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61話
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秋星が強制的に眠らせたため、目を覚ました時の邦一は少々混乱していた。
「俺……寝るような状況だったか? それともまた倒れたとか……」
秋星の布団から起き上がった邦一をだが黙ってじっと見ていると「秋星、薄暗い部屋で目が妙に光ってて怖いから」と微妙な顔で言われる。
「別に光らせてへんわ」
「光らせてって……もしかして血を吸う時も赤く光らせなくても吸えるのか? だったら普通の目で飲んでくれ」
そんなんできたらやってるわ。
「勝手になるねん、無理やな」
「……今は」
「やから光らせてへん、言うてるやろ。光に反射でもしてんちゃうの」
「どこにその光があるんだよ……猫みたいな目だな……」
「……犬、言われるよりはマシやな。あとな、クニは失神してたんとちゃう。俺が眠らせたんや」
ふい、と秋星が顔を逸らしながら言えばため息が聞こえてきた。
「何それ。勝手に眠らせるなよ、俺もする事あるんだからな」
する事。
秋星が知らないうちに知らない仕事をしたりとかか、と皮肉な気持ちになる。とはいえこれでも邦一が秋星に黙ってそういった仕事をしていることに苛ついているのではないし、外へ出るなと思ったこともない。囲い者のようだと柳に言われたが、そんなつもりもない。
邦一には二度と死にかけて欲しくないのもあり動静を把握して守りたいだけなのだが、結局のところそれが囲い者のような感覚になってしまうのだろうか。
それに邦一は人間にしてはかなり強いようだ。ちょっとやそっとでは、やられないだろう。
冷静に考えればわかることなのだが、邦一のことが絡むとついムキになってしまう。
「……お前のする事が何かは知らんけど、」
「知らんって……! お前の世話だよ……!」
言いかけているところで言い返され、秋星は少しポカンとしてしまった。
「え、あ、あぁ……」
「ああ、じゃないだろ。普段は、俺の世話だけしてたらいいとか言うくせに何で驚いたような顔してるんだ……」
「……煩い。とりあえずクニに知られんよぉに柳に診させてただけや」
「はぁ? 何で俺に知られないように?」
意味がわからないとばかりに、邦一が眉をひそめながら秋星を見てきた。
「……あれや。あれ」
「あれって何だよ」
あの事件のことは、やはり言うつもりはない。忘れたいなら忘れたままでいい。
「もし万が一ヤバい病気やったらお前かてビビるやろが。やからお前の知らんうちに診てもらお、思ったねん」
「……俺を何だと……。これでも一応お前のボディーガードでもあるんだけど」
呆れた顔をした後で、邦一は少し悔しそうにも見えるような様子で続けてきた。
「……そりゃ実際は秋星のが断然強いし、俺の意味、本当にあるのかわからない状態だけどな……」
お前、人間の癖にヴァンパイアに対してそれもしかして張り合ってるの? 俺に仕えてるから? 俺のボディーガードやから?
ぞくぞくとした感覚にも似たものが秋星の中にある小部屋を震わせてくる。妙に愛しさが湧き、今すぐ血を吸いたくなるのを何とか堪え、ただ微笑む。
「ほんまクニは可愛いなぁ」
「何でそうなんだよ……。あとな、俺を子ども扱いでもしてるのかわからないけど」
「してたらお前のもん、上でも下でも咥えんわ」
「……っ言い方……!」
邦一が微妙な顔をした後に気を取り直したようにため息を吐いた。
「わからないけどな、俺を蚊帳の外に置いてお前のことや俺のことで何かするの、止めろ」
俺のこともなのか?
また少し嬉しく思う自分が安っぽく感じて本当に忌々しいと秋星は内心舌打ちをした。
「今回以外でしたことあれへんやろ」
「……お前は息をするように嘘、吐くよな」
「この俺に対して、えらい上からやな?」
「そうやってすぐ話、誤魔化すだろ」
「……わかった。蚊帳の外にせぇへん。これでえぇんやろ」
大きくため息を吐いてから秋星が言えば、邦一も少し疑わしそうな顔で小さくため息を吐いてきた。
「で、何で俺を眠らせて柳先生を呼んだんだよ」
「やから言うたやろ! ヤバい病気やったら……」
「秋星」
「お前がビビらんよぉに……」
「秋星」
「……ッチ」
とうとう秋星はあからさまに舌打ちをした。普段は扱いやすい邦一だが、たまに妙に勘がいい時がある。おまけに御しやすいかと思えば頑固だったりもする。
「お前煩いねん! 何やねん、そんなことはどうでもえぇねん! 何で診てもぉた結果を聞かんねや、そっち聞きぃや!」
「何でキレるんだよ。普段あんま感情あらわにせんくせに」
邦一がさらに怪しいといった表情をする。
「とりあえずえぇから俺の話聞け。診てもろたらな、何や長い名前言うてたわ」
「……」
「そんな顔しぃなや、病名はこの際どぉでもえぇねん。話はこれからや。とりあえずお前な、血ぃ吸われた時にその血、見たらビビってもぉて脳貧血起こしたんや」
「……俺が?」
納得し難いといった顔になる邦一に、秋星はニッコリ笑いかけた。
「最初の時は俺が怖い、言うて泣いてたくせに」
「煩いな、昔のことだろ」
今度はばつの悪そうな顔をしてきた。
俺はな、クニ。
大人しいくせにそうやって見せてくるお前の色んな表情が二度と見られへんくなるのが怖い。
「今も深層心理では怖いんちゃうのん」
「……俺が……?」
「とりあえず柳が言うにはそぉらしいから、経過観察らしいわ。やから一応、そぉいう理由なんやて覚えとき」
「覚えてたらどうにかできるのか?」
「知らん」
「……」
邦一が今度は生ぬるい表情を見せてきた。
「俺……寝るような状況だったか? それともまた倒れたとか……」
秋星の布団から起き上がった邦一をだが黙ってじっと見ていると「秋星、薄暗い部屋で目が妙に光ってて怖いから」と微妙な顔で言われる。
「別に光らせてへんわ」
「光らせてって……もしかして血を吸う時も赤く光らせなくても吸えるのか? だったら普通の目で飲んでくれ」
そんなんできたらやってるわ。
「勝手になるねん、無理やな」
「……今は」
「やから光らせてへん、言うてるやろ。光に反射でもしてんちゃうの」
「どこにその光があるんだよ……猫みたいな目だな……」
「……犬、言われるよりはマシやな。あとな、クニは失神してたんとちゃう。俺が眠らせたんや」
ふい、と秋星が顔を逸らしながら言えばため息が聞こえてきた。
「何それ。勝手に眠らせるなよ、俺もする事あるんだからな」
する事。
秋星が知らないうちに知らない仕事をしたりとかか、と皮肉な気持ちになる。とはいえこれでも邦一が秋星に黙ってそういった仕事をしていることに苛ついているのではないし、外へ出るなと思ったこともない。囲い者のようだと柳に言われたが、そんなつもりもない。
邦一には二度と死にかけて欲しくないのもあり動静を把握して守りたいだけなのだが、結局のところそれが囲い者のような感覚になってしまうのだろうか。
それに邦一は人間にしてはかなり強いようだ。ちょっとやそっとでは、やられないだろう。
冷静に考えればわかることなのだが、邦一のことが絡むとついムキになってしまう。
「……お前のする事が何かは知らんけど、」
「知らんって……! お前の世話だよ……!」
言いかけているところで言い返され、秋星は少しポカンとしてしまった。
「え、あ、あぁ……」
「ああ、じゃないだろ。普段は、俺の世話だけしてたらいいとか言うくせに何で驚いたような顔してるんだ……」
「……煩い。とりあえずクニに知られんよぉに柳に診させてただけや」
「はぁ? 何で俺に知られないように?」
意味がわからないとばかりに、邦一が眉をひそめながら秋星を見てきた。
「……あれや。あれ」
「あれって何だよ」
あの事件のことは、やはり言うつもりはない。忘れたいなら忘れたままでいい。
「もし万が一ヤバい病気やったらお前かてビビるやろが。やからお前の知らんうちに診てもらお、思ったねん」
「……俺を何だと……。これでも一応お前のボディーガードでもあるんだけど」
呆れた顔をした後で、邦一は少し悔しそうにも見えるような様子で続けてきた。
「……そりゃ実際は秋星のが断然強いし、俺の意味、本当にあるのかわからない状態だけどな……」
お前、人間の癖にヴァンパイアに対してそれもしかして張り合ってるの? 俺に仕えてるから? 俺のボディーガードやから?
ぞくぞくとした感覚にも似たものが秋星の中にある小部屋を震わせてくる。妙に愛しさが湧き、今すぐ血を吸いたくなるのを何とか堪え、ただ微笑む。
「ほんまクニは可愛いなぁ」
「何でそうなんだよ……。あとな、俺を子ども扱いでもしてるのかわからないけど」
「してたらお前のもん、上でも下でも咥えんわ」
「……っ言い方……!」
邦一が微妙な顔をした後に気を取り直したようにため息を吐いた。
「わからないけどな、俺を蚊帳の外に置いてお前のことや俺のことで何かするの、止めろ」
俺のこともなのか?
また少し嬉しく思う自分が安っぽく感じて本当に忌々しいと秋星は内心舌打ちをした。
「今回以外でしたことあれへんやろ」
「……お前は息をするように嘘、吐くよな」
「この俺に対して、えらい上からやな?」
「そうやってすぐ話、誤魔化すだろ」
「……わかった。蚊帳の外にせぇへん。これでえぇんやろ」
大きくため息を吐いてから秋星が言えば、邦一も少し疑わしそうな顔で小さくため息を吐いてきた。
「で、何で俺を眠らせて柳先生を呼んだんだよ」
「やから言うたやろ! ヤバい病気やったら……」
「秋星」
「お前がビビらんよぉに……」
「秋星」
「……ッチ」
とうとう秋星はあからさまに舌打ちをした。普段は扱いやすい邦一だが、たまに妙に勘がいい時がある。おまけに御しやすいかと思えば頑固だったりもする。
「お前煩いねん! 何やねん、そんなことはどうでもえぇねん! 何で診てもぉた結果を聞かんねや、そっち聞きぃや!」
「何でキレるんだよ。普段あんま感情あらわにせんくせに」
邦一がさらに怪しいといった表情をする。
「とりあえずえぇから俺の話聞け。診てもろたらな、何や長い名前言うてたわ」
「……」
「そんな顔しぃなや、病名はこの際どぉでもえぇねん。話はこれからや。とりあえずお前な、血ぃ吸われた時にその血、見たらビビってもぉて脳貧血起こしたんや」
「……俺が?」
納得し難いといった顔になる邦一に、秋星はニッコリ笑いかけた。
「最初の時は俺が怖い、言うて泣いてたくせに」
「煩いな、昔のことだろ」
今度はばつの悪そうな顔をしてきた。
俺はな、クニ。
大人しいくせにそうやって見せてくるお前の色んな表情が二度と見られへんくなるのが怖い。
「今も深層心理では怖いんちゃうのん」
「……俺が……?」
「とりあえず柳が言うにはそぉらしいから、経過観察らしいわ。やから一応、そぉいう理由なんやて覚えとき」
「覚えてたらどうにかできるのか?」
「知らん」
「……」
邦一が今度は生ぬるい表情を見せてきた。
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