溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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そして混迷は次代へ

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 ジャンヴィエ・リーン・ロンサンティエ

 皇帝ハイゴール・ウィリの嫡男にして継承順位第1位である彼の祖父は宰相ムク・フラン侯爵であり、母は、その娘であるメッサリーナ。
 誰がどう見ても背景は盤石で未来の皇帝として期待を背負い教育を受けてきた。

 幼い頃から真面目で優秀。
 教師達からの評価も高く、同世代からの支持を熱い。

 その彼が、皇室というものを客観的に見る様になったのは学園に入学してからだった。

 貴族の子息女達を教育する学園では、将来国に尽くす貴族の若者達が集まっていた。

 高位貴族は社交の場として、低位の貴族は実力が認められれば、官職や騎士に就職が叶う。
 国中や近隣諸国からも集まる大きな学舎は完全なる寮生活が待っていた。

 ジャンヴィエ・リーンはそこで友人達と出会う事になる。

 今の国を憂い、嘗て繁栄していた次代を羨む彼らは寮の中で夜な夜な次世代について語り合った。

 同世代の若者達の考えに衝撃を受けたジャンヴィエ・リーンは彼らとの談義にのめり込んでいく。

 彼らの不満や望みを聞いているうちにジャンヴィエ・リーンは彼らの旗印として国を改革に導くべき先頭に立っていた。


 女達の悲鳴が聞こえてくる。

 仲間達と共に後宮を闊歩して行くジャンヴィエ・リーンの表情は読み取る事も出来ない。

 後宮で眠っていた皇帝の愛妾達が喚き声を上げながら騎士達に引きずられて行く様も目には入っていない。

 彼が目指したのは、後宮の中でも一番の大きさを誇る”薔薇の宮”・・・母の住まう離宮だった。

 薔薇の香りが漂う離宮に足を踏み入れるとジャンヴィエ・リーンは顔を顰めた。

「・・・ここも同じか。」

 他と変わらぬ悲鳴が飛び交う離宮にウンザリした様に顔を歪めるジャンヴィエ・リーンの頷きに騎士達が指示に従うように道を開けた。

 彼の向かうのは母がいる居室だった。

 ”薔薇の宮”は既に騎士達の手に落ちている。
 抵抗したであろう母の護衛達の無惨な姿に気づく事もなく扉を開けたジャンヴィエ・リーンは床に座り違いに抱きしめ合う母と妹を目に入れた。

 眠っていたところを叩き起こされた2人の着衣は着のみ気のままと言ったところだった。

 侵入者が何者で、何故に自分達がこんな目にあっているのか理解の出来ていない母娘は、息子であり兄であるジャンヴィエ・リーンが姿を見せると安堵した様に力を抜いた。

「リーン。リーン。
 これは何事なのです。
 騎士が来たという事は不届者の処理は終えたのですか?」

「兄様!
 酷いのよ。
 私、裸足なのよ。
 足の裏が怪我しちゃうわっ!」

 問いかける2人にジャンヴィエ・リーンは微笑んだ。

「父上・・・いや、ハイゴール・ウィリ・ロンサンティエには皇帝の位を退いて貰いました。
 今、この時より私が皇帝です。
 母上。これは、私と大義を持った騎士達の国を正す変革なのです。」

 静寂が部屋を包み込んだ。
 
 
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