67 / 275
スパゲッティのお店の夢
2.
しおりを挟む
「看板を変えてみたらどうですか?」
僕はそう提案してみた。
「看板ですか?」
「例えば、ハンバーグの看板にするとか」
思いついた事を言ってみる。
「なるほど。でも、それだとハンバーグのお店だと思うお客さんが来ないですかね」
確かにその通りだと僕は思った。
「だったら、看板をたくさん並べるとか」
「なるほど。でも、たくさん並べるの大変な気がします」
確かに看板だらけのお店になりそうで訳が分からなくなりそうだ。
「じゃあ、絵の看板を無くして、洋食屋と言う看板を出すのは?」
「なるほど。それは分かりやすい。それだったら、何のお店だか、悩む人はいなくなるのかもしれないです」
お店の人は感心したように言った。
「それで、ご注文は?」
そう聞かれて、まだ注文を考えていないことを思い出した。
「ちょっと待ってください」
僕は慌ててメニューをめくる。
「大丈夫ですよ、ゆっくりで。決まったら教えてください」
そう言うとどこか嬉しそうにお店の奥に引っ込んでいった。
僕はメニューを眺めつつ、大きく洋食屋と書かれている看板を思い浮かべていた。それはとても分かりやすい気がしたけど、何だか味気ない気もした。自分で言っておきながら、無責任だなと思っていたら、お店の人が戻ってきた。トボトボとどこかがっかりした表情をしている。
速く注文を決めないと僕は思う。
「シェフに看板の事を言ったら怒られてしまいました」
それががっかりした表情の理由だったらしい。僕はメニューをめくる手を止めた。
「ここが何のお店かどうかは大事じゃないんだそうです。あの看板があって、気になったお客さんが来てくれて、メニューにある物を好きに頼んでもらえれば、それでいいんだそうです」
分かるような分からないような理屈だったけど、何となくそれが正解のような気がした。僕はようやく注文を決めた。
「ご注文はお決まりですか?」
お店の人がそう尋ねてくる。僕はメニューを閉じて…。
と言うところで目を覚ました。昨日に続いてパスタ、いやスパゲティが出てきたのは、昨日、寝る前まで何となく気になっていたからだろう。いつからスパゲティをパスタと呼ぶようになったんだろうと思う。そして、僕は夢の中で何を頼もうとしていたのだろう。はっきりと決めたはずなのに、それは良く分からなかった。とりあえず、夢の日記に
スパゲッティのお店か、パスタのお店かで悩む
スパゲッティの看板
何かを注文、注文した物が何かは分からない
と書いてみた。
僕はそう提案してみた。
「看板ですか?」
「例えば、ハンバーグの看板にするとか」
思いついた事を言ってみる。
「なるほど。でも、それだとハンバーグのお店だと思うお客さんが来ないですかね」
確かにその通りだと僕は思った。
「だったら、看板をたくさん並べるとか」
「なるほど。でも、たくさん並べるの大変な気がします」
確かに看板だらけのお店になりそうで訳が分からなくなりそうだ。
「じゃあ、絵の看板を無くして、洋食屋と言う看板を出すのは?」
「なるほど。それは分かりやすい。それだったら、何のお店だか、悩む人はいなくなるのかもしれないです」
お店の人は感心したように言った。
「それで、ご注文は?」
そう聞かれて、まだ注文を考えていないことを思い出した。
「ちょっと待ってください」
僕は慌ててメニューをめくる。
「大丈夫ですよ、ゆっくりで。決まったら教えてください」
そう言うとどこか嬉しそうにお店の奥に引っ込んでいった。
僕はメニューを眺めつつ、大きく洋食屋と書かれている看板を思い浮かべていた。それはとても分かりやすい気がしたけど、何だか味気ない気もした。自分で言っておきながら、無責任だなと思っていたら、お店の人が戻ってきた。トボトボとどこかがっかりした表情をしている。
速く注文を決めないと僕は思う。
「シェフに看板の事を言ったら怒られてしまいました」
それががっかりした表情の理由だったらしい。僕はメニューをめくる手を止めた。
「ここが何のお店かどうかは大事じゃないんだそうです。あの看板があって、気になったお客さんが来てくれて、メニューにある物を好きに頼んでもらえれば、それでいいんだそうです」
分かるような分からないような理屈だったけど、何となくそれが正解のような気がした。僕はようやく注文を決めた。
「ご注文はお決まりですか?」
お店の人がそう尋ねてくる。僕はメニューを閉じて…。
と言うところで目を覚ました。昨日に続いてパスタ、いやスパゲティが出てきたのは、昨日、寝る前まで何となく気になっていたからだろう。いつからスパゲティをパスタと呼ぶようになったんだろうと思う。そして、僕は夢の中で何を頼もうとしていたのだろう。はっきりと決めたはずなのに、それは良く分からなかった。とりあえず、夢の日記に
スパゲッティのお店か、パスタのお店かで悩む
スパゲッティの看板
何かを注文、注文した物が何かは分からない
と書いてみた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる