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混沌なる後宮
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「朝から騒がしい事だな。」
微笑みながら近づいて来るディミトリオ・ハクヤにリリィは手をヒラヒラと振った。
「貴方も暇ね。
また来たの?」
「手の平を返す人間達が時間も関係なく訪ねてくるから逃げてきた。」
「あぁ・・・それは面倒ね。」
つまらなそうに頬杖をつくリリィに紅茶を用意してきたアリスが戻ってきた。
「大公様も朝の一杯いかがでしょう?」
「有難う。貰おう。」
アリスはカップを乗せたソーサーとティーポットを器用に動かし高い位置から一筋の紅茶の滝を作り出すと一切こぼす事なく注いだ。
ザワッとしたのは侍女達で、アリスの手際の良さに互いに顔を見合わせている。
「それ意味あるのか?」
コソッと聞くクレイにアリスはスンっと顔を澄ました。
「ありません。」
「あっ。
ないんだ。」
「強いて言うなら温度が下がります。
紅茶は熱い湯で淹れる事で香りが立ちますが、多少熱を逃すと飲みやすくなります。
それに、あーゆー連中は派手な事に怯えますから。」
アリスの言う通り、侍女達からは先程までの勢いが消えている。
アリスの目論見を理解したクレイが心の中で笑っていると、大きな音と共に騎士の1人が地面にめり込んでいた。
「・・・馬鹿力。」
地面に突っ伏す男をつまらなそうに見下ろすコテツを見てクレイは呟いた。
「あんなの序の口ですよ。」
アリスはリリィの美しい髪を梳くと、ゆるく編み始めた。
そんなアリスの言う通りに騎士が次々と膝をついていく。
クレイはチラリと横目で宰相を見れば、顔を顰めているのが分かる。
剣すら使わずに戦うコテツの異常さに気づいているのだろうか?
“龍王島”で龍の力に触れた彼にはコテツの体を覆う何かが見えていた。
「気がついた?
アレが龍気を具現化した姿よ。
龍気が満ちた地であれば、永遠に戦う事が出来るのよ。」
集中していたクレイをリリィが見上げていた。
「少しは鍛錬したと思っていたのですが、程遠い事が分かります。
コテツの努力に感服です。」
「たった20日の鍛錬で龍気を目視出来てるんだから、大したものよ。
真面目に努力を続ければ、貴方の妖精も強くなるわよ。」
クレイは自分の中に感じる妖精を想い嬉しそうに微笑んだ。
「はい。
鍛錬を怠りません。」
ガンッ!!
コテツに立ち向かった最後の騎士が地面に沈んだ。
コテツは軽々と騎士達を掴み宰相の方へ放り投げた。
「アリスの戦いの邪魔になるから、ここに置きます。」
スタスタとリリィの元へ戻って行くコテツを宰相と侍女は顔色を悪くして見送った。
「情けない男共だ。」
3人の女騎士が同僚達を蔑む様に見下ろした。
龍気の見えない彼女達にはコテツの力の本質が分かっていない。
その為に単なる力負けした様に見えているのだ。
そして3人の女騎士が睨みつけたのは小柄なメイド服を着た少女だった。
「お嬢さん。
悪い事を言わないから、やめておきな。
私達は後宮を守る騎士。
護衛擬きのメイドには用はないのさ。」
クスクスと笑う3人の女騎士を見上げたアリスはゲンナリしたように眉を顰めた。
「コテツの戦いを見て、まだ言いますか?
龍の姫巫女の側にいる人間が弱い訳ない事も分からぬ馬鹿ですか?
私は弱い者だとて別に嫌いじゃありません。
でも、弱い上に馬鹿な輩は大嫌いです。」
睨め付けるアリスは侍女の顔ではなく強者と化していた。
微笑みながら近づいて来るディミトリオ・ハクヤにリリィは手をヒラヒラと振った。
「貴方も暇ね。
また来たの?」
「手の平を返す人間達が時間も関係なく訪ねてくるから逃げてきた。」
「あぁ・・・それは面倒ね。」
つまらなそうに頬杖をつくリリィに紅茶を用意してきたアリスが戻ってきた。
「大公様も朝の一杯いかがでしょう?」
「有難う。貰おう。」
アリスはカップを乗せたソーサーとティーポットを器用に動かし高い位置から一筋の紅茶の滝を作り出すと一切こぼす事なく注いだ。
ザワッとしたのは侍女達で、アリスの手際の良さに互いに顔を見合わせている。
「それ意味あるのか?」
コソッと聞くクレイにアリスはスンっと顔を澄ました。
「ありません。」
「あっ。
ないんだ。」
「強いて言うなら温度が下がります。
紅茶は熱い湯で淹れる事で香りが立ちますが、多少熱を逃すと飲みやすくなります。
それに、あーゆー連中は派手な事に怯えますから。」
アリスの言う通り、侍女達からは先程までの勢いが消えている。
アリスの目論見を理解したクレイが心の中で笑っていると、大きな音と共に騎士の1人が地面にめり込んでいた。
「・・・馬鹿力。」
地面に突っ伏す男をつまらなそうに見下ろすコテツを見てクレイは呟いた。
「あんなの序の口ですよ。」
アリスはリリィの美しい髪を梳くと、ゆるく編み始めた。
そんなアリスの言う通りに騎士が次々と膝をついていく。
クレイはチラリと横目で宰相を見れば、顔を顰めているのが分かる。
剣すら使わずに戦うコテツの異常さに気づいているのだろうか?
“龍王島”で龍の力に触れた彼にはコテツの体を覆う何かが見えていた。
「気がついた?
アレが龍気を具現化した姿よ。
龍気が満ちた地であれば、永遠に戦う事が出来るのよ。」
集中していたクレイをリリィが見上げていた。
「少しは鍛錬したと思っていたのですが、程遠い事が分かります。
コテツの努力に感服です。」
「たった20日の鍛錬で龍気を目視出来てるんだから、大したものよ。
真面目に努力を続ければ、貴方の妖精も強くなるわよ。」
クレイは自分の中に感じる妖精を想い嬉しそうに微笑んだ。
「はい。
鍛錬を怠りません。」
ガンッ!!
コテツに立ち向かった最後の騎士が地面に沈んだ。
コテツは軽々と騎士達を掴み宰相の方へ放り投げた。
「アリスの戦いの邪魔になるから、ここに置きます。」
スタスタとリリィの元へ戻って行くコテツを宰相と侍女は顔色を悪くして見送った。
「情けない男共だ。」
3人の女騎士が同僚達を蔑む様に見下ろした。
龍気の見えない彼女達にはコテツの力の本質が分かっていない。
その為に単なる力負けした様に見えているのだ。
そして3人の女騎士が睨みつけたのは小柄なメイド服を着た少女だった。
「お嬢さん。
悪い事を言わないから、やめておきな。
私達は後宮を守る騎士。
護衛擬きのメイドには用はないのさ。」
クスクスと笑う3人の女騎士を見上げたアリスはゲンナリしたように眉を顰めた。
「コテツの戦いを見て、まだ言いますか?
龍の姫巫女の側にいる人間が弱い訳ない事も分からぬ馬鹿ですか?
私は弱い者だとて別に嫌いじゃありません。
でも、弱い上に馬鹿な輩は大嫌いです。」
睨め付けるアリスは侍女の顔ではなく強者と化していた。
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