溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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契約者たちの戦い方

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 ロンサンティエ帝国の後宮の一角でローブ姿の不穏な人間達が集まっていた。

 自身達を魔法師と謳う彼等は互いに短めに言葉を交わし、お己の仕事に向かっていく。

「“薔薇の宮”・・・元正妃の離宮だったか。
 今や主人のいない哀れな場所だ。
 確か、残された先代の子供達が学舎として使っていると聞いていたが・・・。」

 ここまで、騎士や使用人達に幻覚を見せ潜り込む事に成功していた。
 
 この日、人の気配のしない“薔薇の宮”に1人の男が侵入した。

 派手な装飾は減ったものの、庭には薔薇の花が咲き誇り華やかな場所である名残は残っている。

「フンッ。
 龍の恩恵を、こんな物に使うなど・・・。
 ロンサンティエは、力の使い方を分かっていないという先人達の言葉は正しかったな。」

 ブツブツと言いながら庭を突っ切り建物に近づこうとした男は、唐突に姿を見せたマント姿の紳士にギョッとした。

「ここは皇子や皇姫達の学びの場。
 招待もされていない者が立ち入る事は叶わん。」

 人気のない事を確認していた侵入者は油断していた。
 
 爆薬等を仕掛けて、仲間と合流するだけの任務だった。

 目の前に立つ紳士はステッキを地面に突き刺し両手で握りしめて侵入者を睨み付け、咥えていたタバコの煙を口の隙間から吐き出している。

「・・・誰だ?」

「何故、招かざる者に答えねばならん。」

 体中から面倒だと意思表示している紳士に侵入者は歯噛みした。

「子供の居場所にコソコソと入り込む輩を相手に名を名乗る馬鹿はお人好しだ。
 いいから、さっさと去れ。
 ・・・または、燃えろ。」

 紳士がコツンとステッキを鳴らすと、侵入者めがけて火の玉が飛んできた。

「なっ!!
 貴様っ!魔法師かっ!」

 ローブを捌きながら侵入者が思わず避けると、紳士を睨みつけた。

「そうかもしれないし、そうでないとも言っていない。
 私と会話するには、知性を持っていこい。
 面倒だ。
 スチュアート。
 挨拶はこれまでだ。仕留めろ。」

 再びコツンとステッキを鳴らした紳士の隣には真っ赤なモヒカンの猿が礼儀正しく立っていた。
 燕尾服に首に蝶ネクタイを締めた猿は、紳士に恭しく礼をとると、侵入者目掛けて無数の火の玉を投げつけた。

「うわあぁぁぁぁぁ!」

 侵入者は逃げ惑いながら爆薬を猿に向かって投げつけた。

「馬鹿め・・・。
 火魔法を扱うスチュアートに爆薬など効きわせんわ。」

 紳士の言う通り、投げつけられた爆薬に火が着こうとも、猿は器用に散らばった炎を集めると男に丁寧に返してやっている。

「そっ、そんな・・・。
 これが龍の力か・・・龍の力なのか。」

 意識の薄れていく男の譫言に紳士は溜息を吐いた。

「龍の力というよりかは、私のスチュアートの力だ。
 馬鹿者が。」

 紳士は仕事を終えて、礼を姿勢を取る猿の姿・・・火妖精のスチュアートに頷いてみせた。

「よい仕事ぶりであった。
 さすがは、このダニー・グランブルの契約妖精である。」

 ダニー・グランブル。

 皇帝陛下ファヴィリエ・ルカの命により、リリィの指導の下、帝国で最も早く妖精と契約した貴族は、誇らしげに自身の妖精を褒めた。

 スチュアートと名付けられた猿は、再び執事の様に礼をすると静かに主人の足元に侍るのだった。
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