132 / 473
そして混迷は次代へ
131
しおりを挟む
「父上・・・いや、ハイゴール・ウィリ・ロンサンティエには皇帝の位を退いて貰いました。
今、この時より私が皇帝です。
母上。これは、私と大義を持った騎士達の国を正す変革なのです。」
ジャンヴィエ・リーンがそう告げた時、母メッサリーナと妹アブリエル・エマは間抜けな顔で彼を見上げた。
「・・・今、何と申した?
皇帝陛下を退かせた?
それは・・・。」
「人はそれをクーデターと言うでしょう。
しかし、私に言わせればこれまでが間違っていたのです。
ロンサンティエ帝国は輝かしい時代があった。
私は、それを取り戻す。
父や祖父達の様な老害は、この国に必要のないのです。」
母である皇妃メッサリーナは自分の息子を信じられない想いで見つめた。
「父を・・・皇帝陛下は如何した。
まさか・・・。」
息子が夫を刃にかけたのではと顔面蒼白になったメッサリーナにジャンヴィエ・リーンは楽しそうに首を横に振った。
「父上には辺境の地にて、我らがなす変革を見定めて頂きます。
己の過ちを見届ける責任が父上にはある。」
それを聞き、ホッとした様子のメッサリーナはフラフラと立ち上がると息子の元にゆっくりと歩み寄った。
この頃には自慢の息子が選択した道に少しばかりの誇らしさが芽生え始めていた。
それは皇妃として後宮を束ねてきた自分への自賛の表れなのか、多くの愛妾を抱え込み己の自尊心を傷つけ続けた夫への仕返しが叶った喜びなのか・・・以前として、メッサリーナは愛息ジャンヴィエ・リーンの行いを咎める事もなく優しく抱きしめたのだ。
ジャンヴィエ・リーンは母からの抱きしめに応じて抱きしめ返した。
そして・・・
「母上には父上と共に辺境の地へ行って頂きます。」
理解出来ずにメッサリーナはゆっくりとジャンヴィエ・リーンから離れた。
母を諭す様な息子の笑顔に温度がない事に、メッサリーナは気がついた。
「何故・・・何故ですっ!!
何故、私まで!」
思わず叫んだ母にジャンヴィエ・リーンは面倒そうに肩を竦めた。
「父上と同じく母上も、もはや老害となっているのですよ。
これからは、父上と共に心穏やかに辺境の地にてお過ごしください。
私は妻を迎えます。
後宮の主人は1人で良い。」
メッサリーナは己を抱きしめると怒気を孕んだ目で息子を睨みつけた。
「私を裏切るか・・・。
其方までも裏切るのかっ!!」
悔しそうな顔は涙で濡れている。
そんな母をジャンヴィエ・リーンは不思議そうな顔で首を傾げた。
「国の為の犠牲は致し方ない。
母上は私に、そう教えて下さいました。
どうして、ダメなのです?」
それは、後宮を掌握する為に何人もを犠牲にし、時には葬ってきた自分が息子に教えた言葉だった。
ジャンヴィエ・リーンは、己の言葉をただ受け入れただけだったのだ。
素直に問いかける息子にメッサリーナはゾッとした。
今、この時より私が皇帝です。
母上。これは、私と大義を持った騎士達の国を正す変革なのです。」
ジャンヴィエ・リーンがそう告げた時、母メッサリーナと妹アブリエル・エマは間抜けな顔で彼を見上げた。
「・・・今、何と申した?
皇帝陛下を退かせた?
それは・・・。」
「人はそれをクーデターと言うでしょう。
しかし、私に言わせればこれまでが間違っていたのです。
ロンサンティエ帝国は輝かしい時代があった。
私は、それを取り戻す。
父や祖父達の様な老害は、この国に必要のないのです。」
母である皇妃メッサリーナは自分の息子を信じられない想いで見つめた。
「父を・・・皇帝陛下は如何した。
まさか・・・。」
息子が夫を刃にかけたのではと顔面蒼白になったメッサリーナにジャンヴィエ・リーンは楽しそうに首を横に振った。
「父上には辺境の地にて、我らがなす変革を見定めて頂きます。
己の過ちを見届ける責任が父上にはある。」
それを聞き、ホッとした様子のメッサリーナはフラフラと立ち上がると息子の元にゆっくりと歩み寄った。
この頃には自慢の息子が選択した道に少しばかりの誇らしさが芽生え始めていた。
それは皇妃として後宮を束ねてきた自分への自賛の表れなのか、多くの愛妾を抱え込み己の自尊心を傷つけ続けた夫への仕返しが叶った喜びなのか・・・以前として、メッサリーナは愛息ジャンヴィエ・リーンの行いを咎める事もなく優しく抱きしめたのだ。
ジャンヴィエ・リーンは母からの抱きしめに応じて抱きしめ返した。
そして・・・
「母上には父上と共に辺境の地へ行って頂きます。」
理解出来ずにメッサリーナはゆっくりとジャンヴィエ・リーンから離れた。
母を諭す様な息子の笑顔に温度がない事に、メッサリーナは気がついた。
「何故・・・何故ですっ!!
何故、私まで!」
思わず叫んだ母にジャンヴィエ・リーンは面倒そうに肩を竦めた。
「父上と同じく母上も、もはや老害となっているのですよ。
これからは、父上と共に心穏やかに辺境の地にてお過ごしください。
私は妻を迎えます。
後宮の主人は1人で良い。」
メッサリーナは己を抱きしめると怒気を孕んだ目で息子を睨みつけた。
「私を裏切るか・・・。
其方までも裏切るのかっ!!」
悔しそうな顔は涙で濡れている。
そんな母をジャンヴィエ・リーンは不思議そうな顔で首を傾げた。
「国の為の犠牲は致し方ない。
母上は私に、そう教えて下さいました。
どうして、ダメなのです?」
それは、後宮を掌握する為に何人もを犠牲にし、時には葬ってきた自分が息子に教えた言葉だった。
ジャンヴィエ・リーンは、己の言葉をただ受け入れただけだったのだ。
素直に問いかける息子にメッサリーナはゾッとした。
115
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる