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とある男の転換期
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コン♪ココン♪
ローラ・ウィッドヴィルと当たり障りない会話をしていたシオン・ポリティス伯爵は再び奏でられたノックの音に緊張した。
軽やかで楽しげなノックにローラが微笑む。
「リリィ様です。」
ローラが扉を開けると真っ白な髪を緩やかに編み込んだ女性が顔を覗かせた。
「ポリティス伯爵。お待たせして御免なさい。」
柔らかい笑顔には、先程まで思い出していた神々しく近づき難い雰囲気はない。
むしろ愛らしく可愛らしい印象だ。
「龍の姫巫女様におかれましてはご機嫌麗しく。
シオン・ポリティスにございます。
お目通りの時間を確かめずに来た私が悪いのです。
失礼いたしました。」
「良いのです。
でも陛下が無理を通したのではないかと心配です。」
「それは御座いません。
どうぞ、気を遣われますな。」
「良かった。
座りましょう。」
互いに好印象で挨拶を終わらせるとソファーに座った。
リリィの後ろには体格の良い侍従が侍り、ローラがリリィの紅茶を用意している。
「それにしても、唐突に呼び出されて困らせてはいませんか?」
問いかけるリリィにポリティス伯爵は苦笑した。
「戸惑っていないと言えば嘘になります。
龍の姫巫女様にお目通り願っても会えないと言うのが、もっぱらの噂ですから。
なぜ、私なのだろうと。」
素直に答えたポリティス伯爵にリリィはコクコクと頷いた。
「私の事はリリィと呼んでください。」
「はい。リリィ様。」
「ポリティス伯爵のおっしゃる通りです。
陛下も私もお会いする方を厳選している状態です。
大きな理由は、私達が正式に婚姻を結んでいるわけではない事。
加えて陛下が即位されてから時間が経っていない事。
悪しき風習は終わらせたいとの考えからです。」
ポリティス伯爵は、その理由だけで十分に理解できた。
歴代、新たに皇帝が生まれると貴族達は誰も彼もが贈り物や甘言を囁き、取り入ろうとするのだ。
当然、次第に王宮は乱れていく。
乱れに乱れていた先帝の時代は終わったのだ。
若き皇帝が、これまでの慣習を壊そうとするのも納得である。
「私はまだ皇妃という立場ではありませんが、国を支えるのに時期を見るなどと悠長な事は言っていられません。
陛下の許可を得て、私なりに動いてみようと思うのです。」
リリィのこの言葉も、またポリティス伯爵は理解できた。
人を助ける時期など、とうに過ぎている。
「はい。
リリィ様は、何をなさりたいのでしょう?」
率直に問いかけるポリティス伯爵にリリィは真剣な顔をした。
「国を平和に、安定される為に治世は陛下がなされます。
ならば、私は豊かにする為に商売をしたいと思います。」
商人である自分が呼ばれたのだ。
そうではないかと推測していた。
「私は、自分の知識や技術を国の為に使おうと思います。
それで、帝国民が幸せになるのなら本望です。」
それでは龍の姫巫女は奉仕をしたいのか?
いや、彼女は商売と言った。
ならば、利益を求めているのだ。
「リリィ様の利益とは何でしょう?」
そう問うポリティス伯爵にリリィはニッコリした。
「国を食い物にしている商人達を滅ぼしたいの。
楽しそうでしょ?」
それは純粋にハッキリとした彼女の意見だった。
ローラ・ウィッドヴィルと当たり障りない会話をしていたシオン・ポリティス伯爵は再び奏でられたノックの音に緊張した。
軽やかで楽しげなノックにローラが微笑む。
「リリィ様です。」
ローラが扉を開けると真っ白な髪を緩やかに編み込んだ女性が顔を覗かせた。
「ポリティス伯爵。お待たせして御免なさい。」
柔らかい笑顔には、先程まで思い出していた神々しく近づき難い雰囲気はない。
むしろ愛らしく可愛らしい印象だ。
「龍の姫巫女様におかれましてはご機嫌麗しく。
シオン・ポリティスにございます。
お目通りの時間を確かめずに来た私が悪いのです。
失礼いたしました。」
「良いのです。
でも陛下が無理を通したのではないかと心配です。」
「それは御座いません。
どうぞ、気を遣われますな。」
「良かった。
座りましょう。」
互いに好印象で挨拶を終わらせるとソファーに座った。
リリィの後ろには体格の良い侍従が侍り、ローラがリリィの紅茶を用意している。
「それにしても、唐突に呼び出されて困らせてはいませんか?」
問いかけるリリィにポリティス伯爵は苦笑した。
「戸惑っていないと言えば嘘になります。
龍の姫巫女様にお目通り願っても会えないと言うのが、もっぱらの噂ですから。
なぜ、私なのだろうと。」
素直に答えたポリティス伯爵にリリィはコクコクと頷いた。
「私の事はリリィと呼んでください。」
「はい。リリィ様。」
「ポリティス伯爵のおっしゃる通りです。
陛下も私もお会いする方を厳選している状態です。
大きな理由は、私達が正式に婚姻を結んでいるわけではない事。
加えて陛下が即位されてから時間が経っていない事。
悪しき風習は終わらせたいとの考えからです。」
ポリティス伯爵は、その理由だけで十分に理解できた。
歴代、新たに皇帝が生まれると貴族達は誰も彼もが贈り物や甘言を囁き、取り入ろうとするのだ。
当然、次第に王宮は乱れていく。
乱れに乱れていた先帝の時代は終わったのだ。
若き皇帝が、これまでの慣習を壊そうとするのも納得である。
「私はまだ皇妃という立場ではありませんが、国を支えるのに時期を見るなどと悠長な事は言っていられません。
陛下の許可を得て、私なりに動いてみようと思うのです。」
リリィのこの言葉も、またポリティス伯爵は理解できた。
人を助ける時期など、とうに過ぎている。
「はい。
リリィ様は、何をなさりたいのでしょう?」
率直に問いかけるポリティス伯爵にリリィは真剣な顔をした。
「国を平和に、安定される為に治世は陛下がなされます。
ならば、私は豊かにする為に商売をしたいと思います。」
商人である自分が呼ばれたのだ。
そうではないかと推測していた。
「私は、自分の知識や技術を国の為に使おうと思います。
それで、帝国民が幸せになるのなら本望です。」
それでは龍の姫巫女は奉仕をしたいのか?
いや、彼女は商売と言った。
ならば、利益を求めているのだ。
「リリィ様の利益とは何でしょう?」
そう問うポリティス伯爵にリリィはニッコリした。
「国を食い物にしている商人達を滅ぼしたいの。
楽しそうでしょ?」
それは純粋にハッキリとした彼女の意見だった。
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