溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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英傑の記憶③〜ほころび〜

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 フランコ・トワが自身の故郷に捕虜だった全ての者達を連れ帰ったのには訳があった。

 擦り傷などの些細な傷の為にフランコ・トワも回復魔法を扱う事が出来るが、捕虜となった者達の体の傷や不調を治す為に適任者が他にいたからだ。

 彼の妻であるセレティアである。

 “龍王”より様々な教育と受けていたセレティアには特出して才能があった。
 
 全ての生命を治癒し癒す力だった。

 “龍王島”で、がむしゃらに試練を受けていたフランコ・トワも何度助けられたか数えきれない位だ。

 故郷に戻り、感動の再会を果たした者達は皆揃ってバタバタと倒れていく。

 安堵と疲労が彼らの意識を失わせたのだ。

 村にいた老人や子供達は準備していた寝床に親や兄弟、そして他の村の者達を連れて行った。

 セレティアの癒しの力は凄まじく次々と人々を治していった。
 女神の如く崇められる事を嫌がりセレティアは必要以上に人々に関わる事をしなかったが、それでも彼女への感謝は途切れる事はなかった。

 彼女の美しさに魅せられたのはジョルジュも同じだった。

 見た事もない洗練された美しいセレティアに目を奪われ、治療と分かっていても彼女に触れられれば頬を赤くした。

 横恋慕?

 いいや、それはなかった。

 フランコ・トワも彼らにとっては特別な存在だった。
 
 彼に助けられたからだけじゃない。
 彼の見せた特別な力は人々を魅了し崇拝の域まで達していた。

 時折、フランコ・トワ、そして妻であるセレティアが海の向こうに浮かぶ島を静かに見つめている事も彼等は気づいていた。

 それはまるで“龍王”に問いかけ、己の強大な力を律している修行者のようだった。

 フランコ・トワが鍛錬を怠っていない事も知っていた。

《コイツは、あんなに凄い力を持っているのに、まだ励んでいるというのか・・・。》

 ジョルジュはフランコ・トワの真面目さに驚かされるばかりだ。

 次第にジョルジュはフランコ・トワと共に訓練を始めた。

 見よう見まねで自分の動きを真似をするジョルジュにフランコ・トワは何も言わずに付き合った。

 呼吸や体の使い方。
 ついていくのがやっとでもジョルジュは諦めない。

 その内、セレティアも混ざり助言をするようになった。

 その間、漁村の復興が進められ望む者がいれば他の村で暮らしていた者も受け入れる事になった。

 捕虜として過ごした年月が彼らに絆を産んだ事は間違いない。

 それでも故郷に帰りたいと願う者にも最大限の援助をした。

 それぞれに目処がついた頃だった。
 ジョルジュはフランコ・トワとセレティアに自分も“龍王島”に渡る事を希望したのだ。

 村の者達を守る為に自分も力を授かりたいと願ったのだ。

 問われたセレティアはゆっくりと首を横に振った。

「残念ながら“龍王”に目通りは叶わないでしょう。
 それは貴方の役目ではないのです。」

 役目・・・ジョルジュはセレティアの言葉に人生の転換を迎える事になる。
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