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カギを失くした夢
6.
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赤岡さんによると、カレーを食べに行った日、帰りに女性陣三人で反省会が開かれたそうだ。何か、そういう話をもう一方の当事者でもあった僕が聞いて良いのか、迷ったけど、赤岡さんは気にせず続けた。その会で最初、加山さんの話で盛り上がったそうだ。加山さんが三ヶ嶋君の事が気になっているという話は知っていたので、その流れは何となく分かる気がした。その話も言われてみれば気になるなと思う。赤岡さんの話は続く。その会話の中で、沢島さんが充の事を格好良かったと言いだしたのだという。
「格好良かった?」
「そう」
真面目に赤岡さんが言った。何だろう。あんまりそうは認めたくない気もした。一応、オシャレには気を使っているタイプだと思うけど、そういうセンスは全くない僕には良く分からなかった。特別に格好悪いとは思わないけど、格好良いのだろうか。充、本人がいれば思いっきり否定してあげるのだが、今はいない。
「ああ、私が言っているんじゃないからね」
僕の怪訝な表情に気が付いたのか、何故だか念押しされた。
「ああ、でも格好悪いってわけじゃ…」
友達の事を否定してはまずいと思ったのか、フォローするように言う。
「大丈夫。分かってるから」
僕は笑って答えた。
「とにかく、岬がそう言っていたの」
もう一度言われてとりあえず納得する事にした。
「あの子。ちょっと不思議な感じがする子でしょ?」
言われてみると、そういう気もして頷く。頷いてから、頷いて正解だったのか迷う。赤岡さんは気にせず続ける。
「んー。分かりやすく言うと、面食い、見た目重視で直感勝負なんだよね」
「面食い?直感勝負?」
「そう見た目が好きかどうかが、あの子の中では一番重要なの」
「はぁ」
間の抜けた返事をしてしまう。
「それで好きだと思って、大丈夫だと思ったらさっさと告白するタイプなの」
「はぁ」
「だから、岬が小浜君の事を格好良いと言って、自信満々だったから、告白するのかなとは思っていたんだ」
「はぁ」
「さすがにこんなに早いとは思っていなかったけど、話を聞いてあの子らしいなと思ったという訳」
「はぁ」
沢島さんの行動が理解できるかは別として、言われてみると、一連の流れに納得する。赤岡さんが驚かなかった理由と言うのも分かる気がした。
「…そうか。見た目重視か、充は格好良いのか」
何だか、ちょっと落ち込んだ気もするし、分からない事が分かった気になれてちょっとホッとした気持ちにもなった。モヤモヤが少しだけ晴れた気もした。
「格好良かった?」
「そう」
真面目に赤岡さんが言った。何だろう。あんまりそうは認めたくない気もした。一応、オシャレには気を使っているタイプだと思うけど、そういうセンスは全くない僕には良く分からなかった。特別に格好悪いとは思わないけど、格好良いのだろうか。充、本人がいれば思いっきり否定してあげるのだが、今はいない。
「ああ、私が言っているんじゃないからね」
僕の怪訝な表情に気が付いたのか、何故だか念押しされた。
「ああ、でも格好悪いってわけじゃ…」
友達の事を否定してはまずいと思ったのか、フォローするように言う。
「大丈夫。分かってるから」
僕は笑って答えた。
「とにかく、岬がそう言っていたの」
もう一度言われてとりあえず納得する事にした。
「あの子。ちょっと不思議な感じがする子でしょ?」
言われてみると、そういう気もして頷く。頷いてから、頷いて正解だったのか迷う。赤岡さんは気にせず続ける。
「んー。分かりやすく言うと、面食い、見た目重視で直感勝負なんだよね」
「面食い?直感勝負?」
「そう見た目が好きかどうかが、あの子の中では一番重要なの」
「はぁ」
間の抜けた返事をしてしまう。
「それで好きだと思って、大丈夫だと思ったらさっさと告白するタイプなの」
「はぁ」
「だから、岬が小浜君の事を格好良いと言って、自信満々だったから、告白するのかなとは思っていたんだ」
「はぁ」
「さすがにこんなに早いとは思っていなかったけど、話を聞いてあの子らしいなと思ったという訳」
「はぁ」
沢島さんの行動が理解できるかは別として、言われてみると、一連の流れに納得する。赤岡さんが驚かなかった理由と言うのも分かる気がした。
「…そうか。見た目重視か、充は格好良いのか」
何だか、ちょっと落ち込んだ気もするし、分からない事が分かった気になれてちょっとホッとした気持ちにもなった。モヤモヤが少しだけ晴れた気もした。
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