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大東京とサムサラの香り~見えなかったもの
しおりを挟む「それで部のみんなは?」
「なんかこれ読んだら、みんなしんみりしちゃって、
それに、部長のこともあって・・」
「部長?」
「これ、美穂さんが渡してくれって、さやかさんに」
眞子から手渡された一枚の薄紅色の便箋はやけにいい匂いがした。
───山音爽へ、
あんたは私のことを好きじゃないだろうけど、私はそうでもないのよ
大阪弁で叫んだあの日から、 ずーっと
まぁ、信じらんないでしょうけどね、ふふつ
ずーっと見てたのよあなたを
ずーっと見てたのよそん中の私をね
だから今回もあんたのやってることは間違ってるとは思わな い、
全然思わない
ただね、あの日もそうだったけど、
自分の逃げ場所を用意してないあんたを見ると
いらいらしてくんのよ、
私があんたの嫌いなとこはそこだけ
一人で突っ走ることを怖がらないさやか
それでいいんだよ
あんたはね
元部長 美帆
「これって・・?」
「今日でやめるって、部長」
「美帆さん・・」
─── ずっと、見てたのよそん中の私をね
やっぱりあの日のあの目は私のなかに自分を見ていたんだ。
─── 眩しくて仕方がないんだよ、美帆はあんたを
しーちゃん先輩がいつも言っていたのはこのことだった。
美柳美帆が認めた便箋から香るのはいつも彼女が纏っているシャネルのサムサラの香り。
触っただけで手にも残る強烈なバラの香り。
一枚の手紙にどれだけ時間をかけたのかが、それで良く分かった。
張り付くようにして便箋を睨む美柳美帆の姿に莢は心が震えた。
込み上げる熱いものを押し戻した。
莢はまだ泣く訳にはいかなかったから。
「あと半年しかないけど部長はしーちゃん先輩に任せるって
そのあとはさやかさんが・・・・・
ねぇ、話、終わってないよ!どこ行くの!さやかさん!」
「謝ってくるみんなに!自分の為に歌うって謝って来る!!」
「自分の為に歌うって?ぜんぜん謝れてないんですけど!?ちょっと、ねぁ、さやかさーん!!」
私達が今感じたことを形にする、それが私たちの正義。
みっともないけど、かっこ悪いけど、いまは無様な私だけど
みんなを置き去りにしてひとりでしがみついて昇っていく。
それが私の決めた道
ただ、美帆さん
しーちゃん先輩だけは私が武道館へ連れていく、
何があっても・・・・。
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