溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

文字の大きさ
175 / 473
後宮にも新たな風が吹く

174

しおりを挟む
 主人を失った“芍薬の宮”

 今は皇子や皇姫が共同で住んでいる。

「さぁ、皆さん。
 お茶の時間ですよ。」

 本来、学舎となる“薔薇の宮”は手入れの最中な為に、今は住処である“芍薬の宮”で勉学を励んでいる皇子と皇妃にマムの声が響き渡る。

 庭にセッティングされた茶の用意に子供達が集まってきた。

「こんにちわ。」

 そこに見慣れぬ女性が既に座っていた。

 下ろしてある真っ白な髪が美しく、耳には琥珀の龍の形をした耳飾りが煌めいていた。
 
「皆様、こちらは龍の姫巫女様であられるリリィ様です。」

 流石に皇族といったところだろうか。
 微笑む女性を見つめていた子供達が驚いた様に頭を下げた。

「お初にお目にかかります。
 ユニエ・アミ・ロンサンティエにございます。」

「お初にお目にかかります。
 テムズ・ダンでございます。」

 子供らの中で1番の年上であるユニエ・アミとテムズ・ダンの双子が進み出て挨拶をした。

 それに続けとばかりに下の小さな子供達も名を名乗っている。
 流石に、まだ赤子である末のディザンブル・ヒューゴの姿は見られなかった。
 先代皇帝の最後の愛妾となったベルナは現在も王宮の外・・・教会に預けられている。
 先代皇帝を手玉に取ろうと画策した悪心の改善が見られなければ地方の修道院に送られる予定だという。

「丁寧な挨拶、感謝します。
 龍の姫巫女として参りましたリリィと申します。
 今日は一緒にお茶を楽しみましょう。」

 リリィの手招きに下の子供達が何の疑いもせずに席に着く中、年長者の双子が不安そうに見つめている。

「さぁ、いらっしゃい。」

 再びリリィが手を伸ばすと双子はビクッとして互いに手をギュッと握りしめ、
おずおずと席についた。

「こちらはね。
 マフィンというんです。
 色んな味を用意しました。
 紅茶も良いですが、温かいミルクも用意していますからね。
 お好きな物を選んでくださいね。」

 リリィの言葉に皇子や皇姫は自分の侍従や侍女に頼んでマフィンや紅茶、時にはミルクを選び始めた。

 微動だにしないのは双子の皇子と皇姫で2人の後ろに立つ侍女も伺う事もなければ、動く気配すらない。

 リリィはマフィンを2つと、2つの小さなカップに注いだ温かいミルクを可愛らしい籠に入れると立ち上がった。

「マム様。後をお願いしますね。」

「お任せください。」

 リリィはゆっくりと双子に近づくと2人の耳元に顔を近づけた。

「ここでは落ち着かないのでしょう?
 一緒にいらっしゃい。」

 ハッとした双子が思わず顔を上げると、リリィの青い目がキラキラしていた。

 手を差し伸べる手にユニエ・アミが思わず手を伸ばした。

「皇姫様。
 龍の姫巫女様に触れてはなりません。」

 低い声が聞こえた。
 侍女の声にビクッとしたユニエ・アミが手を引っ込めるのをリリィが優しく握った。

「良いのよ。
 私が手を繋ぎたかったの。」

 ニッコリと微笑むリリィを双子は不思議な物を見るように見つめるのだった。


 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

処理中です...