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旅路〜デザリア・ガレー〜
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「あれは長くなるな。」
「絶対にそうだね。」
双子は肩をすくめて溜息を吐いた。
「俺達で美味しいジャムを食べよう。」
スコルが笑いかけると、ナギとニナもニコッと頷いた。
「あのさ。
私の・・・オレの仲間を連れてきても良いかな?」
「「「仲間?」」」
アシィールが伺うように聞けばパティ、ナギ、ニナが首を傾げる中、スコルは納得したように頷いた。
「イチゴを摘んでくれた子達だろう?
もちろんだよ。」
アシィールは嬉しそうに指を咥えて「ピー!」と指笛を吹いた。
「合図なんだ。
ラフィが皆を集めてくれる。」
「「「「ラフィ?」」」」
「俺の犬!」
それを聞いて、子供達は思い出したように叫んだ。
「「「「ゼンちゃんっ!」」」」
「バウっ。」
《思い出したの?》とばかりに不貞腐れたようにゼンが返事をした。
ゼンとて大人達の難しい話よりも甘い香りがするジャムの方が、ずっと良い。
子供達が抜け出すのを見て、後を追って来てのだ。
ゼンの隣には呆れたように溜息を吐くアウラの姿があった。
「忘れてたわけじゃないよ。
・・・ごめんね。」
パティが申し訳なさそうに眉を下げると、ゼンはベロンっと頬を舐めた。
「ゼンちゃんとアウラはイオリの従魔なんだ。
オレ達の兄ちゃんと姉ちゃんでもあるんだよ。
2人も一緒に良いかな?」
スコルが説明するとアシィールが目を輝かせた。
「英雄様の従魔?
・・・スッゲェ。」
先程までの貴族子息という顔を捨て、アシィールは等身大の子供のようにハシャギだした。
「スッゲェ!!
真っ白!
カッコいい!!」
見知らぬ子供に纏わりつかれるのが嫌いなゼンであったが、カッコいいと言われ満更でもなさそうだ。
そんな時だった。
生垣を1匹の犬が飛び越えてやってきた。
ブチの模様のある小型犬がアシィールめがけてやって来たのである。
「ラフィ!
お疲れ!」
主に褒められて嬉しいのか、ラフィは尻尾をブンブンと振ってアシィールの周りを飛び跳ねた。
が、
自分と変わらない大きさの真っ白な犬を見てビクッと止まった。
「ラフィ?」
首を傾げたアシィールの前でラフィはビクビクとしながら真っ白な犬・・・ゼンに近づいて行く。
スンスンスン
お互いが匂いを嗅ぎ終えると、ゼンが「フンっ」と鼻息を吐いた。
「キャンっ。」
次の瞬間、ラフィは腹を見せ背中を地面に擦り付けるとゼンに愛想を振り撒き始めたのだった。
「・・・ラフィ。」
自分の愛犬の残念な姿を見たアシィールであったが、イオリの従魔ゼンが凄いのだろうと諦めたように笑った。
「おーい。」
「アシィール。」
「アシィール来たよ。」
生垣の向こうから仲間の声が聞こえ、ハッとしてアシィールは出迎えるために木戸に手をかけるのだった。
「絶対にそうだね。」
双子は肩をすくめて溜息を吐いた。
「俺達で美味しいジャムを食べよう。」
スコルが笑いかけると、ナギとニナもニコッと頷いた。
「あのさ。
私の・・・オレの仲間を連れてきても良いかな?」
「「「仲間?」」」
アシィールが伺うように聞けばパティ、ナギ、ニナが首を傾げる中、スコルは納得したように頷いた。
「イチゴを摘んでくれた子達だろう?
もちろんだよ。」
アシィールは嬉しそうに指を咥えて「ピー!」と指笛を吹いた。
「合図なんだ。
ラフィが皆を集めてくれる。」
「「「「ラフィ?」」」」
「俺の犬!」
それを聞いて、子供達は思い出したように叫んだ。
「「「「ゼンちゃんっ!」」」」
「バウっ。」
《思い出したの?》とばかりに不貞腐れたようにゼンが返事をした。
ゼンとて大人達の難しい話よりも甘い香りがするジャムの方が、ずっと良い。
子供達が抜け出すのを見て、後を追って来てのだ。
ゼンの隣には呆れたように溜息を吐くアウラの姿があった。
「忘れてたわけじゃないよ。
・・・ごめんね。」
パティが申し訳なさそうに眉を下げると、ゼンはベロンっと頬を舐めた。
「ゼンちゃんとアウラはイオリの従魔なんだ。
オレ達の兄ちゃんと姉ちゃんでもあるんだよ。
2人も一緒に良いかな?」
スコルが説明するとアシィールが目を輝かせた。
「英雄様の従魔?
・・・スッゲェ。」
先程までの貴族子息という顔を捨て、アシィールは等身大の子供のようにハシャギだした。
「スッゲェ!!
真っ白!
カッコいい!!」
見知らぬ子供に纏わりつかれるのが嫌いなゼンであったが、カッコいいと言われ満更でもなさそうだ。
そんな時だった。
生垣を1匹の犬が飛び越えてやってきた。
ブチの模様のある小型犬がアシィールめがけてやって来たのである。
「ラフィ!
お疲れ!」
主に褒められて嬉しいのか、ラフィは尻尾をブンブンと振ってアシィールの周りを飛び跳ねた。
が、
自分と変わらない大きさの真っ白な犬を見てビクッと止まった。
「ラフィ?」
首を傾げたアシィールの前でラフィはビクビクとしながら真っ白な犬・・・ゼンに近づいて行く。
スンスンスン
お互いが匂いを嗅ぎ終えると、ゼンが「フンっ」と鼻息を吐いた。
「キャンっ。」
次の瞬間、ラフィは腹を見せ背中を地面に擦り付けるとゼンに愛想を振り撒き始めたのだった。
「・・・ラフィ。」
自分の愛犬の残念な姿を見たアシィールであったが、イオリの従魔ゼンが凄いのだろうと諦めたように笑った。
「おーい。」
「アシィール。」
「アシィール来たよ。」
生垣の向こうから仲間の声が聞こえ、ハッとしてアシィールは出迎えるために木戸に手をかけるのだった。
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