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二者択一の夢
6.
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「世界一美味しいカレー?」
メニューにそう書かれているのを見て、反応したのは沢島さんだった。
「なんか、それがここのお店の売りみたいだよ」
僕は何気なく答えた。
「本当に?」
その言い方がきつく感じたのは気のせいだろうか。そうストレートに聞かれるとは思ったので、ちょっとドキッとした。
「あー、美味しそー」
「いろいろあるんだねー」
沢島さんの言い方に気が付いているのかいないのか、良く分からなかったけど、加山さんと赤岡さんは何事も無かったようにそんな風に言う。あれ、そもそも、今日は世界一美味しいカレーと言うのが話題になっているお店に行くって話だったのではと思ってしまう。
「どれにする?」
赤岡さんが沢島さんに聞いてくれたので、僕はその追及を逃れる事が出来た。ちょっとホッとする。意図してなのか、分からないけど、ちょっとホッとした。
「一応、甘口のカレーと言うのが、ここの特徴みたいよ」
充がそう言う。リサーチした結果だろうか。
「そうなんですか。確かに美味しそうですね」
と、加山さん。期待通りのリアクションと言う感じだ。それに対して、沢島さんは
「甘口…」
と、ちょっと渋そうな表情をした。また、少し微妙な感じがする。
「甘口か。それも美味しそうだけど、俺はこっちの辛い方が良いかもな」
空気を察したのか三ヶ嶋君がそんな風に言う。
「辛口…」
あれ、フォローになっていないのか。どうしたものかなと思っていたら、
「そう言われると辛口も美味しそうですね」
と、加山さん。
「そうだ。どうせなら、いくつか頼んで、みんなで取り分けて食べようよ」
と、赤岡さん。
確かに、それなら、いくつもの種類を食べれると思った。でも、沢島さんはそれで良いのだろうか。
「みんなで取り分ける…」
案の定、そんな事を言った。僕たち、3人はどう返事して良いのか、ちょっと迷ってしまう。
「いいの、いいの。この子はいつもこんなだから、そんなに気にしないでね」
と、赤岡さんが言った。どうやらいつもこんな感じらしい。だったら、あまり気を使わない方が良いのかなと思った。
「俺もどうせだったら、いろいろ食べたいな。激辛で食べきれなかったら、切ないし」
三ヶ嶋君は冗談めかしてそう言った。それで、変な空気は少し消えた。それでいこうという雰囲気になった時、
「岬ちゃんはそれで大丈夫?」
と充が言った。
「えっ、あっはい。大丈夫」
声を掛けられる事を想定してなかったのか、驚いたようにそう答えた。
「なら良かった。うん、じゃあ、そうしよう」
充はにっこりと笑うとどのメニューにするか考え始めた。
メニューにそう書かれているのを見て、反応したのは沢島さんだった。
「なんか、それがここのお店の売りみたいだよ」
僕は何気なく答えた。
「本当に?」
その言い方がきつく感じたのは気のせいだろうか。そうストレートに聞かれるとは思ったので、ちょっとドキッとした。
「あー、美味しそー」
「いろいろあるんだねー」
沢島さんの言い方に気が付いているのかいないのか、良く分からなかったけど、加山さんと赤岡さんは何事も無かったようにそんな風に言う。あれ、そもそも、今日は世界一美味しいカレーと言うのが話題になっているお店に行くって話だったのではと思ってしまう。
「どれにする?」
赤岡さんが沢島さんに聞いてくれたので、僕はその追及を逃れる事が出来た。ちょっとホッとする。意図してなのか、分からないけど、ちょっとホッとした。
「一応、甘口のカレーと言うのが、ここの特徴みたいよ」
充がそう言う。リサーチした結果だろうか。
「そうなんですか。確かに美味しそうですね」
と、加山さん。期待通りのリアクションと言う感じだ。それに対して、沢島さんは
「甘口…」
と、ちょっと渋そうな表情をした。また、少し微妙な感じがする。
「甘口か。それも美味しそうだけど、俺はこっちの辛い方が良いかもな」
空気を察したのか三ヶ嶋君がそんな風に言う。
「辛口…」
あれ、フォローになっていないのか。どうしたものかなと思っていたら、
「そう言われると辛口も美味しそうですね」
と、加山さん。
「そうだ。どうせなら、いくつか頼んで、みんなで取り分けて食べようよ」
と、赤岡さん。
確かに、それなら、いくつもの種類を食べれると思った。でも、沢島さんはそれで良いのだろうか。
「みんなで取り分ける…」
案の定、そんな事を言った。僕たち、3人はどう返事して良いのか、ちょっと迷ってしまう。
「いいの、いいの。この子はいつもこんなだから、そんなに気にしないでね」
と、赤岡さんが言った。どうやらいつもこんな感じらしい。だったら、あまり気を使わない方が良いのかなと思った。
「俺もどうせだったら、いろいろ食べたいな。激辛で食べきれなかったら、切ないし」
三ヶ嶋君は冗談めかしてそう言った。それで、変な空気は少し消えた。それでいこうという雰囲気になった時、
「岬ちゃんはそれで大丈夫?」
と充が言った。
「えっ、あっはい。大丈夫」
声を掛けられる事を想定してなかったのか、驚いたようにそう答えた。
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充はにっこりと笑うとどのメニューにするか考え始めた。
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