彼は最後に微笑んだ

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192話 ※

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「あ、っあ、は……っ、ニルス、ニルス、も……っ、ぁあっ、駄目、イ……、くっ」

 ニルスのものがエルヴィンの弱いところを擦りながら、突き上げてはまた引いていく。完全にニルスの形となっているそこは、硬くて熱いニルスのそれがあまりに的確な動きで抽挿してくるせいでいつも容易に痙攣するように収縮し、絶頂を迎える。
 今もビクビクと、中だけでなく腰も震えながらエルヴィンは深く達した。だがニルスどころかエルヴィンもまだ射精はしていないからか、構わずニルスは動いてくる。

「ニル、ス……! イった、イったから……!」
「ああ……。……かわいい……。それにまだ出してない」
「出てないけどイった!」
「ああ」

 ああ、と頷きながらニルスがキスしてきた。おかげで「達したから一旦やめて」とこれ以上伝えられなくなる。キスで口を塞がれたまま、ニルスはさらに抽挿を繰り返してきた。それもじわじわと早くなっていく。

「んんっぅ、んっ」

 射精を何度も繰り返すのもきついが、中イキしたばかりでのこれも中々にきつい。だというのにニルスのものがだんだん激しく抜き差ししてくるたびに、エルヴィンの穴が疼きながら締まるのが自分でもわかった。また達してしまうと思う間もなく、エルヴィンは思いきりビクビク体を震わせる。

「っふ、ぅっ」

 鼻が塞がれているわけでもないのに、息が乱れているせいでキスされたまま達することに苦しささえ覚える。だがそれすら今のエルヴィンは快感として拾ってしまい、ビクビク震えるのが止まらない。生理的な涙まで出てきた。
 以前は泣いていることに気づくとニルスがおろおろしたように行為を中断して「痛かったか?」「嫌だったか?」「つらかったか?」などと聞いてきたものだった。だが最近ではこういう時の涙は問題ないのだと学習したようだ。ちっともやめてくれない。どのみち聞かれても答えづらいし流れによれば中断されるとそれはそれでつらい時もあるので学習してくれたのはありがたいが、今は少なくともやめて欲しい。

「んんっ、んっ、ぅ」

 だがわかってないのか、わかってなのか、ニルスはやはりやめてくれない。二度、立て続けに達してしまい敏感になりすぎるくらいなっているエルヴィンの中はまた快楽を容易に拾ってきた。
ようやくニルスも達するのか、深いながらも小刻みに思いきり突き上げてくる。もうどうにかなりそうだった。あまりの刺激にエルヴィンは意識を飛ばしそうになっている。目が裏返りそうだと思っているとニルスがようやくキスをやめてきた。だが抽挿はやめてくれないばかりか、エルヴィンの硬いままのそれを動きながら扱いてきた。思い切り息を吸い込みつつ、気が変になりそうなくらいにエルヴィンの何もかもが快感に侵される。

「っあああっ、あっ、あっ、ああああっ」

 中だけでなくとうとう暴発する勢いで射精すると、ニルスもエルヴィンの中で果てたようだ。
 ようだ、というのは気づけなかったからではなく、案の定エルヴィンは意識を保てなかったからだった。

「……ニルス。俺を殺す気なの……」

 ようやく目覚めると体が綺麗になっていた。だがひどい倦怠感にぐったりしながらエルヴィンが何とか口にすると、ニルスはふるふる首を振ってくる。

「あり得ない」
「比喩ってわかってて首振ってるだろ。やめてって言ったのに」
「言ってない。イった、とは言ってた」
「中イキしてすぐはきついから一旦やめて欲しいって今までも何度も言ってるし……」
「……悪い」

 素直に謝られるとエルヴィンはそれ以上何も言えなくなる。

「いいけど……ほんと毎回毎回……」
「すまない……気持ちよくてつらそうなお前や、気持ちよくて泣いてるお前がかわいくて……」
「何て?」

 最近のニルスは、昔エルヴィンがブローチを使って知った饒舌である心の中のニルスにほんの少し近づいたような気が少々しないでもない。それとも一緒に住むようになってエルヴィンがそんな風に感じるだけだろうか。もしくはリックがくれたブローチなくとも、ある程度ならニルスの気持ちがわかるようになってきたからかもしれない。
 それでも今のような言葉は、少なくとも昔はほぼ口にすることなどなかったような気がする。

「……絶対懲りてないだろ、ニルス」
「……、……そんなことない」
「懲りてないな! もう……」

 ベッドでぐったりとしたまま、エルヴィンは呆れたようにニルスを見た。とはいえ、無表情ながらに落ち込んでいるようにちゃんと見えるからだろうか、元々大好きなニルスに弱いエルヴィンは最近ますます絆されてしまっている気がする。結局、次もまた行為に及んだ時ニルスのしたいようにさせてしまうのだろう。エルヴィンがこの行為に慣れてくるのと比例して、ニルスの性欲が増していっている気がしてならない。

「でも、今晩は絶対駄目だからな。明日は久しぶりにラウラたちに会いに行くんだから」

 昨夜も散々したのに朝、目が覚めた途端襲われていた。どうやら寝言でニルスの名前をエルヴィンが呼んだから、らしい。最後までしてくれないと嘆いていた時代もあったよねとエルヴィンは遠い目になりそうだ。

「ああ、わかっている」

 実際、ラウラとは長らく会っていない。妹とはいえ嫁に行った女性の元へ頻繁に会いにいくのは不躾だからだが、ラウラの夫がエルヴィンの親友であるニアキスだけに、よその家族よりはまだ会っているほうがもしれない。
 明日久しぶりに会うのは、しばらく会うのを控えていたからだ。そして明日久しぶりに会いにいく理由は、ニアキスとラウラの間にできた子にとうとう会えるからだ。
 結婚から数年後、ラウラが妊娠したと聞いた時エルヴィンは久しぶりに泣いた。何度かは様子を窺いに行ったりもしたが、長居しないよう心掛けていたしあまり出歩けないラウラのために外の様子を語ってきかせるくらいしか話せていない。
 そして会うのを控えるようになってから少しして、無事出産したことも聞いていた。だが母体と新生児を思って、エルヴィンはすぐに会いたいながらに会いに行くのをがんばって堪えていた。
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