溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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積み重ねられた嘘の瓦解

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 ーーー滅びゆくルマン家の当主。

 そう言われたアバリシア・ルマンは血液が沸騰する程の怒りに襲われていた。

 未知なる者への恐怖心も、目の前の娘の美貌を羨む醜い想いも、全て吹き飛ぶ位に目の前が真っ白になるほどの怒りであった。

「何と無礼な娘だ!
 お前など、獣と戯れていた島暮らしの小娘のくせに!!
 龍の姫巫女と祭り上げられて、良い気になりおって!!
 我がルマン家は、フロドゥール国が建国されてから、今日まで国を支えた英雄の家門だ。
 田舎者に侮られる言われわないわ!!」

 憤怒に駆られ、皺の増えた手を握りしめた事により手袋に血が滲んでいたが、その痛みも決して怒りを鎮めてはくれない。

「あら、思っていたよりも素直に龍の姫巫女と認めてくれるのね。」

 楽しそうにクスクスと笑ったリリィは今度は可愛そうな者を見る様に眉を下げた。

「偽りと欺瞞の世界しか見てこなかった哀れなアバリシア。
 龍を獣と蔑みながらも、その力を涎が出るほど欲しているのに、その欲望の愚かしさすら気づかない。」

 芝居じみたリリィの身振り手振りにアバリシア・ルマンは立ち上がった。

「黙れ!!」

 なりふり構わず殴りかかろうとした、その瞬間だった。

「黙るのは、貴様の方だ。」

 今度は聞き馴染みのある男の声が部屋に轟く。

「陛下・・・?」

 幾度となく酒を交わし、自分の機嫌すら乱さなければ可愛がってきた年下の国王が唐突に姿を現したのだ。

 国王レイド・フロドゥールはアバリシア・ルマン女侯爵の屋敷に集まった者達を見渡し顔を顰めた。

「成程・・・私を謀り容易に情報操作できるわけだ。」

 椅子から転げ落ちていた大臣の1人は国王の出現に顔面蒼白になりならが弁明しようと口を開けたが、パクパクと魚のように動かすだけで何も声を発する事が出来ずにいた。

 伯爵夫婦は青白くなった顔を伏せ、無駄だと悟りながらも、国王の視界に入らないように願っていた。
 その他の者も心境は同じだろう。
 呼ばれてやって来ただけなのに、国王に己がアバリシア・ルマンの手の中にいると知られてしまったのだ。
 居心地悪そうに顔を背けている。

「陛下っ!
 これは何の悪戯でしょう?
 他国の者に我が屋敷に無断で侵入を許し、加えて同胞である我らを糾弾するような姿勢。
 ルマン家の当主として抗議いたします!」

 金切り声を上げる様子のアバリシア・ルマンに嘗て持っていた美貌の欠片すら見えない。

 これまでと同じく、国王レイド・フロドゥールを御する事を厭わない姿に、国王本人は悲しみを携えた瞳で見つめた。

 そんな時だった。

「無断で屋敷に侵入?
 ならば、私はロンサンティエ帝国の皇帝として無断で我が帝国内で暗躍し、王宮並びに後宮を危険に晒した根源である貴方に責任をとって貰わなければならない。」

 その時になってアバリシア・ルマンは、国王の後ろから現れた美しい若者が射殺す様な目で己を見ているのに気がついた。
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