Axis of Fate〜大樹物語〜

たみぽん

文字の大きさ
上 下
16 / 28
第2話「ラウルス遺跡」

しおりを挟む
「待て!」
 
「行かせない!」
 
逃げ出した少女を追いかけようと駆け出すアルファの前に再び立ちふさがり通せんぼをすると鋭い眼差しで彼を睨んだ。
 
「ルア…どういうつもりだ?あいつは裏なんだぞ」
 
「私は裏なんて見た事ないし、あんたがあいつ等に家族や村の人達を殺されて恨んでるのだって分かってる!だけど、あの子は…あの子は何もしていないわ!あの子は無関係よ。それにまだ子どもよ!」
 
その行動に苛立ちをそのまま低い声に乗せて言われた言葉にルアは感情をむき出し叫び散らす。
 
「子どもだからって関係ない?裏であることには変わりねぇ!あいつだって人間を襲うかもしれねぇんだぞ!」
 
彼女の言い分に彼はそう言い放った。
 
「そんな事ない!いいアルファ。怒りに任せて復讐したい気持ちもわかるけど、あの子を殺せば今度はアルファがあいつ等と同じことをしたことになるのよ!たくさんの人を殺した…」
 
「!!」
 
「それにあの子が私に何かした?傷つけた?何もしてないじゃない!裏であるというだけで命を狙われて、怯えているあの子をあんたは殺すの?そんなの間違ってるわ!」
 
ルアの言葉に考えてもいなかったことを言われ驚く。そんなアルファへと彼女は説教する様に言う。
 
「… …」
 
「守ってあげなきゃ…私達が」
 
ようやく冷静さを取り戻した彼へと彼女は諭すように呟く。
 
「… …どけ」
 
落ち着きを取り戻した彼が静かな声で言うとルアを押しのける。
 
「アルファ!」
 
その様子に彼女はまだ分からないのかと言いたげに口調を荒げた。
 
「…守りに行けないだろう」

「…!えぇ!」
 
アルファの言葉に一瞬驚いたが嬉しそうに笑顔で頷く。そうして二人は駆け足で少女の後を追いかけていったのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

御招待ありがとう~書道ガールが洋風異世界へ~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

いざ、出陣!

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

勇者と魔王のNG集~今日も世界は平和です~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:26

推しを擁護したくて何が悪い!

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:346

太陽と月みたいな友達ふたりとモブの俺(オメガバース)

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:14

Sister 〜芦田風太郎の場合〜

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

小ネタ集

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:1

究極のチート小説を書いてみた

SF / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...