389 / 473
契約者たちの戦い方
369
しおりを挟む
ドガーン!
薔薇の宮の方で爆発音がし、モクモクと大きな煙が上がった。
「何だっ!?」
「爆発は、もう少し後の予定だぞ。」
己達も離宮に忍び込もうとしていた侵入者達が煙を見上げ、顔を顰めた。
「まぁ、良いだろう。
どの道、こうなる予定だったんだ。
俺達も仕事を終えよう。」
侵入した男達はローブのフードを剥ぎ取ると急いで屋敷に駆け込もうととした。
そこに涼しい声が通る。
「予定のない事態が起こったにも関わらず、計画を見直さない・・・。
何とも、語るに値しない愚者共ですね。」
此処は“芍薬の宮”と呼ばれる、今や幼い皇子や皇姫の寝所がある憩いの場である。
先の大人達の争いに巻き込まれた皇子や皇姫達を守ために皇帝ファヴィリエ・ルカが何処よりも笑いの絶えない場を作り上げようとしている離宮。
そこに無粋な侵入者が現れた。
「我らが皇帝陛下のご命令なのです。
お引き取り願いましょう。」
若き伯爵ライリー・ナイトメアは驚く侵入者に冷たい視線を向けていた。
「何奴だっ!?」
そう叫んだ侵入者にナイトメア伯爵は呆れた顔で溜息を吐いた。
「本来、それはこちらの台詞ですよ。
しかし、貴方達の正体は存じ上げています。
自己紹介は無用ですよ。」
一見して優男で柔和な男が、こうも冷たい表情を浮かべると誰しもが怯えてしまうものだ。
「おやおや、ナイトメア伯爵も気が急いていると見える。
仕事を阻害されてご不満でしょうが、もう少し付き合ってやれば良いものを。」
クスクスと笑い声がしたかと思えば、屋敷から、もう1人の男がゆっくりとした足取りで出てきた。
「ウィットヴィル伯爵。
悠長な事を言ってられないんですよ。
粛清から逃れた貴族の不正を暴くのが私の仕事です。
日々毎日のように証拠資料が届くんです。
どうせ帰ったら机に山積みになってるはずですよ。
早く終わらせたいと願うのは間違っていないでしょう。」
そう言うとライリー・ナイトメアは己の掌に止まった白いインコの頭を優しくなでた。
「それは確かに・・・ご苦労様です。」
ラザロ・ウィットヴィルは若き伯爵の真面目さに心の底から関心すると同時に、笑いが込み上げてきていた。
クククッと楽しげに笑いながらも彼の視線は侵入者・・・敵に向かっていた。
「と言う事なので、早々に立ち去っていただきましょうか。
・・・いや、帰ってもらっても困るのか。」
どこまでが本気なのか、首を傾げているラザロ・ウィットヴィルに敵は苛立ちを見せていた。
それは、目の前の飄々とした男の所為なのか、それともずっと威嚇してきている若者の所為なのか、はたまた任務を終えられない自分達に対してなのか・・・。
ラザロ・ウィットヴィルは懐に手を当てると、胸元から顔を出した黒い蛇がスルスルと姿を見せた。
「さぁ、貴方達は闇がお好みですか?」
口角を上げたラザロ・ウィットヴィルに敵達がビクリとしている。
「それとも光が良いですか?」
あくまでも冷酷な顔のライリー・ナイトメアが敵を見据えた。
「私の契約妖精は光魔法を扱う。
ジュジェ。彼等に苦痛の光を・・・。」
「私の契約妖精は闇魔法を扱う。
ソワレ。彼等に安らぎの闇を・・・。」
放たれた力に飲み込まれていく侵入者達は喚きなら逃げ惑う素振りを見せながらも、なす術もなく倒れていく。
「お疲れ様でした。
紅茶の一杯でも如何です?」
穏やかに誘うラザロ・ウィットヴィルに対しライリー・ナイトメアは申し訳なさそうに頭を下げた。
「仕事が溜まっておりますので、此処で失礼致します。」
「それは残念。
では私も報告にあがりますかね。」
2人の男は連れ立って芍薬の宮後にするのだった。
薔薇の宮の方で爆発音がし、モクモクと大きな煙が上がった。
「何だっ!?」
「爆発は、もう少し後の予定だぞ。」
己達も離宮に忍び込もうとしていた侵入者達が煙を見上げ、顔を顰めた。
「まぁ、良いだろう。
どの道、こうなる予定だったんだ。
俺達も仕事を終えよう。」
侵入した男達はローブのフードを剥ぎ取ると急いで屋敷に駆け込もうととした。
そこに涼しい声が通る。
「予定のない事態が起こったにも関わらず、計画を見直さない・・・。
何とも、語るに値しない愚者共ですね。」
此処は“芍薬の宮”と呼ばれる、今や幼い皇子や皇姫の寝所がある憩いの場である。
先の大人達の争いに巻き込まれた皇子や皇姫達を守ために皇帝ファヴィリエ・ルカが何処よりも笑いの絶えない場を作り上げようとしている離宮。
そこに無粋な侵入者が現れた。
「我らが皇帝陛下のご命令なのです。
お引き取り願いましょう。」
若き伯爵ライリー・ナイトメアは驚く侵入者に冷たい視線を向けていた。
「何奴だっ!?」
そう叫んだ侵入者にナイトメア伯爵は呆れた顔で溜息を吐いた。
「本来、それはこちらの台詞ですよ。
しかし、貴方達の正体は存じ上げています。
自己紹介は無用ですよ。」
一見して優男で柔和な男が、こうも冷たい表情を浮かべると誰しもが怯えてしまうものだ。
「おやおや、ナイトメア伯爵も気が急いていると見える。
仕事を阻害されてご不満でしょうが、もう少し付き合ってやれば良いものを。」
クスクスと笑い声がしたかと思えば、屋敷から、もう1人の男がゆっくりとした足取りで出てきた。
「ウィットヴィル伯爵。
悠長な事を言ってられないんですよ。
粛清から逃れた貴族の不正を暴くのが私の仕事です。
日々毎日のように証拠資料が届くんです。
どうせ帰ったら机に山積みになってるはずですよ。
早く終わらせたいと願うのは間違っていないでしょう。」
そう言うとライリー・ナイトメアは己の掌に止まった白いインコの頭を優しくなでた。
「それは確かに・・・ご苦労様です。」
ラザロ・ウィットヴィルは若き伯爵の真面目さに心の底から関心すると同時に、笑いが込み上げてきていた。
クククッと楽しげに笑いながらも彼の視線は侵入者・・・敵に向かっていた。
「と言う事なので、早々に立ち去っていただきましょうか。
・・・いや、帰ってもらっても困るのか。」
どこまでが本気なのか、首を傾げているラザロ・ウィットヴィルに敵は苛立ちを見せていた。
それは、目の前の飄々とした男の所為なのか、それともずっと威嚇してきている若者の所為なのか、はたまた任務を終えられない自分達に対してなのか・・・。
ラザロ・ウィットヴィルは懐に手を当てると、胸元から顔を出した黒い蛇がスルスルと姿を見せた。
「さぁ、貴方達は闇がお好みですか?」
口角を上げたラザロ・ウィットヴィルに敵達がビクリとしている。
「それとも光が良いですか?」
あくまでも冷酷な顔のライリー・ナイトメアが敵を見据えた。
「私の契約妖精は光魔法を扱う。
ジュジェ。彼等に苦痛の光を・・・。」
「私の契約妖精は闇魔法を扱う。
ソワレ。彼等に安らぎの闇を・・・。」
放たれた力に飲み込まれていく侵入者達は喚きなら逃げ惑う素振りを見せながらも、なす術もなく倒れていく。
「お疲れ様でした。
紅茶の一杯でも如何です?」
穏やかに誘うラザロ・ウィットヴィルに対しライリー・ナイトメアは申し訳なさそうに頭を下げた。
「仕事が溜まっておりますので、此処で失礼致します。」
「それは残念。
では私も報告にあがりますかね。」
2人の男は連れ立って芍薬の宮後にするのだった。
213
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど
有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。
私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。
偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。
そして私は、彼の妃に――。
やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。
外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる