66 / 473
混沌なる後宮
65
しおりを挟む
ブランチ辺境伯家
東の辺境の地を収めるロンサンティエ帝国でも最古参の一族は隣国サントノーレ公国との間に位置する国境を守護していた。
国境沿いは深い森に覆われ魔獣も存在する。
ロンサンティエ帝国内に魔獣が侵入しないように努めているのだ。
「そもそも、ブランチとは“枝”を意味する。
フランコ・トワ・ロンサンティエが龍王より賜った宝樹の枝をブランチ辺境領に分け与えた事からブランチ辺境伯家は始まった。」
口数の多くないコテツが面倒臭そうに話すのをディミトリオ・ハクヤは辛抱強く聞いていた。
ブランチ辺境伯の名を聞き、急ぎ帰った宰相を見送るとリリィはディミトリオ・ハクヤと供の者達を離宮に誘った。
朝食を食べながら話すコテツに一同の視線が集まっていた。
「ブランチ辺境伯領に宝樹の“分枝”があるのか?」
驚きを隠せないディミトリオ・ハクヤにコテツはコクンと頷いた。
「そう。
辺境伯家は龍に仕え、宝樹の枝を護る一族。」
龍に仕えるとコテツは言った。
「龍に仕える一族・・・。」
コテツは大きな肉を頬張ると頷いた。
話す事の出来ないコテツに呆れながらアリスが代わりに話し始めた。
「フランコ・トワ・ロンサンティエが現れるまで、世界は龍の逆鱗に触れ荒廃していました。
人間が龍を怒らせ関係が絶たれる、その以前から龍と交友を深めていた人々がいたのです。
龍を愛し、共に生き、慎み深く生活を営む人間達が。
一部の人間の所為で龍は人間を見放しましたが、その慎み深い人達までを罰する事はしなかった。
龍を愛した人々が密かに集まった場所が辺境の地でした。」
ディミトリオ・ハクヤは自国の貴族の秘密に驚いた。
「フランコ・トワ・ロンサンティエが龍王に認められ国まで起こす事になった裏には辺境地に住む人々の助力が必須でした。
その礼にフランコ・トワ・ロンサンティエは龍王の許可を得て辺境の地に宝樹の枝を埋めました。
辺境の人々はロンサンティエの血筋にではなく龍に仕える者達です。
フランコ・トワ・ロンサンティエは隠れ蓑として、辺境の人々にブランチの姓を授け、自国の貴族としての権利を与えたのです。
それ故に龍がロンサンティエの滅亡を望むのなら、ブランチ辺境伯はいつでも反旗を掲げる事でしょう。」
ロンサンティエの血筋でないにも関わらずコテツとアリスが“龍王島”にいた理由が分かりディミトリオ・ロンサンティエは納得した。
「今もブランチ辺境伯家は龍との交流を持っているのだな?」
ディミトリオ・ハクヤの問いにコテツとアリスは頷いた。
「そうは言っても、ずっとじゃない。
龍の姫巫女が誕生すれば、仕える人間を送り込む。
それ以外は崇拝対象として龍を崇め、ブランチ辺境領を守り続けているだけだ。」
食事を終えたコテツが口を拭った。
「龍王様によりリリィ様が導かれると、ブランチ辺境伯家はコテツと私を“龍王島”に送り込みました。
年齢の近い私達は共に成長してきたのですよ。」
アリスは懐かしそうに皿を片付けを始めた。
運命を背負っていたのはリリィだけじゃない。
親元から離れて秘境に送られたコテツとアリス。
兄の悪政に悩んでいた己が不幸に苦しんでいた過去の自分を諌めるディミトリオ・ハクヤであった。
東の辺境の地を収めるロンサンティエ帝国でも最古参の一族は隣国サントノーレ公国との間に位置する国境を守護していた。
国境沿いは深い森に覆われ魔獣も存在する。
ロンサンティエ帝国内に魔獣が侵入しないように努めているのだ。
「そもそも、ブランチとは“枝”を意味する。
フランコ・トワ・ロンサンティエが龍王より賜った宝樹の枝をブランチ辺境領に分け与えた事からブランチ辺境伯家は始まった。」
口数の多くないコテツが面倒臭そうに話すのをディミトリオ・ハクヤは辛抱強く聞いていた。
ブランチ辺境伯の名を聞き、急ぎ帰った宰相を見送るとリリィはディミトリオ・ハクヤと供の者達を離宮に誘った。
朝食を食べながら話すコテツに一同の視線が集まっていた。
「ブランチ辺境伯領に宝樹の“分枝”があるのか?」
驚きを隠せないディミトリオ・ハクヤにコテツはコクンと頷いた。
「そう。
辺境伯家は龍に仕え、宝樹の枝を護る一族。」
龍に仕えるとコテツは言った。
「龍に仕える一族・・・。」
コテツは大きな肉を頬張ると頷いた。
話す事の出来ないコテツに呆れながらアリスが代わりに話し始めた。
「フランコ・トワ・ロンサンティエが現れるまで、世界は龍の逆鱗に触れ荒廃していました。
人間が龍を怒らせ関係が絶たれる、その以前から龍と交友を深めていた人々がいたのです。
龍を愛し、共に生き、慎み深く生活を営む人間達が。
一部の人間の所為で龍は人間を見放しましたが、その慎み深い人達までを罰する事はしなかった。
龍を愛した人々が密かに集まった場所が辺境の地でした。」
ディミトリオ・ハクヤは自国の貴族の秘密に驚いた。
「フランコ・トワ・ロンサンティエが龍王に認められ国まで起こす事になった裏には辺境地に住む人々の助力が必須でした。
その礼にフランコ・トワ・ロンサンティエは龍王の許可を得て辺境の地に宝樹の枝を埋めました。
辺境の人々はロンサンティエの血筋にではなく龍に仕える者達です。
フランコ・トワ・ロンサンティエは隠れ蓑として、辺境の人々にブランチの姓を授け、自国の貴族としての権利を与えたのです。
それ故に龍がロンサンティエの滅亡を望むのなら、ブランチ辺境伯はいつでも反旗を掲げる事でしょう。」
ロンサンティエの血筋でないにも関わらずコテツとアリスが“龍王島”にいた理由が分かりディミトリオ・ロンサンティエは納得した。
「今もブランチ辺境伯家は龍との交流を持っているのだな?」
ディミトリオ・ハクヤの問いにコテツとアリスは頷いた。
「そうは言っても、ずっとじゃない。
龍の姫巫女が誕生すれば、仕える人間を送り込む。
それ以外は崇拝対象として龍を崇め、ブランチ辺境領を守り続けているだけだ。」
食事を終えたコテツが口を拭った。
「龍王様によりリリィ様が導かれると、ブランチ辺境伯家はコテツと私を“龍王島”に送り込みました。
年齢の近い私達は共に成長してきたのですよ。」
アリスは懐かしそうに皿を片付けを始めた。
運命を背負っていたのはリリィだけじゃない。
親元から離れて秘境に送られたコテツとアリス。
兄の悪政に悩んでいた己が不幸に苦しんでいた過去の自分を諌めるディミトリオ・ハクヤであった。
122
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる