夢ノコリ

hachijam

文字の大きさ
257 / 275
会議をする夢

3.

しおりを挟む
「久しぶり…でも、ないか」

それが充の第一声だった。前回会ってから十日は過ぎていて、でも二週間足らずと言う状況なので、言わんとしている事は分かる、僕もそう思う。そろそろ、九月も半ばに入っているという頃だった。さすがに九月に入ってからは暑さは落ち着いてきていて、今日なんかは爽やかな秋と言っても差し支えないような天気だった。そういう変化も久しぶりと言いたくなってしまう理由の一つかもしれない。

「三ヶ嶋君は?」

「まだ。遅れるかもしれないって言ってたから、もう少しかかるかも」

「忙しいのかな?」

「うーん。どうなんだろう。特別に忙しくは無いんじゃない。分からないけど」

会おうと提案したのは僕だけど、時間や場所を調整したのは充だった。何だかんだで忙しくしている充の都合に合わせた方が良いと思ったのと、面倒な事は充に任せてしまった方が良いと思ったのでそうした。だから、三ヶ嶋君の事情はあまり良く分かっていない。時間決めてどっかに行こうという約束でもなかったし、僕たち三人での集まりと言う事を考えれば、そんなものかもしれない。かくいう僕も時間ぴったり、気持ち遅れたかもと言うぐらいでの到着だった。本当に大事な用事だと思っていたら、そんな事はあり得ない。そもそも、待ち合わせの時間と言うのも何となく何時頃と言う感じだった。

待ち合わせの場所は、前に充に呼び出された喫茶店と同じだった。充のお気に入りの場所と言うのもあったみたいだけど、三人とも分かっている場所なので、妥当だなと思う。何となくだらだらと話をするのにも丁度良い感じだろう。

前回と同じようにコーヒーを頼む。注文を取りに来たのは前回と同じ女の人だった。まだ、二回目だから覚えられてはいないかなと思うけど、前の事を考えれば記憶に残っているのではと思ったりするけど、特別に何も言わなかった。こういうお店の常連になって、いつものとか、言ったら格好良いかもしれない、試してみようかなと少し思ったけど、おそらく、恥ずかしい思いをしそうだからやめておいた。

充はこの店の常連なんだろうか。そんな事をふと思った。いかにも慣れているという感じはする。ちょっと、聞いてみたら、首を横に振る。来たのは二回目だそうだ。それだったら、僕と同じだ。と言う事は、前回初めて来たのか、それであんなことになって、そして、また今日、ここに来てるという事に驚く。別に悪い事をしたわけでは無いのだろうけど、僕だったら出来ないと思ったりした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...