます。神乃さん。聞いて良いですか?」
 じっとこっちを見つめてくるシルヴィ。

「うん? なに?」
「神乃さんは、子作りに興味が無いのでしょうか?」
「はっ?」
 いきなりの朝っぱらから、ド直球の質問。さすがに困惑をする。

「いえ。ですから。子作り」
 いきなりの真っ向勝負。多少もじもじしている感じがさらにやばい。

「興味はあるが、今はまだ、確認したいこともあるし行きたいところもある。子供が出来れば、諦めないといけないというのは少し困る」
 少しずるいが、一応説明をする。

「では、子供ができれば、私はチトセへ帰り。お待ちしています」
 凄く嬉しそうな顔だが、断ろう。

「見えないところで、君だけが苦労して育てるのも嫌だし、共に育てたいだろう」
 そう言うと耳がへにょっとなる。

 だが、地球での子育ての記憶がある。
 三時間おきに、お腹がすいたと泣き、おむつが濡れたと無く。
 それを一人でさせるのは大変。
 半年もすれば落ち着くが、すぐに這い出すし、一年もすれば歩き出す。
 予測のできない動き。
 大変だった。

「あう。奴隷では、基本お母さんが一人で育てるので、気になりませんが、共にというのは嬉しいです」
「じゃあ私もぉ」
 シルヴィの後ろから、テレザの手が出てくる。
 賛同の挙手か?

「それと、子供が出来ないようにするなら、良いのですね」
 テレザの顔が、シルヴィの背後から出てくる。満面の笑みだが、少し黒いものが滲んでいる。

「何だそりゃ?」
「ふっふっふ。暗殺用に色々とあるのです」
 あーうん。なんだか定番だよね。くノ一とか?

「あっそう。まあ食事をして、ダンジョンへ行こう」
「「はーい」」

 意外と亜人も怖いぞ。
 怒るとナニをするか分からない。そんな気がする。
 メンタルが日本人?
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