溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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その後のあれこれ

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「全くもって気に入らん。」

 幼少期から1年ほど前まで暮らした宮殿を庭園から見上げていたマルト・ジョンは不機嫌を隠そうとしない。

 故郷ロンサンティエ帝国に帰れば、自分の復権を歓迎する貴族達がいると期待していたマルト・ジョンは打ちのめされていた。
 皆がファヴィリエ・ルカを慕い、この結婚に最大の祝いを述べていた。

 少し前までなら、マルト・ジョンを押す声も多少なりともあったのだろうが、龍の姫巫女であるリリィが龍気を満たし宝樹を復活させたり、ファヴィリエ・ルカが妖精と契約し、帝国中に妖精との付き合いを奨励した頃から風向きが変わった。

 ファヴィリエ・ルカを気に入らずにいた者達も情勢を見越して反対意見に口を噤み始めたのだ。

 正当な血よりも、大切なものが今のロンサンティエ帝国にはあった。

 “龍王”が認めた龍の使者ディミトリオ・ハクヤ。
 龍の姫巫女として絶対的な支持を受けるリリィ。
 そして、ディミトリオ・ハクヤの息子にしてリリィに認められたファヴィリエ・ルカ。
 この強固な関係を前に誰もが認めざる得なくなったのだ。
 マルト・ジョンの復権はロンサンティエ帝国の貴族から帝国民にかけて誰もが望んでいなかった。

 「気に入らん」と不満を口にしても、家臣は周囲に聞かれていないかと慌てているだけでマルト・ジュンの気持ちを慮る事はない。

 自分の不遇に嘆きこそすれ、彼は自分が何故に母の故郷に送られたか理解してなかった。

「相変わらずね。
 兄様。」

 声をかけられて振り返れば。そこには騎士を引き連れた懐かしい顔があった。

「・・・ミーナか。
 久しいな。」

 マルト・ジュンの前に現れたサツキ・ミーナはイースタン国の出身の姫を母に持つ妹だった。
 同じく母の故郷に送られた同じ立場の妹の出現であるにも関わらずマルト・ジュンの顔色は優れない。
 
 彼は昔から、この妹が苦手だった。

「皇帝陛下には挨拶してたのですか?」

 そう尋ねる妹にマルト・ジュンは顔を背けた。

「・・・まさか、ご自分の立場をお分かりになってないなんて言いませんよね?
 我らは国から追放された身。
 本来であれば帝国に帰還する事すら望めないにも関わらず、皇帝陛下のご厚意で弟妹として結婚式に御招待頂いたのです。
 今だにロンサンティエ帝国の皇位を望んでおられるのでしたら早々に諦めるのが兄様の為ですよ。」

 ズバッと言うサツキ・ミーナにマルト・ジョンは思わず顔が赤くなり叫んだ。

「黙れっ!
 正当な後継者は私の筈だ!
 玉座に座る偽物を偽物と言って何が悪い!」

 マルト・ジュンの言葉にサツキ・ミーナは呆れた様に溜息を吐いた。

「ロンサンティエ帝国にいた頃の私は世間知らずでした。
 いいえ知ろうとすらしていなかった。
 次期皇帝にはジャンヴィエ・リーン・・・リーン兄様がなると思っていましたから、好きな剣術に没頭していれば良かった。
 帝国から放り出され、イースタン国に送られた後ですら、その重大さが分かっていなかった・・・。」

 サツキ・ミーナは過ちを犯そうとしている兄に真剣な顔で語りかけた。
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