夢ノコリ

hachijam

文字の大きさ
64 / 275
大食いの夢

4.

しおりを挟む
そう言えば、気が付くと高校の時の友達と連絡を取らなくなっているなと思った。元々、特別に人付き合いが良い方では無かったけど、それでも卒業後も一年の頃はたまに連絡していた。休みに会う事もあった。そういうのも無くなっていたなと思った。

眠気の中、高校時代の事を少し思い出していたら、ラーメンに関する思い出もあったなと思った。そのラーメン屋も通っていた高校の近くにあり、男子生徒の御用達と言う感じのラーメン屋だった。お世辞にも綺麗とは言えず、分かりやすく小汚いという感じのお店だった。それで、ラーメンが美味しければ隠れた名店とか、見た目に反してとか言われそうだが、そうではなくて、良くて普通、それよりも食べられなくはないというぐらいの味と言う方が適切だった気がする。

それでも人気があった理由は安くて量が多かった事だ。味はともかく、お腹にはたまるというのは男子高校生にとってはとても大事な要素だったりする。しかも、そのお店の店主はそういうたくさん食べる男子高校生が好きで特別に頼まなくても勝手にサービスで大盛りにしてくれたりもした。喜んで食べたいという味では無かったけど、何となく懐かしくその味を思い出していた。あの味だったら一発で目が覚めるかもしれないなんて事も思っていた。

少し眠気が覚めてきた。カレー、ラーメンと来たから、パスタの思い出と言うのもあったかなと思う。パスタで大食いのイメージは僕にはあまり無かった。単純にそういうお店が身近に無かったからだろう。どちらかと言うと、オシャレな感じ、気取った感じのイメージがあって、お腹を満たすことが重要だと考えていた高校時代は縁が無かったはずだ。

高校時代の食べ物のつながりで大食いの夢を見たのかなと勝手に思い始めていたので、何か忘れている事があるのかと考えてみる。パスタ、パスタ、パスタと頭の中で連呼してみたが、一向に出て来ない。何か引っかかっている気がするのは気のせいだろうか。

そんな事を思っていたら、講義はだいぶ終わりの時間に近づいてきた。ここまで来れば、眠気は乗り越えたも同然だ。ちょっと勝ち誇った気分になる。でも、実際の所、眠らなかったという事だけで、それで講義を真面目に聞いて理解が出来たとか、新しい知識が増えたとか、そんな事は無かった。高校時代の事を少し懐かしく思い出したことは収穫だったのかなと思う。こういう事、思うとまた偶然の出会いとかあったりするのだろうか。なんて事を思ったけど、それはあまりにも都合が良すぎる出来事だろうと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...