シロツメクサと兄弟

Guidepost

文字の大きさ
43 / 44

44.包容力 ※

しおりを挟む
 ゆっくりキスを続けるだけで律はもうトロリとした表情を見せてくれる。
 利央は、はやる気持ちを何とか抑えるのに必死になりながら、ずいぶん行為に慣れたであろう今でも律を傷つけないよう心を配る。
 耳がひたすらくすぐったいらしい律だが、他の場所は色々と敏感だった。敏感だからこそ、耳もぞくぞくしたくすぐったい感覚が走るのかもしれない。
 傷つけないようにと思いつつもやはり反応してくれるのが嬉しくて、そして自分が実際触れたくて堪らなくて、利央はあらゆる部分に指を這わせたりキスをしたりする。首筋であろうが胸元であろうが、腋や臍、どこに触れても律は体を震わせ反応してくれる。利央はますますとても愛しい気持ちになる。
 普段色々と敵わない尊敬する相手が、こんなにも自分に感じてくれる。そして何もかもさらけ出し委ねてくれる。そう思うと心が震えた。

「好きだよ……」

 何か言ったら泣きそうで、でも何も言わないでも泣きそうなほど、律が好きで堪らない。
 本当はもっとたくさん優しい言葉をかけながら体を受け入れやすいようリラックスさせたいのに、そんな言葉しか言えない。だが律は嬉しそうに微笑むと、気持ちよさにびくりと体を震わせながらも利央をギュッと抱きしめてくれる。

「律……律好き」

 いつもは兄貴と呼ぶが、行為中は無意識に名前で呼んでいる時がある。後で気づいて、まるで自分が必死になって律と対等になろうとしているのがバレているみたいな気がして、恥ずかしくなったりもする。

「俺も、好きだよ、りお」

 そして優しい律の声がさらに利央を包んでくれる気がする。
 切ないほど愛おしく思うのに、だがその半面、大切な相手の中に侵入したくて堪らない自分がいる。せめて沢山濡らして解そうと、利央はたっぷりのローションで律の外や中を濡らしていく。
 どれほど回数こなしても、最初はゆっくりと入口辺りをマッサージした。それから慎重に指を一本ゆっくりと入れていく。何度も何度もローションをつぎたし、あり得ないほど沢山濡らす。

「ん、……ん」

 ゆっくり解していくと、律の口から小さな艶っぽい声が漏れてくる。それがまた利央を堪らなくさせた。
 二本に増やしたところで今度は解すよりも、気持ちよくなってもらおうと指でまさぐりながらしこりのような部分を探す。

「……っぁ、あ、そこ、待ってっ」

 今のところ、まだ後ろで達するほどではない律も、前立腺を刺激されるのは少し辛いくらい気持ちいいらしく、生理的に浮かんでくる涙を溜めながら「だめ」だと懇願してくる。そんな律を見ると、大切に大事に優しく、と思っているはずの利央の心にむくむくと嗜虐心にも少し似た気持ちがもたげてくる。
 気持ちよすぎて泣く律がもっと、もっと見たい。
 ほんとどうしようもないな、と自分に呆れながらも欲望には結局勝てない。

「ここ?」

 ニッコリと囁くように耳元で言うと、律は必死になって首を振ってきた。

「嘘、ここだよね。気持ちいいよね? だって俺もう兄貴の場所、覚えてる」
「っじゃ、あ何で聞くんだ、よ」
「だって反応がかわいいから」

 ニッコリ言うと「かわいくない」と返ってきた。
 利央はそのまま刺激を続けつつ、律の硬くなっているペニスをもう片方の手で扱いた。

「あっ、あ……、待っ」

 律がますます真っ赤になりながら涙を浮かべている姿が堪らない。利央は今すぐにでも自分のものを押し込みたい衝動と戦う。

「指、締めつけてくる」
「ば、か」

 さすがに利央は自分で試したいとは思わないのだが、本当に前立腺を刺激しながらの射精はかなり気持ちいいらしい。通常射精する時も尻の奥から快楽が押し寄せてくる感じなのだが、前立腺を刺激されることによって尻と竿の快感具合が半端なくなるようだ。

「ん、ぁあ……、は……っ」

 利央の指でもわかるくらい、締まってくる中にある前立腺が硬く膨らんできた。またニッコリ笑って利央は律にキスをしながらそれを狙って刺激しつつ、律のペニスを次第に激しく扱いた。

「ふっ、んぅぅ」

 律が大きく震える。勢いよく射精したのがわかった。

「かわいい……兄貴。ごめんね、今度は俺、イきたい」

 囁くように言うと、息を荒げたまま律が「うん」とまた利央をギュッと抱きしめてきた。優しい律は基本何でも許してくれる。何でも受け入れてくれる。

 ……俺、変な趣味にだけは走りませんように。

 思わずそう思いつつ、利央はコンドームをはめた自分の高ぶったものにもローションで沢山濡らした。そしてまだ息の荒い律の中にゆっくり埋めていく。

「ひ、ぁ……」

 どれほど回数をこなしても最初はとても苦しそうなので、毎回「ごめんね」と言ってしまう。自分のためというより、律が少しでも楽だと思えるよう、早く律が後ろだけで快楽を得られるようになればいいなと利央は思う。

「き、つ」

 相変わらず狭い中をゆっくりと自分のものが入っていく感覚は、少しきついけれども利央は好きだ。

「大丈夫? 兄貴、大丈夫?」
「う、ん。大丈夫。動いて……いいよ」

 何とか中に入った後、少しだけそのままにして利央が聞くと、律はいつも微笑んでそう言ってくれる。

「動いて、大丈夫?」
「うん。ちゃんと、気持ちいいから、動いて」

 そして利央の心を読んでいるかのように答えてくれる。ごめんと心の中で呟いた後、どのみちもう我慢できそうにない利央は律の中を貪った。

「……っぁ、あ、あ」

 沢山濡らしているそこは、利央が律動を繰り返す度に小さな水音を立てている。そんな音すら堪らなくて、余計に動くのを利央はやめられなくなる。
 気持ちいいと言ってくれるのは一応嘘ではないらしく、律の中にある襞が蠢くように利央を締めつけてきた。苦しいながらにもちゃんとそれなりに感じてくれるのが嬉しくて、そして狭い中の刺激が堪らなくて、利央はいつもすぐに達しそうになるのを必死になって堪えようとしていた。
 この間亨が「男相手にすぐイきそうになるんは仕方ねぇよ。だってケツのが女のあれより締まってんだろ」と言ってきた時は引いたように見返してしまったが、確かにそうなのだろうなとは思う。ただ、やはりそれだけじゃなく、律だからこそなのだろうなと今も必死になって堪えていた。

「んっ、う、ん……っぁあ」

 でももう、堪えられそうにない。

「律、俺……もう」

 思わずぼそりと呟くと、律が手を伸ばしてきた。苦しい体勢だろうにまたぎゅっと利央を抱きしめてくる。

「好きだよ、りお」

 ああ、前に兄貴が言っていたこと、何となくわかった気がする。

 温かい包容力を感じ、利央はそのまま律の中で果てた。

 弟としても、好き。

 とてつもない充足感や開放感そして疲労感とともに、律の言葉が脳内に広がる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

タトゥーの甘い檻

マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代) どのお話も単体でお楽しみいただけます。 ​「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」 ​真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。 ​それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。 「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。 アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。 ​ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。 愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。 ​「……お前のわがままには、最後まで付き合う」 ​針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。 執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

処理中です...