生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑

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第2部-ファフニール王国・成長編-

027_思い出の地

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後日オズウェルは約束通り、リリアとレオファルドを連れて思い出の地へと足を運んだ。
護衛が必要だと提言するクロウを屋敷に残し、3人だけの遠乗り。
バーロンド家の馬を借り、レオファルドも自ら馬に跨っている。

「オズウェル、あとどのくらい?」

後ろを振り返ったリリアに、一度馬をとめたオズウェルはまっすぐ腕を伸ばして先指さす。

「もう少しですよ、ほらあそこにお屋敷が見えるでしょう?」

小さな山の上、森の奥に小さく屋敷の屋根が見える。
そこがリリアが昔住んでいた屋敷。
手前にある森が、3人の出会った場所だった。
今度は隣に馬を止めていたレオファルドを振り向き、満面の笑みを浮かべる。

「懐かしい!  ね、レオ。ちゃんと覚えてる?」
「お前よりは覚えてると思うが。ほら、さっさと行こうぜ」

促されて再び進み始める。
道中は駆け足だったが、森に入ってからは辺りを懐かしみながら進むためゆっくりとした速度。
下町と、山頂にある屋敷とのちょうど中間の辺りに、目的の場所はあった。

山道から少し外れた小道を進んだところが少し段差で下がっており、そこには小舟を浮かせることができるほどの大きな泉が広がっていた。周りには膝程までの草花が茂り、風に流されそよいでいる。

「すごい!全然変わってない」

周りを見回したリリアがオズウェルの腕の中で嬉しそうに声をあげた。早くあの場所へ行きたいと前のめりになるのをみて、苦笑したオズウェルが馬を進めた。
  
「ここまで昔のまま残っているとは思ってなかったな」
 
三人が腰を落ち着けたのは、昔よく座っていた場所。幼かった頃と同じようにリリアを挟んだ。

「こうしていると出会った頃を思い出しますね」
「あの時は2人ともとっても大きく見えたのに、今はちょっと大きいくらいだね」
「ちょっとではないかと」
「そんなことないよ!」

両サイドからまだ小さいと覗き込まれ、リリアは不満そうに頬を膨らませた。
そんなリリアを面白そうに見ながら、手元にあった小さくて白い花を手折る。

「ほら、テストだ。これは?」

 差し出された花をじっと見つめ、笑顔で答えた。
 
「これはユーミ。レオが初めて教えてくれた花だよ」
「正解だ。こっちは?」
「ラムアイ。毒消しに使われるんでしょう?」
「よく覚えているな」
「本でもよく読んでいたからね」
 
 幼いころ、当たりに生えている草花のことを教えてくれた。とリリアは懐かしそうに手折られた花を受け取る。
 次々と手折られた花は、リリアの回答と共に手の上へ重ねられていく。
昼を挟んで懐かしい時間を過ごした三人は、日が沈む中を帰った。
 
「ちょっとレオ、くすぐったいよ」
「そういうな。お前が落ちたら困るから」
「大丈夫だから」

 馬の上で体を支える手がリリアの脇をくすぐり、その反応にレオファルドは笑う。

「そういえば初めてリリア嬢が馬に乗ったときはぴったりとくっついていらしたのに、数度乗るとすぐに慣れてしまわれましたね」
「うん、二人とも落とさないってわかってたから」
「面白くないやつだ」
「そうですね。信用は嬉しいですが、もう少し見て居たかった気もしますね」
「意地悪!」
 
三人の穏やかな時間がながれ、もう少しで屋敷に着くというころ、リリアは後ろを振り返った。
背中越しにレオファルド、隣の馬にはオズウェル。突然のリリアの行動に首を傾げて反応を待つ。
 
「やりたいこと、みつけたよ」
「おう、言ってみろよ」
「もっと植物のことが知りたい。いろんな植物を見たいし、触れ合いたい」
「それはいいですね。具体的には何を?」
「それは……まだ、わからないけれど」
「ゆっくりとお考えください。できる限りの協力は致しますから」
「リリアにぴったりな趣味だな。いつか俺が知らないことを教えてくれるんだろ?」
「うーん、頑張るね」

 優しいまなざしの二人に見守られて、リリアは照れた表情で頷いたのだった。 
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