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4番バッターの夢
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ドキドキした気分のまま、大学に着いた僕は、とりあえず、自分が見た光景を三ヶ嶋君に告げるべきだと妙な使命感に駆られた。と言うよりも、知ったばかりの秘密を誰かと共有したいという気持ちの方が強かったのかもしれない。
いつもは何となくいるかどうか探してと言う感じなのだが、その時はいつも以上に熱心に三ヶ嶋君の事を探していた。後から考えれば、ちょっと変な人だったかもしれない。それぐらい、なぜか僕は動揺していた。
ただ、こういう時のお約束で、探している時には見つからなかったりする。ちょっと拍子抜けして、空いている席に着くと、ちょっと落ち着いた気分になった。よく考えれば、そこまで気にする必要がある事では無いのかもしれないと思った。充の性格を考えれば、顔見知りであれば、誰であろうと見かけたら、すぐに話しかけるだろうと思った。
もし仮に僕が知らない女の子、例えば、他の学部の女の子と話していたら、僕はそこまで気にしていただろうか。その場面を見かけたら、僕が積極的に声を掛ける事は無いと思うけど、大して気に掛けなかった気がする。秘密めいた事ではないと思うし、わざわざ三ヶ嶋君に報告しようとも思わなかっただろう。
そうでないというのは何なんだろうか。僕が知っている子だったからだろうか。変な風にテンションが上がっていた自分がちょっと恥ずかしくなってしまった。
そのテンションのまま、三ヶ嶋君に会わなくて良かったのかもしれないと少し思っていたら、後ろから三ヶ嶋君の声がした。僕は振り返って、軽く手を上げると、三ヶ嶋君は隣まで来て、席に着いた。
自分の中では一旦落ち着いたつもりだったけど、三ヶ嶋君の顔を見たら、さっき見た光景を話さずにはいられなくなった。とりあえず、もう一度教室を見る。充がいない事は分かっていたけど、もう一度確認して、三ヶ嶋君にさっき見たことを報告する事にした。
その時になって、僕が何となくドキドキした理由と言うのが何となく分かった気がする。それは僕の勘違いなのかもしれないけど、充と沢島さんとの間にあった雰囲気が、何となくただの友達と言う感じではないと思えたからだった。それを言葉にしてしまうと、そんなに分かりやすい物では無かった気もするけど、表現するとなると、そういう事になるのかなと思った。ただ、それはとても曖昧なものに思えて、その雰囲気については、三ヶ嶋君に告げる事は無かった。逆にわざとらしく茶化すように、二人の様子を告げていた。
いつもは何となくいるかどうか探してと言う感じなのだが、その時はいつも以上に熱心に三ヶ嶋君の事を探していた。後から考えれば、ちょっと変な人だったかもしれない。それぐらい、なぜか僕は動揺していた。
ただ、こういう時のお約束で、探している時には見つからなかったりする。ちょっと拍子抜けして、空いている席に着くと、ちょっと落ち着いた気分になった。よく考えれば、そこまで気にする必要がある事では無いのかもしれないと思った。充の性格を考えれば、顔見知りであれば、誰であろうと見かけたら、すぐに話しかけるだろうと思った。
もし仮に僕が知らない女の子、例えば、他の学部の女の子と話していたら、僕はそこまで気にしていただろうか。その場面を見かけたら、僕が積極的に声を掛ける事は無いと思うけど、大して気に掛けなかった気がする。秘密めいた事ではないと思うし、わざわざ三ヶ嶋君に報告しようとも思わなかっただろう。
そうでないというのは何なんだろうか。僕が知っている子だったからだろうか。変な風にテンションが上がっていた自分がちょっと恥ずかしくなってしまった。
そのテンションのまま、三ヶ嶋君に会わなくて良かったのかもしれないと少し思っていたら、後ろから三ヶ嶋君の声がした。僕は振り返って、軽く手を上げると、三ヶ嶋君は隣まで来て、席に着いた。
自分の中では一旦落ち着いたつもりだったけど、三ヶ嶋君の顔を見たら、さっき見た光景を話さずにはいられなくなった。とりあえず、もう一度教室を見る。充がいない事は分かっていたけど、もう一度確認して、三ヶ嶋君にさっき見たことを報告する事にした。
その時になって、僕が何となくドキドキした理由と言うのが何となく分かった気がする。それは僕の勘違いなのかもしれないけど、充と沢島さんとの間にあった雰囲気が、何となくただの友達と言う感じではないと思えたからだった。それを言葉にしてしまうと、そんなに分かりやすい物では無かった気もするけど、表現するとなると、そういう事になるのかなと思った。ただ、それはとても曖昧なものに思えて、その雰囲気については、三ヶ嶋君に告げる事は無かった。逆にわざとらしく茶化すように、二人の様子を告げていた。
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