夢ノコリ

hachijam

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スパゲッティのお店の夢

2.

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「看板を変えてみたらどうですか?」

僕はそう提案してみた。

「看板ですか?」

「例えば、ハンバーグの看板にするとか」

思いついた事を言ってみる。

「なるほど。でも、それだとハンバーグのお店だと思うお客さんが来ないですかね」

確かにその通りだと僕は思った。

「だったら、看板をたくさん並べるとか」

「なるほど。でも、たくさん並べるの大変な気がします」

確かに看板だらけのお店になりそうで訳が分からなくなりそうだ。

「じゃあ、絵の看板を無くして、洋食屋と言う看板を出すのは?」

「なるほど。それは分かりやすい。それだったら、何のお店だか、悩む人はいなくなるのかもしれないです」

お店の人は感心したように言った。

「それで、ご注文は?」

そう聞かれて、まだ注文を考えていないことを思い出した。

「ちょっと待ってください」

僕は慌ててメニューをめくる。

「大丈夫ですよ、ゆっくりで。決まったら教えてください」

そう言うとどこか嬉しそうにお店の奥に引っ込んでいった。

僕はメニューを眺めつつ、大きく洋食屋と書かれている看板を思い浮かべていた。それはとても分かりやすい気がしたけど、何だか味気ない気もした。自分で言っておきながら、無責任だなと思っていたら、お店の人が戻ってきた。トボトボとどこかがっかりした表情をしている。

速く注文を決めないと僕は思う。

「シェフに看板の事を言ったら怒られてしまいました」

それががっかりした表情の理由だったらしい。僕はメニューをめくる手を止めた。

「ここが何のお店かどうかは大事じゃないんだそうです。あの看板があって、気になったお客さんが来てくれて、メニューにある物を好きに頼んでもらえれば、それでいいんだそうです」

分かるような分からないような理屈だったけど、何となくそれが正解のような気がした。僕はようやく注文を決めた。

「ご注文はお決まりですか?」

お店の人がそう尋ねてくる。僕はメニューを閉じて…。

と言うところで目を覚ました。昨日に続いてパスタ、いやスパゲティが出てきたのは、昨日、寝る前まで何となく気になっていたからだろう。いつからスパゲティをパスタと呼ぶようになったんだろうと思う。そして、僕は夢の中で何を頼もうとしていたのだろう。はっきりと決めたはずなのに、それは良く分からなかった。とりあえず、夢の日記に

スパゲッティのお店か、パスタのお店かで悩む
スパゲッティの看板
何かを注文、注文した物が何かは分からない

と書いてみた。
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