溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

文字の大きさ
7 / 473
皇帝の弟殿下の大いなる溜息

6

しおりを挟む
「皇帝陛下は大公閣下を亡き者にしたいのか・・・?」

 呟くセキエイにスサが微笑んだ。

「寝とけよ。
 余計な事を考えると、寝れなくなるぞ。」

「あぁ。そうだな。」

 ーーー皇帝陛下は大公閣下を亡き者にしたいのか

 セキエイが思わず口にした言葉はロンサンティエの人間なら誰もが一度は思う事だった。

 スサもセキエイも侯爵家と伯爵家を実家に持つ立派な貴族の御曹司だった。
 互いに次男であったり、3男であったりと他に後継者がいる事から早々に騎士学校へ通い、親元から離れた立場である。
 
 配属された先が後宮に捨てられた弟大公だと知った時は落ち込みもしたが、出来の良い上司と気付けば今や忠誠を誓うまでになった。
 実家が安定しているのだから結婚も無用だと、2人は望んで宦官になりディミトリオ・ハクヤの側にいる。
 だからこそ皇帝陛下の気まぐれに付き合わされている上司が哀れで他ならないのだ。

 ディミトリオ・ハクヤの後宮での人気は顔だけでなく、誠実で柔和な事も起因していると2人は知っていた。
 それは何かと揉め事の多い後宮での妃達の争いのみならず、末端の洗濯娘の悩み事まで耳を傾ける彼の細やかな気遣いが後宮のピリついた空気を何とかして平静に保たせているのだ。

 自分の好きな時に来て横暴に振る舞う皇帝陛下と比べティミトリオ・ハクヤが後宮の女性達の心を掴んでしまうことなど明白である。

「閣下が何をお考えであろうとも、俺は最後まで付いて行くよ。」

 何となく思った事を口にしたスサであったが、眠っていたと思っていた侍従と目が合うとギョッとした顔で息を呑んだ。

「それは心強いですね。
 私、1人ではぬし様を支えるのは重たいですからね。
 貴方達がいると助かります。」

 珍しく微笑む侍従・クレイに気恥ずかしくなったスサは顔を背けて頭を掻いた。

「寝て下さい。
 明日の天気がどうなるか分かりませんが、出発は早朝になるでしょうから。」

「えぇ。
 貴方も交代まで頑張って下さい。」

 寝が入りをしたクレイの背を見つめスサは小さく息を吐いた。
 
 そんな部下達の言葉を聞いていたディミトリオ・ハクヤは漏れる微笑みを押し殺して、再び眠りにつくのだった。
 


 男4人が肩身を狭めて休む中、龍王島の奥の奥の方では誰かと誰かが顔を寄せ合い話す声がした。

『ほう。珍しい。
 久々に血脈の気配がします。』

『しかし、紛いものもいるな。』

はご時世の変化がありますからねぇ。
 血脈が1人で来るわけにもいかなくなったのでしょう。』

『気に入らんな。』

『フフフ。
 まぁまぁ、とりあえず楽しみではないですか。
 何者が来るのか見極めてやりましょうぞ。』

 夜も更ける暗闇で何ものかの目がギラリと光のだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...