溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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契約者たちの戦い方

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ドガーン!

薔薇の宮の方で爆発音がし、モクモクと大きな煙が上がった。

「何だっ!?」
「爆発は、もう少し後の予定だぞ。」

己達も離宮に忍び込もうとしていた侵入者達が煙を見上げ、顔を顰めた。

「まぁ、良いだろう。
 どの道、こうなる予定だったんだ。
 俺達も仕事を終えよう。」

 侵入した男達はローブのフードを剥ぎ取ると急いで屋敷に駆け込もうととした。

 そこに涼しい声が通る。

「予定のない事態が起こったにも関わらず、計画を見直さない・・・。
 何とも、語るに値しない愚者共ですね。」

 此処は“芍薬の宮”と呼ばれる、今や幼い皇子や皇姫の寝所がある憩いの場である。

 先の大人達の争いに巻き込まれた皇子や皇姫達を守ために皇帝ファヴィリエ・ルカが何処よりも笑いの絶えない場を作り上げようとしている離宮。

 そこに無粋な侵入者が現れた。

「我らが皇帝陛下のご命令なのです。
 お引き取り願いましょう。」

 若き伯爵ライリー・ナイトメアは驚く侵入者に冷たい視線を向けていた。

「何奴だっ!?」

 そう叫んだ侵入者にナイトメア伯爵は呆れた顔で溜息を吐いた。

「本来、それはこちらの台詞ですよ。
 しかし、貴方達の正体は存じ上げています。
 自己紹介は無用ですよ。」

 一見して優男で柔和な男が、こうも冷たい表情を浮かべると誰しもが怯えてしまうものだ。

「おやおや、ナイトメア伯爵も気が急いていると見える。
 仕事を阻害されてご不満でしょうが、もう少し付き合ってやれば良いものを。」

 クスクスと笑い声がしたかと思えば、屋敷から、もう1人の男がゆっくりとした足取りで出てきた。

「ウィットヴィル伯爵。
 悠長な事を言ってられないんですよ。
 粛清から逃れた貴族の不正を暴くのが私の仕事です。
 日々毎日のように証拠資料が届くんです。
 どうせ帰ったら机に山積みになってるはずですよ。
 早く終わらせたいと願うのは間違っていないでしょう。」

 そう言うとライリー・ナイトメアは己の掌に止まった白いインコの頭を優しくなでた。

「それは確かに・・・ご苦労様です。」

 ラザロ・ウィットヴィルは若き伯爵の真面目さに心の底から関心すると同時に、笑いが込み上げてきていた。

 クククッと楽しげに笑いながらも彼の視線は侵入者・・・敵に向かっていた。

「と言う事なので、早々に立ち去っていただきましょうか。
 ・・・いや、帰ってもらっても困るのか。」

 どこまでが本気なのか、首を傾げているラザロ・ウィットヴィルに敵は苛立ちを見せていた。
 それは、目の前の飄々とした男の所為なのか、それともずっと威嚇してきている若者の所為なのか、はたまた任務を終えられない自分達に対してなのか・・・。
 
 ラザロ・ウィットヴィルは懐に手を当てると、胸元から顔を出した黒い蛇がスルスルと姿を見せた。

「さぁ、貴方達は闇がお好みですか?」

 口角を上げたラザロ・ウィットヴィルに敵達がビクリとしている。

「それとも光が良いですか?」

 あくまでも冷酷な顔のライリー・ナイトメアが敵を見据えた。

「私の契約妖精は光魔法を扱う。
 ジュジェ。彼等に苦痛の光を・・・。」

「私の契約妖精は闇魔法を扱う。
 ソワレ。彼等に安らぎの闇を・・・。」

 放たれた力に飲み込まれていく侵入者達は喚きなら逃げ惑う素振りを見せながらも、なす術もなく倒れていく。

「お疲れ様でした。
 紅茶の一杯でも如何です?」

 穏やかに誘うラザロ・ウィットヴィルに対しライリー・ナイトメアは申し訳なさそうに頭を下げた。

「仕事が溜まっておりますので、此処で失礼致します。」

「それは残念。
 では私も報告にあがりますかね。」

 2人の男は連れ立って芍薬の宮後にするのだった。
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