夢ノコリ

hachijam

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宿題をする夢

6.

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それなりの広さはあるとは言っても、大学の書庫、元図書室である。その大きさはたかが知れている。びっしりと本が埋まっている棚にさえぎられているため、一度に全てを見渡す事は出来なかったが、探せばすぐに充は見つかると思っていた。でも、なぜか見当たらなかった。

タイミング悪く入れ違いになっているのかと思い、元の場所に戻ってみたが、見当たらない。すでに本を見つけて、戻ってしまったのだろうか。そんな薄情な事はしないだろうと受付のところに戻っていた。入る時に入り口近くにいた院生はすでに帰った後のようで姿が見えなかった。受付の人も見当たらない。

これじゃ、本が借りられないと思った。戻ってくるのを待つかと思っていたら、入る時に書いた受付の紙が目に入った。入った時と出る時に、それぞれの時間を書く事が義務付けられている。充が書いた欄を見てみたら、まだ、出る時の時間は書かれていなかった。僕の欄も当然、空白で後は埋まっていた。

と言う事は、まだ、書庫の中に充はいるという事になる。受付の人が戻ってくる気配は無かった。待っているのも暇なので、もう一度、探してみようと書庫の中に入る。受付の紙を見た限りでは、僕と充以外の人はいないみたいだ。だったら、少し音を立てても大丈夫だと思った。ちょっと速足で歩いて、中を伺う。

「充」

と、ちょっと声を出して名前を呼んでみた。もしかしたら、ワザと隠れているのかと思ったりもしたが、ここまでしつこくやるとは思わなかった。書庫の一番奥にたどり着いて、どうした物かなと考えた。いずれにしろ、本を借りなければいけないし、受付で待っていればいいかと思う事にした。と、書庫の脇にあった、机に目が留まった。こんなところに机があったかなと思う。

自習スペースがあるのだから、ここに合ってもおかしくはないのかもしれないと思いつつ、そこに本が山積みになっている事が気になった。これじゃあ、すぐに崩れてしまうのではと思いながら、何か気になって近づいていく。ふと、何か影のような物が目の前を横切った気がした。えっと思うと、積まれていた本の数が増え、山が大きくなっているように思った。

近づけば、近づくほど、その山は大きくなっていく気がした。何か、似たような事が最近合った気がすると思った。それが夢の中だった事をすぐに思い出す。何が起こっているんだと思いながら、近づくのをやめられなかった。次第にその本の山は僕の背丈を軽く超えていて、天井まで届いていた。それどころか天井を突き破りそうだった。これは崩れる。そう思った瞬間、本が崩れてきた。危ない慌てて手で頭を隠そうとした。と、突然、肩を手で叩かれた。
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