夢ノコリ

hachijam

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遅刻する夢

1.

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その夢はよく見ると言えば、よく見る夢である。それなのに見るたびにドキッとしてしまう夢である。学校に遅刻するという物だ。その時によって、シチュエーションは微妙に違っているが、その時の設定としては、高校三年生だった。どうして三年生と分かったかと言うと、もうすぐ受験を控えていると知っていたからだ。どうして、受験を控えていた事が分かっていたのかとか、更に細かく言われると、夢だから分かっていたとしか、言いようがない。とにかく分かっていた。

遅刻と言ってもいろいろなパターンがあるが、その日の夢は寝坊したからという物であった。夢の中で寝坊するというのもよく考えれば、不思議な物であるが、夢であるとは気づいていないので、かなり焦っている。実際のところ、この夢と現実の境目をどの程度、認識しているのかは微妙な気がする。行動を冷静に考えれば、現実にはあり得ないのだが、それでも、それを疑う事はないという事は、やっぱり、夢だと気が付いていないのだろうか。

いずれにしろ、起きた時には普段家を出る時間は過ぎていた。7時と言うのがその時間だ。そして、起きた時間は7時5分だった。すぐにどうしたら良いのか悩む。この時間であれば、今すぐに家を出れば、ぎりぎり間に合う可能性のある時間である。ただ、ちょっとでも時間が掛かったら間に合わなくなってしまう。

その日の時間割を考える。確か一時間目は音楽の時間だった。そう言えば、ここ最近は音楽の授業に出ていない気がする。出席日数とか大丈夫なんだろうかと思う。そう考えている時点で一時間目の授業は諦めようとしている。今更、焦っても仕方ない、のんびりと学校に行こうとそんな事を考える。こうなると一時間目を諦めて、二時間目に合わせて行った方が良い、それだったら、のんびりと過ごす事が出来ると思った。もう一度、寝るべきだろうか。夢の中で寝るとはどういう事なんだろうと、不思議な気分がする。もしかしたら、曖昧な意識の中で、眠っているのに眠れないみたいな物と戦っているのかと、少しだけ思った。

そうこうしている内に時間はあっという間に過ぎていく。それこそ、夢の中だから、こういう時間感覚はとてもいい加減である。次に時計を見た時には、30分が経過していた。7時35分、ここでまたのんびりしてしまうと二時間目にも間に合わなくなる。もういっそ、面倒くさいから学校を休んでしまおうかとも思う。顔を枕にうずめながら、それはダメだろうなと思い気合を入れて起きる。
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