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新たな御代
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ファヴィリエ・ルカの即位の儀は、龍の姫巫女による宝樹の復活という奇跡も合わせ疲れ切っていた人々に喜びをもたらせた。
それから暫くして、約束通りリリィの離宮“百合の宮”に客人が訪れた。
「ようこそ。
ブランチ辺境伯。」
「こうして、老耄が生きている内に龍の姫巫女様にお会いできるとは何とも感慨深いもので御座います。」
年老いても精力的な辺境伯は先の謁見の日より数日経ってリリィへの面会を求めてきたわけだが、これも中々骨の折れる事だった。
新皇帝となったファヴィリエ・ルカの元には他にもリリィへの面会の希望者は殺到していたのだが、新皇帝が許可を出したのはブランチ辺境伯だけである。
多くの貴族や近隣諸国から不平不満が出る事を予想していた事なれど、あまりの抗議にロンサンティエ帝国の最古参の貴族であると言う理由だけでは足りなくなった。
そこで、新皇帝は先代の愛妾であったマムの生存を発表した。
悲劇の愛妾マム。
先代の皇帝の悪行は知れ渡っていた事である。
愛妾マムの境遇に悲しんだ龍の姫巫女・リリィがマムに同情しブランチ辺境伯を頼って逃していたという情報は一瞬で貴族の間に広まりを見せた。
ブランチ辺境伯はマムをお返しに参るのだと言えば、多くの者が口を噤んだ。
文句を言っていた者達の中にはマムを平民上がりの愛妾と罵っていた過去があり、マムを気に入った様子のリリィに睨まれないようにと大人しくなったのも必然だった。
周囲からの文句や妬みなど、素知らぬ顔で気にも留めずに訪れた老貴族は、すこぶる上機嫌だった。
「改めまして。
東の辺境の守護を任されております、ガク・ブランチに御座います。
こちらに連れて参りましたのは息子サイラスです。」
「サイラスに御座います。
龍の姫巫女様にお会いでき、至高な思いに御座います。」
大袈裟過ぎないか?と口を開きそうになるリリィも、ブランチ一族が龍の姫巫女を数百年は待ち望んでいたと思えば期待に応えないわけにはいかなかった。
「これまでの働きに感謝します。
龍王の名代として礼を言います。」
リリィの言葉に2人は感動して顔を高揚させていた。
「さぁ。
堅苦しいのはここまでにしましょう。
ガク・ブランチ殿。サイラス殿。
ここは無礼講の場、お寛ぎくださいね。」
「堅苦しいのが苦手なのは私も同じです。
そうですな・・・。
姫様、私の事はガク・・・いや、爺やとお呼びください。」
「まあ、コテツ。
私に爺やが出来たわ。」
楽しそうに振り返ったリリィにコテツが心底嫌そうに顔を顰めた。
「その人は、厄介なクソジジってだけですよ。」
つまらなそうに欠伸をするコテツにリリィが笑うと、ガク・ブランチはコテツを睨みつけた。
「小僧のままに大きくなりおって。
我が孫ながらに太々しいとは此奴の事ですな。
辺境領に送り、根性を叩き込んでやりましょう。」
「コテツは私の大切な侍従です。
離れられては困ります。
コテツとアリスには良くしてもらっているのです。
2人を私の元へ送ってくれた事に感謝します。」
澄まし顔のアリスがガク・ブランチとサイラス・ブランチの前に紅茶を置く。
「安心して下さい。
毒は入ってません。」
トレーを片手にコテツの隣に立つアリスにガク・ブランチはコメカミに血管を浮かべ、サイラスはクックッと笑った。
「楽しくなりそうね。」
全く違う4人の反応にリリィは思わず微笑むのだった。
それから暫くして、約束通りリリィの離宮“百合の宮”に客人が訪れた。
「ようこそ。
ブランチ辺境伯。」
「こうして、老耄が生きている内に龍の姫巫女様にお会いできるとは何とも感慨深いもので御座います。」
年老いても精力的な辺境伯は先の謁見の日より数日経ってリリィへの面会を求めてきたわけだが、これも中々骨の折れる事だった。
新皇帝となったファヴィリエ・ルカの元には他にもリリィへの面会の希望者は殺到していたのだが、新皇帝が許可を出したのはブランチ辺境伯だけである。
多くの貴族や近隣諸国から不平不満が出る事を予想していた事なれど、あまりの抗議にロンサンティエ帝国の最古参の貴族であると言う理由だけでは足りなくなった。
そこで、新皇帝は先代の愛妾であったマムの生存を発表した。
悲劇の愛妾マム。
先代の皇帝の悪行は知れ渡っていた事である。
愛妾マムの境遇に悲しんだ龍の姫巫女・リリィがマムに同情しブランチ辺境伯を頼って逃していたという情報は一瞬で貴族の間に広まりを見せた。
ブランチ辺境伯はマムをお返しに参るのだと言えば、多くの者が口を噤んだ。
文句を言っていた者達の中にはマムを平民上がりの愛妾と罵っていた過去があり、マムを気に入った様子のリリィに睨まれないようにと大人しくなったのも必然だった。
周囲からの文句や妬みなど、素知らぬ顔で気にも留めずに訪れた老貴族は、すこぶる上機嫌だった。
「改めまして。
東の辺境の守護を任されております、ガク・ブランチに御座います。
こちらに連れて参りましたのは息子サイラスです。」
「サイラスに御座います。
龍の姫巫女様にお会いでき、至高な思いに御座います。」
大袈裟過ぎないか?と口を開きそうになるリリィも、ブランチ一族が龍の姫巫女を数百年は待ち望んでいたと思えば期待に応えないわけにはいかなかった。
「これまでの働きに感謝します。
龍王の名代として礼を言います。」
リリィの言葉に2人は感動して顔を高揚させていた。
「さぁ。
堅苦しいのはここまでにしましょう。
ガク・ブランチ殿。サイラス殿。
ここは無礼講の場、お寛ぎくださいね。」
「堅苦しいのが苦手なのは私も同じです。
そうですな・・・。
姫様、私の事はガク・・・いや、爺やとお呼びください。」
「まあ、コテツ。
私に爺やが出来たわ。」
楽しそうに振り返ったリリィにコテツが心底嫌そうに顔を顰めた。
「その人は、厄介なクソジジってだけですよ。」
つまらなそうに欠伸をするコテツにリリィが笑うと、ガク・ブランチはコテツを睨みつけた。
「小僧のままに大きくなりおって。
我が孫ながらに太々しいとは此奴の事ですな。
辺境領に送り、根性を叩き込んでやりましょう。」
「コテツは私の大切な侍従です。
離れられては困ります。
コテツとアリスには良くしてもらっているのです。
2人を私の元へ送ってくれた事に感謝します。」
澄まし顔のアリスがガク・ブランチとサイラス・ブランチの前に紅茶を置く。
「安心して下さい。
毒は入ってません。」
トレーを片手にコテツの隣に立つアリスにガク・ブランチはコメカミに血管を浮かべ、サイラスはクックッと笑った。
「楽しくなりそうね。」
全く違う4人の反応にリリィは思わず微笑むのだった。
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