93 / 275
スローモーションで走る夢
5.
しおりを挟む
「カラクリ箱の話、聞きました?」
そう言えばと思い出して下山さんに聞いてみた。
「カラクリ箱?」
「ええ、この間、第一倉庫に行った時に、見つけた金色のカギ覚えていますか?」
「…そんなのあったっけ。うーん。言われてみるとあった気もするけど」
下山さんは記憶が曖昧なようだ。
「先週、社長が来て、そのカギに心当りがあるって言って、一緒に第一倉庫に行ってカギ取って来たんですよ」
「そうなんだ」
あまり、興味なさそうに言うので、ちょっとがっかりした。でも、とりあえず、話を続けた。
「で、そのカギが社長が持っているカラクリ箱のカギじゃないかって、カラクリ箱も持ってきて、開けようとしたんです」
「ふむふむ」
少し興味が出てきたようだ。
「でも、結局、開かなくて、その後、どうなったのかなと思って」
「聞いてないな、その話。何か、今週やたら忙しかったから、それどころじゃなかったからな。社長ともそんなに話す時間なかったし…」
「そうですか」
僕はちょっとがっかりした。結局、どうなったのか分からないままか、そんな事を考えていたら、
「そう言われると気になるな。社長の所、行ってみる?」
下山さんが提案してきた。
「社長来ているんですか?」
「午前中いたから、午後もいると思うよ。今日はこのまま暇だろうし、問題ないでしょ」
そう下山さんが言ったので、すんなりと話は決まった。そうと決まれば、行動は早い。すぐに移動する。
一応、社長室と呼ばれる部屋に社長はいた。
「あれ、どうしたの?何かあった?」
と、のんきそうに社長は言った。
「羽田が折り入って話があるそうです」
ちょっと真顔になって下山さんが言う。
「えー何。ちょっと怖いな。あんまりいい話じゃない?辞めるとか?バイト代上げろとか?」
下山さんの態度にただならぬものを感じたのか、そんな事を言う。
「いや、そんなんじゃないですよ。この間のカラクリ箱どうなったのかなと思って」
ちょっとノリについていけなくなり、弁明するように言った。
「なんだ、良かったよ。下山君が脅かすから」
ホッとしたように社長が言った。
「せっかくだから、こういう時に言いたい事言っといた方が良いぞ」
下山さんはちょっと意地悪そうに笑った。僕は愛想笑いで誤魔化す。
「それで箱どうなりました?」
「結局、そのまま、何の変化も無しだよ」
そう言うと、社長はカラクリ箱を取り出した。この間と変わらず、カギは刺しっ放しのままだった。本当にそのまま何も変化が無いようだった。
そう言えばと思い出して下山さんに聞いてみた。
「カラクリ箱?」
「ええ、この間、第一倉庫に行った時に、見つけた金色のカギ覚えていますか?」
「…そんなのあったっけ。うーん。言われてみるとあった気もするけど」
下山さんは記憶が曖昧なようだ。
「先週、社長が来て、そのカギに心当りがあるって言って、一緒に第一倉庫に行ってカギ取って来たんですよ」
「そうなんだ」
あまり、興味なさそうに言うので、ちょっとがっかりした。でも、とりあえず、話を続けた。
「で、そのカギが社長が持っているカラクリ箱のカギじゃないかって、カラクリ箱も持ってきて、開けようとしたんです」
「ふむふむ」
少し興味が出てきたようだ。
「でも、結局、開かなくて、その後、どうなったのかなと思って」
「聞いてないな、その話。何か、今週やたら忙しかったから、それどころじゃなかったからな。社長ともそんなに話す時間なかったし…」
「そうですか」
僕はちょっとがっかりした。結局、どうなったのか分からないままか、そんな事を考えていたら、
「そう言われると気になるな。社長の所、行ってみる?」
下山さんが提案してきた。
「社長来ているんですか?」
「午前中いたから、午後もいると思うよ。今日はこのまま暇だろうし、問題ないでしょ」
そう下山さんが言ったので、すんなりと話は決まった。そうと決まれば、行動は早い。すぐに移動する。
一応、社長室と呼ばれる部屋に社長はいた。
「あれ、どうしたの?何かあった?」
と、のんきそうに社長は言った。
「羽田が折り入って話があるそうです」
ちょっと真顔になって下山さんが言う。
「えー何。ちょっと怖いな。あんまりいい話じゃない?辞めるとか?バイト代上げろとか?」
下山さんの態度にただならぬものを感じたのか、そんな事を言う。
「いや、そんなんじゃないですよ。この間のカラクリ箱どうなったのかなと思って」
ちょっとノリについていけなくなり、弁明するように言った。
「なんだ、良かったよ。下山君が脅かすから」
ホッとしたように社長が言った。
「せっかくだから、こういう時に言いたい事言っといた方が良いぞ」
下山さんはちょっと意地悪そうに笑った。僕は愛想笑いで誤魔化す。
「それで箱どうなりました?」
「結局、そのまま、何の変化も無しだよ」
そう言うと、社長はカラクリ箱を取り出した。この間と変わらず、カギは刺しっ放しのままだった。本当にそのまま何も変化が無いようだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる