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幼少期編
4.知らない事実
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我がサイフォン家は古くから続く騎士の家系であり、王家守護騎士として王家直々に使える家柄だ。
だが近衛騎士と言うわけではなく、ここ何代かは王都を守護する守備兵の任務が主である。
このまま行けば政治的な理由から我が家は平民として過ごす事になるかもしれない。
戦争の無い今の平和な時代、守もなにも街の警備くらいしかやる事がないのだから……。
「アレク!帰ったぞ!」
「父上お帰りなさい!」
「おう!今日の鍛錬はどうだった?」
「爺にまた剣ごと放り投げられました」
「がははははっ!小さなお前ではそうだろうな!だがな、お前はサイフォンの血を引く者だ。必ず身体も大きくなり、いずれあんなポニーテール爺さんなんかひとひねり出来る!」
「は、はぁ」
「ぐははははっ!じゃ大きくなる為に飯を喰うぞ!それっ!」
父は私を持ち上げる。
持ち上げられた私の視線は高さ2メートル30といったところだろう。
高い!
身長2メートルを超える身長の持ち主である父、ガイナス・サイフォン騎士爵。
普段は大きな剣を腰にしているが、彼の主たる武器は槍である。
2メートルを超える大男が3メートルを超える槍を構えるのだ。
普通の人ならちびって逃げ出す。
そんな父が街を巡回しているのだから王都が平和でないはずもない。
平和と言えば、最近姿を見ないハルの事が気になっていた。
現代社会と違い、この世界は未だ未熟な所が多い。
平民の一家族が急に消えたとしても、大事にはけっしてならない。
この世界で情報を得るには王家発行の新聞か自分の足、もしくは……。
「そういえば父上」
「ん?」
「最近街で赤い髪の少年を見ませんでした?」
「あぁお前がたまに連れて来るあの赤毛の少年か」
「ええ」
「どうした?喧嘩でもしたか」
「いえ、そう言うわけでもないのですが」
視線を逸らす私に何か思ったのか。
「ふむ。少し調べておこう」
「あ、ありがとうございます!」
――そう。もしくは、王都守備兵の情報網だ。
――――
――
その日の晩、サイフォン家のリビングにて大男がソファーで手芸をする妻を横目にワインを口に運ぶ。
「アレクは寝たか?」
「ええ、先程」
「そうか」
「いかがいたしました?」
手芸の手を止めるテレサ・サイフォン。ガイナス・サイフォンの妻であり、アレクの母である。
「いや、アレクの友達の事なんだが……」
「テルマイル嬢の話なら先日したじゃありません事?」
「あ、いや、そっちではなくだな。ハル嬢の事だ」
「……あなた。まさかまだ伝えていないのですか?」
「ま、そのなんだ。タイミングを逃したと言うかそのだな……」
「あなた!あなたが自分から言うと言うのでお任せしていたのに、あれからどれくらい月日が経ったとお思いです!」
「すまん!だがアレクも悪いんだぞ!あんな可愛い少女を男の子と間違えてるアイツが悪い!」
「はぁ~この親子は……まぁ教会が認定した少女です、いずれ教会から発表もございましょう。アレクが気付くならそれはそれ。気付かなければ平民の家族が一つ行方不明になったといずれ自分で心の処理をするでしょう」
「だがなぁ……教会の方でもハル様がアレクと会わせろと駄々をこねているご様子だと聞き及んでいてな……」
「そこまでおっしゃるならちゃんと申せばよろしくって?それより問題なのはテルマイル様の方です!」
プンプンとはこう言う時に使う言葉なんだろうなと、ガイナスは妻から視線を外しワインを煽る。
「はぁ~、うちの息子はなんでややこしい御仁からこうも好意を寄せられるんだ」
「あら。モテるのは父親似じゃないですか」
「え?」
「あなたも学生時代におモテになられてたじゃないですか」
「俺がモテたのはお前だけだぞ?告白されたのもお前しかおらん」
「……そうですね」
「なんだ今の間は」
「なんでもございません」
結局、聖女ハル嬢に関してはアレクの気付きに任せる事にしたガイナスは、明日の昼食は平民街の狸亭で東方の蕎麦でも食べるか。と再びワインを口に運んだ。
だが近衛騎士と言うわけではなく、ここ何代かは王都を守護する守備兵の任務が主である。
このまま行けば政治的な理由から我が家は平民として過ごす事になるかもしれない。
戦争の無い今の平和な時代、守もなにも街の警備くらいしかやる事がないのだから……。
「アレク!帰ったぞ!」
「父上お帰りなさい!」
「おう!今日の鍛錬はどうだった?」
「爺にまた剣ごと放り投げられました」
「がははははっ!小さなお前ではそうだろうな!だがな、お前はサイフォンの血を引く者だ。必ず身体も大きくなり、いずれあんなポニーテール爺さんなんかひとひねり出来る!」
「は、はぁ」
「ぐははははっ!じゃ大きくなる為に飯を喰うぞ!それっ!」
父は私を持ち上げる。
持ち上げられた私の視線は高さ2メートル30といったところだろう。
高い!
身長2メートルを超える身長の持ち主である父、ガイナス・サイフォン騎士爵。
普段は大きな剣を腰にしているが、彼の主たる武器は槍である。
2メートルを超える大男が3メートルを超える槍を構えるのだ。
普通の人ならちびって逃げ出す。
そんな父が街を巡回しているのだから王都が平和でないはずもない。
平和と言えば、最近姿を見ないハルの事が気になっていた。
現代社会と違い、この世界は未だ未熟な所が多い。
平民の一家族が急に消えたとしても、大事にはけっしてならない。
この世界で情報を得るには王家発行の新聞か自分の足、もしくは……。
「そういえば父上」
「ん?」
「最近街で赤い髪の少年を見ませんでした?」
「あぁお前がたまに連れて来るあの赤毛の少年か」
「ええ」
「どうした?喧嘩でもしたか」
「いえ、そう言うわけでもないのですが」
視線を逸らす私に何か思ったのか。
「ふむ。少し調べておこう」
「あ、ありがとうございます!」
――そう。もしくは、王都守備兵の情報網だ。
――――
――
その日の晩、サイフォン家のリビングにて大男がソファーで手芸をする妻を横目にワインを口に運ぶ。
「アレクは寝たか?」
「ええ、先程」
「そうか」
「いかがいたしました?」
手芸の手を止めるテレサ・サイフォン。ガイナス・サイフォンの妻であり、アレクの母である。
「いや、アレクの友達の事なんだが……」
「テルマイル嬢の話なら先日したじゃありません事?」
「あ、いや、そっちではなくだな。ハル嬢の事だ」
「……あなた。まさかまだ伝えていないのですか?」
「ま、そのなんだ。タイミングを逃したと言うかそのだな……」
「あなた!あなたが自分から言うと言うのでお任せしていたのに、あれからどれくらい月日が経ったとお思いです!」
「すまん!だがアレクも悪いんだぞ!あんな可愛い少女を男の子と間違えてるアイツが悪い!」
「はぁ~この親子は……まぁ教会が認定した少女です、いずれ教会から発表もございましょう。アレクが気付くならそれはそれ。気付かなければ平民の家族が一つ行方不明になったといずれ自分で心の処理をするでしょう」
「だがなぁ……教会の方でもハル様がアレクと会わせろと駄々をこねているご様子だと聞き及んでいてな……」
「そこまでおっしゃるならちゃんと申せばよろしくって?それより問題なのはテルマイル様の方です!」
プンプンとはこう言う時に使う言葉なんだろうなと、ガイナスは妻から視線を外しワインを煽る。
「はぁ~、うちの息子はなんでややこしい御仁からこうも好意を寄せられるんだ」
「あら。モテるのは父親似じゃないですか」
「え?」
「あなたも学生時代におモテになられてたじゃないですか」
「俺がモテたのはお前だけだぞ?告白されたのもお前しかおらん」
「……そうですね」
「なんだ今の間は」
「なんでもございません」
結局、聖女ハル嬢に関してはアレクの気付きに任せる事にしたガイナスは、明日の昼食は平民街の狸亭で東方の蕎麦でも食べるか。と再びワインを口に運んだ。
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