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旅路〜パライソの森⒉〜
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「タイソン!!」
崩れ落ちた仲間を前にエフェリアは名前を呼ぶ事しか出来なかった。
倒れたタイソンの背には弓矢が刺さっている。
駆け寄ろうとしたエフェリアであったかが、自身にも弓矢が襲いかかってきた。
「くそっ!
タイソン!」
返事をしない仲間の鼓動が弱くなっていくのを感じてエフェリアは焦っていた。
「エフェリア!!」
再び、夫の叫び声が聞こえ、エフェリアがハッと振り返れば、先程の”エルフの里の戦士“が獲物を捕らえたとばかりに、醜悪な笑みで彼女を見下ろしていた。
「お前らウラギリモノは我らが光の物だ。」
何故、体が動かないのか分からなかった。
怖いのか?怯えているのか?
エフェリアは手を伸ばしてくる“エルフの里の戦士”に抵抗する事なく、呆然と立っていた。
「エフェリア!」
夫の悲痛な声が聞こえてくる。
それでも、体がいう事が聞かないエフェリアは髪を掴まれて跪かされた。
「うっ・・・。」
そこには何も見ていない艶の無い瞳があった。
「ウラギリモノを捕まえた。
ウラギリモノを捕まえた。
ウラギリモノを捕まえた。」
“エルフの里の戦士”が高らかに笑う中、身動きの取れないエフェリアは自分の足を掴まれているのに気づいた。
「・・・タイソン。」
命が潰えようとしている彼が、エフェリアに勇気をもたらしてくれる。
「裏切り者で結構だ。
我らの祖先の選択は正しかった。
私は大いに感謝している。
手を離せ。
離せ!!」
「グッ。」
エフェリアは腰に隠していた短剣で“エルフの里の戦士”の腕を刺した。
それでも相手が離さないと見れば、すぐ様に次の行動に移した。
掴まれていた自分の髪を切り落としたのだ。
「穢れたお前の手で私の髪を触るな。
私の髪に触れて良いのは夫だけだ。」
それでも目の前の男に敵わないと分かっていた。
だから、勝負に出た。
「何も見ようとしないお前には必要ないだろう。」
短剣を握りしめ、一瞬の隙をつき“エルフの里の戦士”の両目に真横に一本の傷を付けた。
「ギャァァァァ!!」
両目から血の涙を流し、叫ぶ男をエフェリアは鼻で笑った。
「どうだい?
女に貰った痛みは・・・ざまぁみろ。」
のたうち回る“エルフの里の戦士”を警戒しつつエフェリアは倒れる仲間に走り寄った。
「タイソン!」
「さ・・わる・な。毒・・だ。」
何とか言葉を紡ぐタイソンの背に刺さる弓矢をエフェリアは憎々しげに見つめた。
「さっきは助かったよ。
タイソン。」
「ふっ・・・やって・・やったか?」
「あぁ、やってやったさ。
目を使えなくさせてやったよ。」
「・・・えげつ・・ねぇ・・女だ。」
「もう、話すなよ。
絶対に助けるよ。」
タイソンの鼓動が弱いのは分かっていた。
他の仲間達も必死に戦っているが、劣勢のようだ。
エフェリアは戦う夫を心配そうに見つめた。
「グアァぁぁ。」
まだ、目を押さえて暴れる“エルフの里の戦士”だって油断できない。
「誰でも良い・・・何とかしてくれ。」
涙を流すエフェリアを、何処からか弓の矢が狙いを定めていた。
「シールド!!」
場違いな程、可愛い少女の声が森に響いた。
エフェリアを狙っていた弓矢がシールドに阻まれ跳ね返され、力無く地面に転がった。
タイソンを庇うように身を屈めていたエフェリアは信じられないものを見た。
小さな人族の少女が杖を掲げてシールドを盾にエフェリア達を守っていた。
何が起こっているのか分からないエフェリアの前に駆けつけてきた者達がいた。
「ガーディアン“ペンプティ”が合流する!
手負いの者から保護し、戦いに参戦するぞ!」
高らかにイドリアルの声が響いた。
エフェリアの目にルーシュピケの仲間達が飛び込んできたのだ。
「来てくれた・・・。
彼らこそ、私の本当の仲間だ。」
エフェリアは、やっと肩の力を落としたのだった。
崩れ落ちた仲間を前にエフェリアは名前を呼ぶ事しか出来なかった。
倒れたタイソンの背には弓矢が刺さっている。
駆け寄ろうとしたエフェリアであったかが、自身にも弓矢が襲いかかってきた。
「くそっ!
タイソン!」
返事をしない仲間の鼓動が弱くなっていくのを感じてエフェリアは焦っていた。
「エフェリア!!」
再び、夫の叫び声が聞こえ、エフェリアがハッと振り返れば、先程の”エルフの里の戦士“が獲物を捕らえたとばかりに、醜悪な笑みで彼女を見下ろしていた。
「お前らウラギリモノは我らが光の物だ。」
何故、体が動かないのか分からなかった。
怖いのか?怯えているのか?
エフェリアは手を伸ばしてくる“エルフの里の戦士”に抵抗する事なく、呆然と立っていた。
「エフェリア!」
夫の悲痛な声が聞こえてくる。
それでも、体がいう事が聞かないエフェリアは髪を掴まれて跪かされた。
「うっ・・・。」
そこには何も見ていない艶の無い瞳があった。
「ウラギリモノを捕まえた。
ウラギリモノを捕まえた。
ウラギリモノを捕まえた。」
“エルフの里の戦士”が高らかに笑う中、身動きの取れないエフェリアは自分の足を掴まれているのに気づいた。
「・・・タイソン。」
命が潰えようとしている彼が、エフェリアに勇気をもたらしてくれる。
「裏切り者で結構だ。
我らの祖先の選択は正しかった。
私は大いに感謝している。
手を離せ。
離せ!!」
「グッ。」
エフェリアは腰に隠していた短剣で“エルフの里の戦士”の腕を刺した。
それでも相手が離さないと見れば、すぐ様に次の行動に移した。
掴まれていた自分の髪を切り落としたのだ。
「穢れたお前の手で私の髪を触るな。
私の髪に触れて良いのは夫だけだ。」
それでも目の前の男に敵わないと分かっていた。
だから、勝負に出た。
「何も見ようとしないお前には必要ないだろう。」
短剣を握りしめ、一瞬の隙をつき“エルフの里の戦士”の両目に真横に一本の傷を付けた。
「ギャァァァァ!!」
両目から血の涙を流し、叫ぶ男をエフェリアは鼻で笑った。
「どうだい?
女に貰った痛みは・・・ざまぁみろ。」
のたうち回る“エルフの里の戦士”を警戒しつつエフェリアは倒れる仲間に走り寄った。
「タイソン!」
「さ・・わる・な。毒・・だ。」
何とか言葉を紡ぐタイソンの背に刺さる弓矢をエフェリアは憎々しげに見つめた。
「さっきは助かったよ。
タイソン。」
「ふっ・・・やって・・やったか?」
「あぁ、やってやったさ。
目を使えなくさせてやったよ。」
「・・・えげつ・・ねぇ・・女だ。」
「もう、話すなよ。
絶対に助けるよ。」
タイソンの鼓動が弱いのは分かっていた。
他の仲間達も必死に戦っているが、劣勢のようだ。
エフェリアは戦う夫を心配そうに見つめた。
「グアァぁぁ。」
まだ、目を押さえて暴れる“エルフの里の戦士”だって油断できない。
「誰でも良い・・・何とかしてくれ。」
涙を流すエフェリアを、何処からか弓の矢が狙いを定めていた。
「シールド!!」
場違いな程、可愛い少女の声が森に響いた。
エフェリアを狙っていた弓矢がシールドに阻まれ跳ね返され、力無く地面に転がった。
タイソンを庇うように身を屈めていたエフェリアは信じられないものを見た。
小さな人族の少女が杖を掲げてシールドを盾にエフェリア達を守っていた。
何が起こっているのか分からないエフェリアの前に駆けつけてきた者達がいた。
「ガーディアン“ペンプティ”が合流する!
手負いの者から保護し、戦いに参戦するぞ!」
高らかにイドリアルの声が響いた。
エフェリアの目にルーシュピケの仲間達が飛び込んできたのだ。
「来てくれた・・・。
彼らこそ、私の本当の仲間だ。」
エフェリアは、やっと肩の力を落としたのだった。
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