夢ノコリ

hachijam

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迷路に迷い込む夢

6.

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「お疲れ。どうだった?」

倉庫の方は忙しくは無いようで、下山さんは休憩していた。

「いや、大丈夫でした。特に問題ないです」

僕はそう答える。

「そうなの?その割には、疲れた顔してるけど」

「まあ、遠かったですから。荷物も多かったので、ちょっと疲れましたけど、それだけです」

そう言ったけど、それだけで疲れた訳じゃないと思う。

「いやいやいや、そうじゃないでしょ。何、また、何か問題あった?」

何か執拗に聞いてきた。まあ、この前までの三戸さんの事があるから、気になっているのかもしれないと思った。変に誤解されても困るなと思い、帰りでの話をしてみる。三戸さんだったら、どう答えるのかと言うのも気になった。

「なるほどね。それは疲れるな」

今度は下山さんがニヤニヤと笑っている。とりあえず、仕事の事では問題ないと分かって安心したのかもしれない。それにしても、人のこういう話と言うのは、やっぱり、面白いんだろうなと思う。特に暇な時はそうなんだろうと思う。少しでも、忙しくなれば、そんな事、どうでもいいと思うんだろうけど、今日、暇なのは運が良いのか悪いのか、どっちなんだろう。

「まあ、俺だったら何もしないな」

下山さんも断言するように言った。

「そうなんですか?」

「そういうの、考えて分かるもんじゃないだろ。流れだよ、流れ」

「流れですか?」

「そうそう、言い方悪いかもしれないけど、成り行きだよ」

「成り行きですか」

多分、どちらかと言えば、僕の考え方に近い気がした。でも、そうはっきり言われてしまうと反論したい気持ちにもなる。だから、

「でも、それだと、優柔不断とか、無責任とか、思われません?」

と、聞いてみた。

「うーん。分かんないけど、そう思われて困るんだっけ?」

「あんまり、格好良くないかなと」

自分で言いながら、確かにそうだなと思うところもあった。

「まあ、格好良いところを目指したいなら、そうかもしれないけど、そうなの?」

「どちらかと言えば…」

「俺なんかは面倒だから、そう思われたらそれで構わないし、それで嫌われるくらいなら、それまで何だなって思うよ」

その言い方は格好良いなと思ってしまった。

「本当にそこまで割り切れますか?」

意地悪な事を聞いている気がする。

「どうだろうね。その相手によるだろうね。運命の人、もう、この人じゃなきゃ、絶対にダメだみたいな人だったら、なりふり構ってられない気もするけど、残念ながらそういう人に出会ったことが無い」

断言するような事を言うと思ったけど、下山さんはそう曖昧に言った。
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