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王都 〜青春からの因果〜
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茶会の会場の近くの部屋に案内されたクォーレル伯爵は些か緊張していた。
よく考えてみれば、学生時分からテオルドと蜜に話した事がなく、何よりも苦手意識のあるノアに連れ出されたのだ。
心持ちが良かろうはずがなかった。
ムクムクと起き上がる反発心に蓋をし、ポーレット公爵テオルドの到着を待った。
テオルドが現れたのは直ぐの事で、茶会が騒ぎにならないように取り計らってきた様だ。
「待たせたな。」
そう言いながら部屋に入ってきたテオルドの背後には真っ白な小さな狼を抱き上げた真っ黒な衣装に身を包み込んだ青年がいた。
そして何の罰なのか、もう1人の苦手な人間である宰相グレン・ターナーの姿があった。
「クォーレル伯爵。
貴方に聞きたい事があります。」
挨拶もそこそこに単刀直入に会話を進めたのは宰相グレン・ターナーである。
「宰相殿・・・これは尋問か何かなのですか?」
訝しげに警戒するクォーレル伯爵に宰相グレンは鋭い視線で肩を竦めた。
「いいえ。
話を聞きたいだけですよ。
それとも何か心当たりが?」
相変わらず鼻につく言い方にクォーレル伯爵が反論しようとした時だった。
「グレンよ。
もう少し、優しく言ってやれ。
事情も分からなければクォーレルとて何を話したら良いか分からないだろう。」
テオルドの穏やかな物言いが、緊張感を溶かしていく。
「貴方は本当に甘い。
聞くべく人間に話を聞くのに優しさも何もないでしょうに。」
宰相グレンは大きな溜息を吐きながらも、再びクォーレル伯爵の方を向いた。
「では最初から。
クォーレル伯爵。
ポーレット公爵が王都へお越しになる間の道すがらに破落戸達に襲われました。
我々は、指示をしたであろう黒幕を探しています。」
それには流石のクォーレル伯爵も反発心など吹き飛ぶ程に驚いた。
「襲われたっ!?
王弟殿下が?何処の誰にだ!?」
その反応だけでも、この男が襲撃に関わっていないと信じる事が出来るものだが、宰相グレンは実に冷静に落ち着かせた。
「落ち着いてください。
私は、その黒幕を探していると言ったでしょう。」
「まさか!?私だと疑っているのか?」
目をこれでもかと開いて驚愕するクォーレル伯爵に宰相グレンは鼻で笑った。
その意味が分からず、戸惑うクォーレル伯爵にテオルドは優しく微笑んだ。
「クォーレルはそんな事しないと分かっている。
優秀な君が襲撃など阿呆らしい事を考えるはずがない。
精々、嫌味を言ってくるくらいだろう。
クォーレル。
君は、ただ面倒臭い男というだけだ。」
テオルドの自分への評価にクォーレル伯爵は複雑な顔をした。
襲撃の黒幕ではないと信じてくれている様だが、何だかシックリと納得出来ない事を言われている気がしていた。
「長い間、子爵であった家を盛り上げ伯爵にまで陞爵したのは貴方の功績でしょう。
いつまで卑屈になっているのです。
私達は貴方の国への忠誠心を知ってますよ。」
クォーレル伯爵は彼等の自分への評価が意外に高い事に驚いた。
よく考えてみれば、学生時分からテオルドと蜜に話した事がなく、何よりも苦手意識のあるノアに連れ出されたのだ。
心持ちが良かろうはずがなかった。
ムクムクと起き上がる反発心に蓋をし、ポーレット公爵テオルドの到着を待った。
テオルドが現れたのは直ぐの事で、茶会が騒ぎにならないように取り計らってきた様だ。
「待たせたな。」
そう言いながら部屋に入ってきたテオルドの背後には真っ白な小さな狼を抱き上げた真っ黒な衣装に身を包み込んだ青年がいた。
そして何の罰なのか、もう1人の苦手な人間である宰相グレン・ターナーの姿があった。
「クォーレル伯爵。
貴方に聞きたい事があります。」
挨拶もそこそこに単刀直入に会話を進めたのは宰相グレン・ターナーである。
「宰相殿・・・これは尋問か何かなのですか?」
訝しげに警戒するクォーレル伯爵に宰相グレンは鋭い視線で肩を竦めた。
「いいえ。
話を聞きたいだけですよ。
それとも何か心当たりが?」
相変わらず鼻につく言い方にクォーレル伯爵が反論しようとした時だった。
「グレンよ。
もう少し、優しく言ってやれ。
事情も分からなければクォーレルとて何を話したら良いか分からないだろう。」
テオルドの穏やかな物言いが、緊張感を溶かしていく。
「貴方は本当に甘い。
聞くべく人間に話を聞くのに優しさも何もないでしょうに。」
宰相グレンは大きな溜息を吐きながらも、再びクォーレル伯爵の方を向いた。
「では最初から。
クォーレル伯爵。
ポーレット公爵が王都へお越しになる間の道すがらに破落戸達に襲われました。
我々は、指示をしたであろう黒幕を探しています。」
それには流石のクォーレル伯爵も反発心など吹き飛ぶ程に驚いた。
「襲われたっ!?
王弟殿下が?何処の誰にだ!?」
その反応だけでも、この男が襲撃に関わっていないと信じる事が出来るものだが、宰相グレンは実に冷静に落ち着かせた。
「落ち着いてください。
私は、その黒幕を探していると言ったでしょう。」
「まさか!?私だと疑っているのか?」
目をこれでもかと開いて驚愕するクォーレル伯爵に宰相グレンは鼻で笑った。
その意味が分からず、戸惑うクォーレル伯爵にテオルドは優しく微笑んだ。
「クォーレルはそんな事しないと分かっている。
優秀な君が襲撃など阿呆らしい事を考えるはずがない。
精々、嫌味を言ってくるくらいだろう。
クォーレル。
君は、ただ面倒臭い男というだけだ。」
テオルドの自分への評価にクォーレル伯爵は複雑な顔をした。
襲撃の黒幕ではないと信じてくれている様だが、何だかシックリと納得出来ない事を言われている気がしていた。
「長い間、子爵であった家を盛り上げ伯爵にまで陞爵したのは貴方の功績でしょう。
いつまで卑屈になっているのです。
私達は貴方の国への忠誠心を知ってますよ。」
クォーレル伯爵は彼等の自分への評価が意外に高い事に驚いた。
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