溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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新たな御代

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 ディミトリオ・ハクヤとセオドア・ローリングの友情を見届けたリリィ達は続々と現れる謁見者と対峙し続けていた。

「ブランチ辺境伯ガク・ブランチ様!
 御子息サイラス・ブランチ様!」

 衛兵の名乗りにやってきたのは2人の男だった。

 1人は歳を取りながらも目には力強い光を持ち、もう1人は柔和な顔で微笑んでいる。

 膝をついた2人はファヴィリエ・ルカに頭を上げると短く祝いの言葉を言った。

「この度はおめでとう御座います。」

「ありがとう。」

「このよき日、立ち会えた事は終生の誉です。」

「ブランチ辺境伯の者に、そう言ってもらえて嬉しい。」

 2人は立ち上がると続けてディミトリオ・ハクヤに顔を向けた。

「太公閣下にご挨拶申し上げます。」

「ブランチ辺境伯。
 此度のご助力に感謝する。」

 ディミトリオ・ハクヤが例を述べると年老いた当主はケラケラと笑った。

「役目を果たしただけの事。
 この偏屈には過ぎた御言葉ですぞ。
 ・・・そして、姫さま。」

 ガク・ブランチ辺境伯と息子であるサイラスがリリィに顔を向けた。

「やっとお会いできました。」

 感慨深いとばかりに息を吐く老貴族にリリィは微笑む。

「世話になっております。
 貴方方には御礼をしたいと思っていたのです。
 皇帝陛下。
 お許し頂ければ、ブランチ辺境伯を茶会に招待したく存じます。」

 この場で話せる事など限りがある。
 リリィの願いにファヴィリエ・ルカが微笑みながら頷いた。

「許します。
 龍の姫巫女殿も、こう言っている。
 我が国、最古参の貴族である其方達に文句を言う輩もおるまい。
 2人には是非とも時間を作ってもらいたい。」

「有り難き幸せに御座います。」
「必ず参ります。
 その時にお預かりしたものもお返ししましょう。」

 サイラスの言葉にリリィは何を指しているのか理解した。

「有難う。
 預けたものに変わりはありませんか?」

「傷1つなく、お預かりしておりました。」

「持ち主が喜ぶでしょう。」

 多くの目と耳がある場で余計な事は言えない。
 それでも、リリィもディミトリオ・ハクヤもファヴィリエ・ルカもそれが、不幸から逃げ切った前皇帝の元愛妾であるマムである事を理解していた。

 彼女の宝である娘シモツキ・レイは今もマドレーヌ妃の離宮である“桃華の宮”で暮らしている。

 マドレーヌ妃やアンディ少年に囲まれて暮らしていても母が恋しい年頃である。
 それを我慢している健気な幼な子にファヴィリエ・ルカも妹として愛情を持っている。

「良かった・・・。」

 思わず呟くファヴィリエ・ルカにディミトリオ・ハクヤが釣られる様に口元を緩めて頷いた。

「ところで、我らがお送りしたは役に立っていますかな?」

 リリィに寄り添うコテツとアリスに目を向ける老貴族ガク・ブランチの鋭い眼光に、2人から舌打ちが聞こえてきた事にリリィは苦笑するのだった。
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