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運命 2
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布団にくるまりリューイは寝ている。
まだわずかに平熱よりも高い熱がある。発情は明日も続くのだろう。
気絶するほどに抱き、腹は膨らむほどに精を出した。
クラートからかなり強力な抑制剤をもらっていたためか、手ひどくはしなかったが回数は多かった。
まだ精力は衰えを見せないらしい。
「それとも、お前が相手だからなのだろうか。リューイ…お前だから、俺はこんなにも昂るのか?」
答えがあるはずもない。しばらくリューイの寝顔を堪能していたが、突如吐き気を催せば部屋を出てキッチンに向かう。薄暗い室内に嘔吐の音が響く。
水で吐き出したものを流せば荒く息をつく。そういえば強力な抑制剤故に副作用も強く出るとクラートは言っていなかったか。
αの遺伝子がより強いウィリディスならば、なおのこと強く出るだろうとクラートは薬を渡しながら言っていたような気がする。
ふたたび嘔吐しながらこのタイミングでよかったと安心した。リューイが起きているときに副作用が出てしまえばリューイが気にするだろう。
嘔吐後特有のにおいにむせながらコップを出してうがいをする。濡れた口回りを拭ってから息を整えた。
「なにしてるんですか」
「…見てのとおりだ。吐いていた」
シンクに凭れていれば、いつ降りてきたのかこちらの様子をうかがうフィーディスがいた。
近寄ってきたフィーディスはこもる匂いに眉を寄せて換気扇を入れる。それからキッチンを離れタオルを浴室から一枚持ってくる。
「具合が悪いのにリューを抱いたんですか」
「抑制剤の副作用だ…具合が悪いわけじゃない」
フィーディスは信じていなさそうである。
未だに険しい顔のままでウィリディスを見ていた。
「……どうして、リューイに本当のことを話さない」
「本当のこと?」
「お前が、すでにαの判定を受けていること、帰るべき家があること…」
「…リューは俺がαであることはもうわかっていると思います。年齢を詐称していることも。それでも俺が伸ばした手をつかんでくれました」
「そうか。なら安心だな」
ウィリディスはよりかかっていたシンクから身を起こす。フィーディスの片眉がわずかに持ち上がった。
安心とは何を意味するのだろうか。自分のもとからリューイが離れても愛してもらえるだろうという考えか。
そんなこと、なにを勝手に思っているのだ。
フィーディスはふつふつと湧き上がる怒りを鎮めようとした。
だが、できなかった。
「先生、俺と賭けをしませんか」
「賭け?何を賭けるというんだ。第一お前はあと少しでここを出ていくんだろう」
「賭けるものはこの先のリューの心。勝敗の決め方は…そうですね、俺がリューを迎えに来てから最初の発情期までにあなたがリューを迎えに来るか否か」
「俺は…」
フィーディスの言葉にウィリディスは何も返答ができない。
それを気にせずフィーディスは言葉をつづけた。
「俺はあなたが迎えに来ないほうに賭けます」
「そうだろうな…」
「あなたが迎えに来なければ俺はリューを手に入れられますから」
「あぁ」
「いいんですね?先生が迎えに来ればリューはそのままあなたに任せます。でも最初の発情期までに来なかったその時は、俺がリューの項を噛みます」
ウィリディスの瞳が揺れる。フィーディスは返答を待たずして背中を向けた。
未だふわふわとリューイの甘いフェロモンが流れているのを感じる。今しばらく発情は続くのだろう。
レックスもシルバもリューイを心配していた。大丈夫だと言い聞かせても顔を曇らせたままだった。
「俺は先生をリューの相手と認めきれない」
フィーディスの言葉はウィリディスがふたたび流した水にかきけされた。
気持ちの悪さはまだ消えない。薬の副作用であるために、更なる薬を追加するわけにもいかない。
ウィリディスは水を煽りソファにもたれていた。
「…明日も飲むべきだろうか…あのまま劣情を煽られ続けたらさすがに俺ももたない…」
ため息とともに言葉が漏れる。
疲れの残る体を無理やり動かしてベッドへと戻る。リューイは毛布の中で丸くなっていた。
毛布ごと抱きかかえるようにして目を閉じる。だがすぐに眠ることはできなかった。
リューイを求めてしまうのも、リューイに求められてしまうのも、ただ互いを好き合っているから、という以上のものであるような気がしてならない。
だがウィリディスは頭に浮かぶその考えを幾度も否定した。それでも否定しきれないのは、この世界に、絶対、というものがないことを知っているからだ。
「リューイ…お前は俺にとっての、運命の番なのか…?すでにフィーディスの運命の番といえる存在なのに?だからお前は発情したし、俺もお前を受け入れたのか」
リューイの寝顔を見つめては思い悩む。
ウィリディスはため息をつく。眠らねばと思うのに甘いかおりで満たされた部屋ではおとなしく眠れるはずもない。
リューイを強く抱き必死に堪える。
「…ウィリディス?」
「っ、すまない、起こしてしまったか」
「ううん…自分で起きただけだよ」
ぬくぬくとした毛布から腕を抜き出してリューイはウィリディスの頬を撫でた。
だがその手を止めれば眉を寄せる。
「吐いた?」
「…抑制剤の副作用だ。心配するほどのものではない」
「本当?俺のために無理したんじゃない?」
リューイはじっとウィリディスを見つめる。
大丈夫だと再度繰り返し、リューイの手をとれば毛布に再び収めた。
「寒くない?」
「お前を抱いていたら気にはならない。お前こそ寒いならば暖房を入れるか」
首を横に振るのを見ればリューイの心配の種が自分が裸であることに気づく。
先程吐いていたときも残念ながら服は着ていなかったはずで、そうなるとフィーディスにあまりにも情けない姿を見られてしまったのだろう。
やや気落ちしつつ、リューイの顔を見つめた。
先程自分の下で乱れていたとは思えないほど顔色がいい。
普段どおりの瞳の色をしている。
「…まだ明日も発情は続きそうだな」
「やっぱりそうかな」
「平熱より少し体温が高めだろう。落ち着いたのならばなにか食べるか?」
「またあとでいい」
リューイはくるまっていた毛布から抜け出せばウィリディスに抱きつく。
その肌はひどく冷たい。震えて抱きついたまま毛布を引き寄せた。
温まっていた毛布の中が冷えてしまう。
「うー、裸でうろうろしてんなよ。風邪引くぞ」
「それはすまない」
「ほら…明日も俺の相手してくれんだろ?寝よう…ウィルは色々考えすぎて寝れないことが多いんだから、何も考えない…」
リューイはとろとろと眠りに落ちていく。だがウィリディスに抱き着く手から力が抜けることはなかった。
リューイの寝息を聞いているうちにウィリディスも眠りに落ちていた。
ほぼ半日をリューイとの行為に費やしており、一度眠りについてしまえば自力で目覚めることなどできるはずもなく、下肢に違和感を覚えるまでは夢の世界にいた。
「はふ…おはよ…ウィル…ちゅっ」
毛布をまくり上げてみればこもった熱でほほを赤くしたリューイが己の熱をなめている姿を見た。
リューイはウィリディスが起きていることに気づけば笑みを浮かべる。再びの発情に飲まれているらしい。
外部からの刺激にゆるく起き上がった熱をゆっくりと手でしごき舌で舐める。時折軽く歯を立てているがその力加減が絶妙で軽く息を止めることになった。
「…ふふ、朝からウィルは元気だね。こんなびんびんになってる…ねぇ、頂戴」
「朝ごはんは」
「いらない。ウィルのこれが俺のごはんだもの」
舌が先端のくぼみをなぞる。
口に咥えてしばらくその味を堪能しているようだった。
「リューイ、放せ。昨日風呂に入ってないから流石にそれは困る」
「…そうだね、すごく汗のにおいがする…」
「お前も一度汗を流そう。それから思う存分抱いてやる」
手を伸ばしほほを撫でればリューイは手を止めた。
ウィリディスの手をつかみ握って微笑む姿を見てから体を起こす。
リューイは毛布から体を出せば軽く震えた。
室内の温度はそう低くはない。抱き寄せてベッドを降りればタオルを二枚手にして部屋を出る。
上のフロアは静かだった。誰とも会わず浴室へ入ればすぐにリューイはシャワーを浴びた。
頭から湯を浴びて昨日の汗を流す。その後シャワーを手にすればウィリディスに向けてくる。
熱い湯を浴びてほっと一息つけばリューイは続いて石鹸を手にした。
「洗ってくれるのか」
「ウィルが俺を洗ってくれるならね」
「もちろんだ」
リューイの手がウィリディスの肌を撫でる。
リューイは時折ちらちらとウィリディスを見上げていた。
「どうした?」
「気持ちいい?」
「あぁ。また眠りそうだ」
「だめ。起きていて」
頬を膨らませるリューイだがウィリディスが体を洗い出すと少し力を入れた。
意識しているわけではないが、リューイは熱を帯びだす体を震わせて息を吐く。
少し温度を下げたシャワーで泡を流せば後ろから抱きしめた。
「二日間も二人きりなの、ウィルの家に行った時以来で、初めてだな」
「そうだな…あぁ。だが、クラートの病院で二人きりだった」
「あの時は俺もウィルのこと好きじゃなかったし」
ウィリディスに体を預けたリューイは不満を口にする。
好きではなかったか、それはきっと自分も、と考えてウィリディスは思考を止めた。
「ねぇ、ウィル。お湯に入りたいから放して」
「あぁ…」
ぎゅっと抱きしめてウィリディスはリューイを放さない。
しばらく好きにさせていたが湯に浸かりたくなったリューイは自分の腹部に回った腕をぺしっと一度たたいた。
ウィリディスの腕が外れればリューイは湯船へと体を沈める。
「ウィルもおいでよ」
「あぁ」
うなずいてリューイと向かい合うように湯へと体を沈めた。
じんわりとした温かさが体を包む。長く長く息を吐き出してウィリディスは縁に寄りかかった。
リューイも暖かさに目を閉じている。何も言葉をかわさないまま二人で湯に浸かる。今度はなにか香り付きの入浴剤でも買ってみるかとウィリディスは考えた。
「ウィル、セックスしたい」
「…おいで」
反対側の縁により掛かるリューイのつぶやきを耳にとめれば招き寄せる。
そばにきてウィリディスに抱きついたリューイはキスをしてくる。
ウィリディスも優しく口づければ湯の中でリューイの熱をしごいた。
すぐさま顔がとろけ甘くフェロモンが漂う。
「立って壁に手を」
「ウィル、後ろからがそんなに好き?俺、顔が見たい…ウィルが気持ちよさそうにしてるの好き」
「ベッドでしてやる。今はこのまま後ろから挿れるから立って壁に手をつくんだ」
リューイは不満そうな空気を出すも大人しく立ち上がればウィリディスに背中を向ける。
壁に手を付けば片手を己の尻に当てる。ウィリディスが挿れる孔を開き快楽を待った。
「本当にお前は…」
「俺、Ωだもん…ウィリディスの、たったひとりのΩだよ…今日もいっぱい愛して」
リューイからの誘いを断る必要はない。
ウィリディスは猛る己を静かにリューイに突き刺した。
まだわずかに平熱よりも高い熱がある。発情は明日も続くのだろう。
気絶するほどに抱き、腹は膨らむほどに精を出した。
クラートからかなり強力な抑制剤をもらっていたためか、手ひどくはしなかったが回数は多かった。
まだ精力は衰えを見せないらしい。
「それとも、お前が相手だからなのだろうか。リューイ…お前だから、俺はこんなにも昂るのか?」
答えがあるはずもない。しばらくリューイの寝顔を堪能していたが、突如吐き気を催せば部屋を出てキッチンに向かう。薄暗い室内に嘔吐の音が響く。
水で吐き出したものを流せば荒く息をつく。そういえば強力な抑制剤故に副作用も強く出るとクラートは言っていなかったか。
αの遺伝子がより強いウィリディスならば、なおのこと強く出るだろうとクラートは薬を渡しながら言っていたような気がする。
ふたたび嘔吐しながらこのタイミングでよかったと安心した。リューイが起きているときに副作用が出てしまえばリューイが気にするだろう。
嘔吐後特有のにおいにむせながらコップを出してうがいをする。濡れた口回りを拭ってから息を整えた。
「なにしてるんですか」
「…見てのとおりだ。吐いていた」
シンクに凭れていれば、いつ降りてきたのかこちらの様子をうかがうフィーディスがいた。
近寄ってきたフィーディスはこもる匂いに眉を寄せて換気扇を入れる。それからキッチンを離れタオルを浴室から一枚持ってくる。
「具合が悪いのにリューを抱いたんですか」
「抑制剤の副作用だ…具合が悪いわけじゃない」
フィーディスは信じていなさそうである。
未だに険しい顔のままでウィリディスを見ていた。
「……どうして、リューイに本当のことを話さない」
「本当のこと?」
「お前が、すでにαの判定を受けていること、帰るべき家があること…」
「…リューは俺がαであることはもうわかっていると思います。年齢を詐称していることも。それでも俺が伸ばした手をつかんでくれました」
「そうか。なら安心だな」
ウィリディスはよりかかっていたシンクから身を起こす。フィーディスの片眉がわずかに持ち上がった。
安心とは何を意味するのだろうか。自分のもとからリューイが離れても愛してもらえるだろうという考えか。
そんなこと、なにを勝手に思っているのだ。
フィーディスはふつふつと湧き上がる怒りを鎮めようとした。
だが、できなかった。
「先生、俺と賭けをしませんか」
「賭け?何を賭けるというんだ。第一お前はあと少しでここを出ていくんだろう」
「賭けるものはこの先のリューの心。勝敗の決め方は…そうですね、俺がリューを迎えに来てから最初の発情期までにあなたがリューを迎えに来るか否か」
「俺は…」
フィーディスの言葉にウィリディスは何も返答ができない。
それを気にせずフィーディスは言葉をつづけた。
「俺はあなたが迎えに来ないほうに賭けます」
「そうだろうな…」
「あなたが迎えに来なければ俺はリューを手に入れられますから」
「あぁ」
「いいんですね?先生が迎えに来ればリューはそのままあなたに任せます。でも最初の発情期までに来なかったその時は、俺がリューの項を噛みます」
ウィリディスの瞳が揺れる。フィーディスは返答を待たずして背中を向けた。
未だふわふわとリューイの甘いフェロモンが流れているのを感じる。今しばらく発情は続くのだろう。
レックスもシルバもリューイを心配していた。大丈夫だと言い聞かせても顔を曇らせたままだった。
「俺は先生をリューの相手と認めきれない」
フィーディスの言葉はウィリディスがふたたび流した水にかきけされた。
気持ちの悪さはまだ消えない。薬の副作用であるために、更なる薬を追加するわけにもいかない。
ウィリディスは水を煽りソファにもたれていた。
「…明日も飲むべきだろうか…あのまま劣情を煽られ続けたらさすがに俺ももたない…」
ため息とともに言葉が漏れる。
疲れの残る体を無理やり動かしてベッドへと戻る。リューイは毛布の中で丸くなっていた。
毛布ごと抱きかかえるようにして目を閉じる。だがすぐに眠ることはできなかった。
リューイを求めてしまうのも、リューイに求められてしまうのも、ただ互いを好き合っているから、という以上のものであるような気がしてならない。
だがウィリディスは頭に浮かぶその考えを幾度も否定した。それでも否定しきれないのは、この世界に、絶対、というものがないことを知っているからだ。
「リューイ…お前は俺にとっての、運命の番なのか…?すでにフィーディスの運命の番といえる存在なのに?だからお前は発情したし、俺もお前を受け入れたのか」
リューイの寝顔を見つめては思い悩む。
ウィリディスはため息をつく。眠らねばと思うのに甘いかおりで満たされた部屋ではおとなしく眠れるはずもない。
リューイを強く抱き必死に堪える。
「…ウィリディス?」
「っ、すまない、起こしてしまったか」
「ううん…自分で起きただけだよ」
ぬくぬくとした毛布から腕を抜き出してリューイはウィリディスの頬を撫でた。
だがその手を止めれば眉を寄せる。
「吐いた?」
「…抑制剤の副作用だ。心配するほどのものではない」
「本当?俺のために無理したんじゃない?」
リューイはじっとウィリディスを見つめる。
大丈夫だと再度繰り返し、リューイの手をとれば毛布に再び収めた。
「寒くない?」
「お前を抱いていたら気にはならない。お前こそ寒いならば暖房を入れるか」
首を横に振るのを見ればリューイの心配の種が自分が裸であることに気づく。
先程吐いていたときも残念ながら服は着ていなかったはずで、そうなるとフィーディスにあまりにも情けない姿を見られてしまったのだろう。
やや気落ちしつつ、リューイの顔を見つめた。
先程自分の下で乱れていたとは思えないほど顔色がいい。
普段どおりの瞳の色をしている。
「…まだ明日も発情は続きそうだな」
「やっぱりそうかな」
「平熱より少し体温が高めだろう。落ち着いたのならばなにか食べるか?」
「またあとでいい」
リューイはくるまっていた毛布から抜け出せばウィリディスに抱きつく。
その肌はひどく冷たい。震えて抱きついたまま毛布を引き寄せた。
温まっていた毛布の中が冷えてしまう。
「うー、裸でうろうろしてんなよ。風邪引くぞ」
「それはすまない」
「ほら…明日も俺の相手してくれんだろ?寝よう…ウィルは色々考えすぎて寝れないことが多いんだから、何も考えない…」
リューイはとろとろと眠りに落ちていく。だがウィリディスに抱き着く手から力が抜けることはなかった。
リューイの寝息を聞いているうちにウィリディスも眠りに落ちていた。
ほぼ半日をリューイとの行為に費やしており、一度眠りについてしまえば自力で目覚めることなどできるはずもなく、下肢に違和感を覚えるまでは夢の世界にいた。
「はふ…おはよ…ウィル…ちゅっ」
毛布をまくり上げてみればこもった熱でほほを赤くしたリューイが己の熱をなめている姿を見た。
リューイはウィリディスが起きていることに気づけば笑みを浮かべる。再びの発情に飲まれているらしい。
外部からの刺激にゆるく起き上がった熱をゆっくりと手でしごき舌で舐める。時折軽く歯を立てているがその力加減が絶妙で軽く息を止めることになった。
「…ふふ、朝からウィルは元気だね。こんなびんびんになってる…ねぇ、頂戴」
「朝ごはんは」
「いらない。ウィルのこれが俺のごはんだもの」
舌が先端のくぼみをなぞる。
口に咥えてしばらくその味を堪能しているようだった。
「リューイ、放せ。昨日風呂に入ってないから流石にそれは困る」
「…そうだね、すごく汗のにおいがする…」
「お前も一度汗を流そう。それから思う存分抱いてやる」
手を伸ばしほほを撫でればリューイは手を止めた。
ウィリディスの手をつかみ握って微笑む姿を見てから体を起こす。
リューイは毛布から体を出せば軽く震えた。
室内の温度はそう低くはない。抱き寄せてベッドを降りればタオルを二枚手にして部屋を出る。
上のフロアは静かだった。誰とも会わず浴室へ入ればすぐにリューイはシャワーを浴びた。
頭から湯を浴びて昨日の汗を流す。その後シャワーを手にすればウィリディスに向けてくる。
熱い湯を浴びてほっと一息つけばリューイは続いて石鹸を手にした。
「洗ってくれるのか」
「ウィルが俺を洗ってくれるならね」
「もちろんだ」
リューイの手がウィリディスの肌を撫でる。
リューイは時折ちらちらとウィリディスを見上げていた。
「どうした?」
「気持ちいい?」
「あぁ。また眠りそうだ」
「だめ。起きていて」
頬を膨らませるリューイだがウィリディスが体を洗い出すと少し力を入れた。
意識しているわけではないが、リューイは熱を帯びだす体を震わせて息を吐く。
少し温度を下げたシャワーで泡を流せば後ろから抱きしめた。
「二日間も二人きりなの、ウィルの家に行った時以来で、初めてだな」
「そうだな…あぁ。だが、クラートの病院で二人きりだった」
「あの時は俺もウィルのこと好きじゃなかったし」
ウィリディスに体を預けたリューイは不満を口にする。
好きではなかったか、それはきっと自分も、と考えてウィリディスは思考を止めた。
「ねぇ、ウィル。お湯に入りたいから放して」
「あぁ…」
ぎゅっと抱きしめてウィリディスはリューイを放さない。
しばらく好きにさせていたが湯に浸かりたくなったリューイは自分の腹部に回った腕をぺしっと一度たたいた。
ウィリディスの腕が外れればリューイは湯船へと体を沈める。
「ウィルもおいでよ」
「あぁ」
うなずいてリューイと向かい合うように湯へと体を沈めた。
じんわりとした温かさが体を包む。長く長く息を吐き出してウィリディスは縁に寄りかかった。
リューイも暖かさに目を閉じている。何も言葉をかわさないまま二人で湯に浸かる。今度はなにか香り付きの入浴剤でも買ってみるかとウィリディスは考えた。
「ウィル、セックスしたい」
「…おいで」
反対側の縁により掛かるリューイのつぶやきを耳にとめれば招き寄せる。
そばにきてウィリディスに抱きついたリューイはキスをしてくる。
ウィリディスも優しく口づければ湯の中でリューイの熱をしごいた。
すぐさま顔がとろけ甘くフェロモンが漂う。
「立って壁に手を」
「ウィル、後ろからがそんなに好き?俺、顔が見たい…ウィルが気持ちよさそうにしてるの好き」
「ベッドでしてやる。今はこのまま後ろから挿れるから立って壁に手をつくんだ」
リューイは不満そうな空気を出すも大人しく立ち上がればウィリディスに背中を向ける。
壁に手を付けば片手を己の尻に当てる。ウィリディスが挿れる孔を開き快楽を待った。
「本当にお前は…」
「俺、Ωだもん…ウィリディスの、たったひとりのΩだよ…今日もいっぱい愛して」
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