溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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老師との訓練という名の戯れ

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 妖精と契約した日からディミトリオ・ハクヤの過ごし方が決まった。
 
 午前中は魔力を増やす為に鍛錬を勤しみ、午後は妖精との連携や力の使い方を学んだ。
 魔力があるクレイやスサは概ね同じスケジュールを過ごすが、属性の違う妖精達との連携は多少の違いは見せていた。
 魔力のないセキエイは体力を付けるためにコテツに追い回されるように龍王島を走り回る日々だ。
 何をやっているのかと興味本位で覗きにくる龍達に揶揄われる中、無心で走り込むのは自分を信じてくれた契約妖精の2匹の犬への恩返しの為と主人であるディミトリオ・ハクヤの力になりたいが為にである。

 そうしていつの間にか日は過ぎ去り、龍王島に来て20日目の日が来ようとしていた。
 
 あの無礼な船長の言葉が正しければ、明日には帝国より船が迎えに来る事だろう。
 それを伝えたリリィと言えば「船?ルーチェがいれば一飛びなのに人間って面倒な事するのね。」と欠伸をしていた。

 そのリリィの姿が見えない。

 住人がいなくなる家を掃除していたアリスとコテツに問いかけると、2人は察した様に肩を竦めた。

「龍王様の所に行かれたのでしょう。」
「別れの挨拶だ。」

 生まれ育った龍王島を離れるのだ。
 当然ながらリリィは別れを惜しんでいるのだろう。

 龍王には挨拶をした一度きり目通りした事はない。
 考え込むディミトリオ・ハクヤにアリスがエプロンを脱いだ。

「龍王様の所にご案内しましょうか?」

「あぁ、頼む。
 リリィの事も、長らく滞在させて貰った事にも礼を言いたい。」

 アリスは残りをコテツに頼みディミトリオ・ハクヤと共に家を後にした。
 今はもう見慣れてしまった石畳の道を辿って龍王のいる神殿まで向かう。
 
 やっぱり、この龍王島には他にも不思議な事が山積みだった。
 
 中でも1番衝撃的だったのは利便性の高いリリィの住む家だ。
 捻ればとめどなく出てくる水、堪能した事のないフカフカな寝床、風呂にはシャワーと呼ばれる滝のような湯が丁度良い温度で出てくる。
 外灯を含む灯りはロンサンティエ帝国で利用されている火魔法ではなく、電気というモノを利用していると聞いた時には理解出来なくて戸惑うほどであった。

「アリスはリリィと共にロンサンティエに来てくれるのだな?」

 リリィを主人と仰ぐ娘は当然の様に頷いた。

「はい。私とコテツは龍の姫巫女と共にいる運命ですから。
 リリィ様は何でも御1人で出来ます。
 誰よりも強く気高いリリィ様に手助けは不要でしょう。
 それでも、1人孤独に戦うのと手駒がいるのでは全く違います。」

 言い切るアリスにディミトリオ・ハクヤは自分に付き従うクレイの姿を思い起こした。

「では老師殿も参られるのか?
 それならば、どれほど力強い事だ。」

 ディミトリオ・ハクヤは短い間であったが師匠となった老師に全幅の信頼を持っていた。
 絶対的な知識に簡潔明瞭な説明はロンサンティエ帝国にいる魔法師や教師陣では太刀打ちできないだろう。
 期待を込めていたディミトリオ・ハクヤの言葉にアリスは小さくポツリと呟いた。

「それは難しいでしょう。
 ・・・老師は島から離れる事は出来ませんから。」

 アリスの言葉が何を意味するのか、この時ディミトリオ・ハクヤは分かっていなかった。
 
 

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